こんにちは!
子どもから「〇〇が欲しい!」と目をキラキラさせて言われた時、どこまで与えてあげるのが正解なんだろうって、ふと立ち止まって考えてしまうことはありませんか?
「もちろん、できる限り叶えてあげたい」という気持ちと、「でも、それが本当にこの子のためになるのかな?」という気持ち。親の心は、いつもその間で揺れ動いているような気がします。
今回は、そんな親の心を鏡のように映し出し、「与えること」と「愛」について深く考えさせてくれる、世界中で愛されている絵本『The Giving Tree(おおきな木)』をご紹介したいと思います。
ここでは『The Giving Tree』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
あるところに、一人の少年を心から愛している、大きなりんごの木がいました。
少年もその木のことが大好きで、毎日やってきては葉っぱで冠をつくったり、幹をよじ登ったり、枝でぶらんこをしたり。遊び疲れると、優しい木陰で眠りました。木はそれだけで、とても幸せでした。
でも、あっという間に時間は過ぎて、少年は大人になっていきます。
お金が欲しくなったり、家族と住む家が必要になったり、遠くへ行くための船が欲しくなったり。
そのたびに木は、少年に幸せになってほしい一心で、自分のりんごをすべて与え、枝を切り落とさせ、最後には幹までも切り倒させてしまいます。少年がすべてを持ち去るたびに、木はいつも幸せでした。でも、本当に……?
この絵本を手掛けた作家について
この深く、そして少し切ない物語を描いたのは、**シェル・シルヴァスタイン(Shel Silverstein)**というアメリカの作家です。彼は絵本作家としてだけでなく、詩人、シンガーソングライター、漫画家としても活躍した多才な人物で、そのユニークなユーモアと温かい眼差しは、今も世界中の人々を魅了し続けています。
この絵本で学べる!ネイティブ親子の日常英会話フレーズ
この物語は、シンプルな単語と繰り返しの構文で構成されているので、英語学習の入門としても最適です。特に、日常会話でも応用しやすいこんなフレーズはいかがでしょうか。
stayed away for a long time(長い間来なかった)
「長い間〜から離れている」「ごぶさたしている」という状況を表すのにぴったりのフレーズです。away が「離れて」というニュアンスをうまく出していますね。
応用してみよう!
- He stayed away from sweets for a long time for his health.(彼は健康のために、長い間甘いものを控えていました)
- I’ve stayed away from that park since I moved.(引っ越してから、あの公園にはすっかりご無沙汰です)
I wish that I could give you something…(あなたに何かあげられたらなぁ…)
「実際にはできないけれど、できたらいいのにな」という、切ない願望を伝える時に使う、仮定法の定番フレーズです。I wish I could… は、覚えておくと表現の幅がぐっと広がります。
応用してみよう!
- I wish I could go to the party with you.(君と一緒にパーティーに行けたらよかったのになあ)
- I wish I could play the piano like her.(彼女みたいにピアノが弾けたらなあ)
The Giving Tree読み聞かせ動画のご紹介
『The Giving Tree(おおきな木)』日本語訳(全文)
それでは、物語の全文を原文と和訳でご紹介します。シンプルな英語の繰り返しが、心に深く響きますよ。
Once there was a tree…
あるところに一本の木がありました。
and she loved a little boy.
そして彼女は小さな男の子を愛していました。
And every day the boy would come
そして毎日、男の子はやってきた
and he would gather her leaves
葉を集めて
and make them into crowns and play king of the forest.
そして、王冠を作って森の王様遊びをしていました。
He would climb up her trunk
彼は彼女(木)の幹に登った
and swing from her branches
そして、枝でブラブラした
and eat apples.
そしてりんごを食べました。
And they would play hide-and-go-seek.
そしてかくれんぼをして遊んだ。
And when he was tired,he would sleep in her shade.
そして、疲れたら彼女の木陰で眠っていた。
And the boy loved the tree…
そして男の子はその木を愛していた。。
very much. And the tree was happy.
とても。そしてその木は幸せだった。
But time went by.
しかし、時間は経ちました。
And the boy grew older.
そして、男の子は年をとりました。
And the tree was often alone.
そして、木はしばしば一人でした。
Then one day the boy came to the tree and the tree said,
そしてある日男の子が来ると木が言った。
“Come, Boy, come and climb up my trunk and swing from my branches and eat apples and play in my shade and be happy.”
「おいで、少年、ここへ来て私の幹に登って枝にぶら下がり、りんごを食べて、私の木陰で遊んでくれたら幸せです」
“I am too big to climb and play,” said the boy.
「ボクは登ったり遊んだりするには大きすぎるよ」男の子は言った。
“I want to buy things and have fun. I want some money. Can you give me some money?”
「ボクは何か買って楽しみたい。ボクはお金がほしい、いくらかお金をくれない?」
“I’m sorry,” said the tree, “but I have no money.
「ごめんなさい」と木は言った。「でもお金はないの
I have only leaves and apples. Take my apples, Boy, and sell them in the city.
私はただ葉とりんごだけ持っている。りんごをお取り、少年。そして、町でお売りなさい。
Then you will have money and you will be happy.”
それであなたはお金を手に入れて幸せになれるでしょう。」
And so the boy climbed up the tree and gathered her apples and carried them away. And the tree was happy.
