こんにちは!
かけっこやゲームで、「一番になりたい!」と頑張るお子さんの姿、とっても頼もしいですよね。競争心は、子どもがぐんぐん成長するための、大切なエネルギー源の一つです。
でも、その「一番になりたい」という気持ちが、時にお友達と楽しむことや、周りを見ることの邪魔をしてしまうことも…。
「結果も大事だけど、そこまでの道のりを楽しむことも、同じくらい大切なんだよ」。そんな、大人でも時々忘れてしまいがちなメッセージを、ハラハラドキドキの冒険と、ちょっぴりドライなユーモアで教えてくれる英語絵本、『WALK ON THE WILD SIDE』をご紹介します。
ここでは『WALK ON THE WILD SIDE』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
冒険が大好きな、クマとヘラジカとビーバーの仲良し3人組。でも、彼らはちょっぴり負けず嫌いなのが玉にキズ。
ある晴れた朝、3匹は一緒に山登りに出かけることにしました。山のふもとでおやつを食べながら、「どうしたら、このハイキングがもっと面白くなるかな?」と考えた3匹。そこでビーバーが提案したのは、「山の頂上まで競争しよう!」というものでした。
その一言で、楽しいハイキングは真剣勝負に早変わり!長い足でヘラジカがリードしますが、その先にはとんでもないハプニングが待ち受けていて…。果たして3匹は、無事に山の頂上にたどり着くことができるのでしょうか?
英語学習のポイント
この絵本は、シンプルな文章の中に、クスッと笑える現代的なユーモアが散りばめられています。今回は、そんな中でも特に印象的なフレーズを2つご紹介します。
“get in the way of having fun” (楽しむことの邪魔になる)
これは、物語の冒頭で3匹の性格を紹介する、とても大切な一文です。“get in the way of…” は、「〜の邪魔になる」「〜の妨げになる」という意味で、日常会話でもよく使われます。
…their competitive natures got in the way of having fun.
彼らの負けず嫌いな性格が、楽しむことの邪魔になることがありました。
ものすごくざっくり言うと、「負けず嫌いすぎて、楽しめなくなっちゃうことがあるんだよね」という感じですね。「Don’t let your shyness get in the way of making friends.(恥ずかしがって、友達を作る邪魔をしちゃダメだよ)」なんて、お子さんを励ます時にも使えます。
“enjoying the journey together was even better” (一緒に旅を楽しむことは、もっと素晴らしかった)
競争をやめて、お互いに助け合いながら山を登った3匹が、最後に気づいたことです。山の頂上に着いた達成感も素晴らしいけれど、そこに至るまでの道のりを、みんなで一緒に楽しむことは、それ以上に価値がある、と。
…reaching the top of the mountain was great, but enjoying the journey together was even better.
山の頂上に着くのは素晴らしかったけれど、一緒に旅を楽しむことは、もっと素晴らしかった。
これは、子育てや人生そのものにも通じる、とても深くて温かいメッセージですよね。
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
There once was a bear, a moose and a beaver who loved adventure.
かつて冒険を愛したクマ、ヘラジカ、ビーバーがいました。
But sometimes their competitive natures got in the way of having fun.
しかし、時には彼らの競争的な性質が楽しみの邪魔になります。
One sunny morning, the bear, the moose and the beaver decided it was a great day to climb a mountain.
ある陽がさんさんと降り注ぐ朝、クマ、ヘラジカとビーバーは、山を登る素晴らしい日であると決めました。
To get to the mountain, they descended into a valley…
山に着くために、彼らは谷に降りました…
Walked through a grassy field…
芝生のフィールドを歩いて…
ARE WE THERE YET?
まだありますか?
Waded through a stream…
流れを歩いて渡りました…
And crossed a deep canyon.
そして深い峡谷を渡った。
DON’T LOOK DOWN.
下を向いてはいけません。
At the foot of the mountain, they stopped for a snack.
山のふもとで、彼らはおやつのために立ち寄った。
Between mouthfuls, the bear, the moose and the beaver discussed ways to make their hike more interesting.
一口の間、クマ、ヘラジカ、ビーバーはハイキングをもっと面白くする方法を話し合いました。
The beaver thought the best way to add some excitement was to make it a race.
ビーバーは、興奮を加える最善の方法はレースにすることだと考えました。
I’M #1!
私は一番!
As soon as they finished their last bites, the three friends were off and running.