そして男の子は木に登って、りんごを収穫して持ち去りました。そして木は幸せだった。
But the boy stayed away for a long time…and the tree was sad.
しかし、男の子は長い間来ませんでした。。そして木は悲しかった。
And then one day the boy came back and the tree shook with joy and she said,
そしてある日、男の子は戻って来ました、そして木は喜びに震えながら言いました、
“Come, Boy, climb up my trunk and swing from my branches and be happy.”
「いらっしゃい、私の幹に登って私の枝にぶら下がってくれたら幸せです。」
“I am too busy to climb trees,” said the boy.
「私は忙しくて木登りなんてしていられないよ」と男の子は言いました。
“I want a house to keep me warm,” he said.
「私は暖かくしていられる家がほしい」と彼は言った。
“I want a wife and I want children, and so I need a house. Can you give me a house?”
「わたしは妻と子供がほしいので、家が必要なんだ。家をくれないかい?」
“I have no house,” said the tree.
「私は家を持っていません」木は言った。
“The forest is my house, but you may cut off my branches and build a house. Then you will be happy.”
「この森が私のうち、でもあなたは私の枝を切って家を建ててもいいですよ。そしたらあなたは幸せでしょ」
And so the boy cut off her branches and carried them away to build his house. And the tree was happy.
そうすると、男の子は彼女の枝を切り落とし、彼の家を建てるために持ち去りました。そして木は幸せでした。
But the boy stayed away for a long time. And when he came back, the tree was so happy she could hardly speak.
しかし、男の子は長い間姿を見せませんでした。そして、彼が戻ってきた時、木は嬉しくて言葉も出ませんでした。
“Come, Boy,” she whispered, “come and play.”
「おいで、少年」彼女はささやきました。「ここへ来てお遊び」
“I am too old and sad to play,” said the boy.
「遊ぶにはあまりに年をとって、悲しすぎるよ」と少年は言った。
“I want a boat that will take me far away from here. Can you give me a boat?”
「私は、ここから遠くへ連れて行ってくれるボートが欲しいんだ。ボートをくれるかい?」
“Cut down my trunk and make a boat,” said the tree.
「私の幹を切り倒してボートをお作りなさい」木は言った。
“Then you can sail away…and be happy.”
「それで、あなたは船を出すことができる…そして幸せになれる」
And so the boy cut down her trunk and made a boat and sailed away.
そして、男の子は幹を切り倒してボートを作り、船を出しました。
And the tree was happy… but not really.
そして、この木は幸せでした…でも、本当はそうじゃなかった。
And after a long time the boy came back again.
そして長い時が過ぎて、男の子は再び戻ってきました。
“I am sorry, Boy,” said the tree, “but I have nothing left to give you. My apples are gone.”
「ごめんなさい、少年」木は言った。「でも、あなたにあげられるものは何も残っていません。私のりんごはもうないの」
“My teeth are too weak for apples,” said the boy.
「僕の歯は、りんごを食べるには弱すぎるんだ」と、男の子は言いました。
“My branches are gone,” said the tree. “You cannot swing on them”
「私の枝はもうないのよ」木は言った。「それでぶらんこはできないわね」
“I am too old to swing on branches,” said the boy.
「枝でぶらんこするには年を取り過ぎているよ」と男の子は言った。
“My trunk is gone,” said the tree. “You cannot climb”
「私の幹はもうないの」と木は言った。「もう登れないわ」
“I am too tired to climb,” said the boy.
「登るにはもう疲れすぎているんだ」と少年は言った。
“I am sorry,” sighed the tree.
「ごめんなさい」木はため息をつきました。
“I wish that I could give you something…but I have nothing left.
「あなたに何かあげられたらなぁ…でも私には何も残っていません。
I am just an old stump. I am sorry…”
私は、ただの古い切り株。ごめんなさいね…」
“I don’t need very much now,” said the boy,
「僕はもう、そんなにたくさんはいらないんだ」と少年は言った。
“just a quiet place to sit and rest. I am very tired.”
「ただ、座って休める静かな場所があればいい。とても疲れたんだ」
“Well,”said the tree, straightening herself up as much as she could,
「まあ」とその木はできるだけ背筋を伸ばしながら言いました。
“well, an old stump is good for sitting and resting. Come, Boy, sit down. Sit down and rest.” And the boy did.
「まあ、古い切り株は、座って休むのにはもってこいよ。いらっしゃい、少年。座って。座って、おやすみなさい」そして少年はそうしました。
And the tree was happy.
そして、木は幸せでした。
最後に:与えること、受けとること
というわけで、今回は『The Giving Tree』をご紹介しました。
この物語、読んだ後に「なんて美しい話なんだろう」という気持ちと、「いや、これはあまりにも自己犠牲的すぎるのでは?」という、少しモヤっとした気持ちが同時に湧き上がってきませんか。僕はまさにそうでした。
でも、きっとそれでいいのだと思います。この絵本は明確な答えをくれるのではなく、読む人それぞれに「あなたにとっての愛とは?」「幸せとは?」と静かに問いかけてくれる、そんな深い魅力を持った一冊なのかもしれません。ぜひ、お子さんと一緒に、そしていつか成長したお子さんが親になった時に、また読んでみてほしいなと思います。
『おおきな木』のように、読んだ後に心が動かされる、そんな深いテーマを持った英語絵本を他にも紹介しています。
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