彼らが最後の一口を終えるとすぐに、3人の友人は離れて走っていました。
The race was on!
レースは進行中でした!
Thanks to his long legs, the moose took an early lead.
彼の長い足のおかげで、ヘラジカは早くリードしました。
But the beaver and the bear followed right on his tail.
しかし、ビーバーとクマは彼の尻尾をたどりました。
Then just as the moose rounded a bend in the mountain path, a boulder came tumbling down toward him.
その後、ムースが山道の曲がり角を曲がったら、岩が彼に向かって転がり落ちてきました。
Fortunately, the moose jumped out of harm’s way just in time.
幸いなことに、ヘラジカはすぐに危機から飛び出しました。
Unfortunately, he had jumped over the side of the mountain.
残念ながら、彼は山の側面を飛び越えていました。
AHHHHH!
ああ!
When the beaver rounded the bend, the moose was out of sight.
ビーバーが曲がりくねったとき、ヘラジカは見えなくなりました。
Worried that he had fallen behind, the beaver picked up his pace.
彼が遅れたことを心配して、ビーバーはペースを上げた。
When the bear came running by, he heard the moose’s cry for help.
熊が駆け寄ってきたとき、彼は助けを求めるヘラジカの叫びを聞いた。
The bear followed the sound to the mountain’s edge, where he saw the moose dangling from a tree branch.
熊は音をたどって山の端まで行き、そこでヘラジカが木の枝からぶら下がっているのを見ました。
HELP!
助けて!
Fearlessly, the bear attempted a daring rescue. Sadly, he failed.
恐れることなく、クマは大胆な救助を試みました。悲しいことに、彼は失敗しました。
WHOOPS.
おっと。
Thanks to the moose’s quick reflexes, the bear’s life was saved.
ヘラジカの素早い反射のおかげで、熊の命は救われました。
THANKS!
ありがとう!
But now they were both hanging on for their lives.
しかし今、彼らは二人とも命を懸けていました。
The moose and the bear’s cries for help echoed up the mountain.
ヘラジカと熊の叫び声が山に響き渡りました。
The beaver followed their calls back down the path.
ビーバーは呼び声に沿ってたどりました。
HELP!
助けて!
The beaver’s instincts kicked in.
ビーバーの本能が働きました。
He chewed down a tree…
彼は木をかじった…
Carved out a few notches…
いくつかの切り目を刻みました…
And lowered the simple ladder to the moose and the bear so they could climb up.
そして、彼らが登ることができるように、ヘラジカと熊に簡単なはしごを降ろしました。
ARGHHH!
ああ!
Back on solid ground, the three friends realized their hike had become a little too exciting.
しっかりした地面に戻り、3人の友人は、ハイキングが少しエキサイティングになったことに気づきました。
If they were going to make it to the top of the mountain, a slower pace might be better.
もし彼らが山の頂上に行くなら、ゆっくりしたペースが良いかもしれません。
And that’s when their hike became interesting.
そして、それが彼らのハイキングが面白くなったときです。
They explored a dark cave…
彼らは暗い洞窟を探索しました…
YOU GO FIRST.
お先にどうぞ。
Discovered a prehistoric fossil…
先史時代の化石を発見…
And helped one another along the way.
そして途中で助け合った。
At the end of the day, the bear, the moose and the beaver agreed that reaching the top of the mountain was great,
but enjoying the journey together was even better.
一日の終わりに、クマ、ヘラジカ、ビーバーは、山の頂上に到達するのが素晴らしいことに同意しました。
しかし、一緒に旅を楽しむことはさらに良いことでした。
最後に:結果よりも、隣にいる友達を
というわけで、今回は競争好きな3匹の、ちょっぴり危険な冒険のお話をご紹介しました。
「一番になる!」と、周りが見えなくなっていた3匹が、お互いがピンチに陥った時、初めて競争をやめて助け合う。そして、そこからが本当の「面白い冒険」の始まりだった、という展開が、とても素敵ですよね。
洞窟を探検したり、化石を見つけたり。競争していた時には見過ごしていたであろう、たくさんの「面白いこと」が、実はすぐそばに転がっていたことに気づかされます。
この絵本は、私たちに教えてくれます。ゴールを目指すことも大切だけど、時々立ち止まって、隣にいる友達と笑い合ったり、道端の小さな発見を楽しんだりすることの方が、もしかしたらもっとずっと、人生を豊かにしてくれるのかもしれない、と。