英語絵本「There Was a Party for Langston」

英語絵本「There Was a Party for Langston」で言葉の力を感じよう

こんにちは!
今日は、2024年のコルデコット賞やキング賞オナーなど、たくさんの賞を総なめにした絵本「There Was a Party for Langston」をご紹介したいと思います。

この絵本、とにかくすごいんです。
絵が美しい、言葉が音楽みたい、そして何より「伝えていること」が深い。

読み終わったあとに、「ああ、こんなふうに言葉って生きてるんだなあ」ってしみじみ思える一冊なんですよね。

ここでは「There Was a Party for Langston」の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。

お話のあらすじ

舞台はニューヨーク、ハーレムの図書館。
そこでは、ある男のために言葉と音楽と笑いがあふれるパーティーが開かれていました。

その男の名は、ラングストン・ヒューズ。
黒人文化を詩と物語で力強く描いた作家であり、「言葉を音に変える魔法使い」と呼ばれた人です。

彼の作る言葉は、「mother(母)」という単語で本当に抱きしめられているように感じられたり、
「Harlem(ハーレム)」という文字のなかでステップを踏んで踊りたくなったり。

そんな彼の言葉に感化されたマヤ・アンジェロウやアミリ・バラカも、この絵本のなかで登場します。

ただの伝記ではありません。
これは、「言葉をつなぐ人たちの物語」なんです。

この絵本のイラストがすごい!

文と同じくらい、この絵本のイラストが圧巻です。

切り絵のような立体感のある画風に、ビビッドな色彩。
背景には茶色のトーンがあって、そこにブルーやレッド、ティッシュペーパーで彩られたようなアクセントが効いていて、まるで舞台の上でダンサーたちが踊っているみたいなんです。

それでいて、登場人物たちの表情はしっかりと「語って」いる。
見るたびに発見があって、静止画なのにリズムを感じるような不思議な体験ができます。

歴史と喜びが共にある

この絵本は、ただラングストンを祝うだけではありません。
その背景には、黒人の歴史、抑圧、そこからの解放、そして喜びの文化が込められています。

作者アン・ウィンターは、ジューンティーンス(奴隷解放を祝うアメリカの祝日)を描いた作品でも知られています。
この絵本にも、その流れをくむ「声をあげ、歌い、祝うことの強さ」が全体に流れているんですね。

There Was a Party for Langston: (Caldecott Honor & Coretta Scott King Illustrator Honor)

英語学習のポイント

ちょっと詩的で、リズムのある文体が特徴です。
なので、音読にぴったり!

意味がすっとわからなくても、声に出して読んでみるだけで、言葉の持つ力が肌で感じられると思います。

注目したい表現その①:

“He could make the word America look like two friends making Pinky promises.”
(彼は「アメリカ」という言葉を、指切りげんまんする友だちのように見せることができた)

ちょっと想像してみてください。
「アメリカ」が友情や信頼の象徴になるって、すごい比喩じゃないですか?

例文:

She made the word “home” feel like a warm hug.(彼女は「家」という言葉を、あたたかいハグのように感じさせた)

He made the word “freedom” sound like a song.(彼は「自由」という言葉を、歌のように響かせた)

注目したい表現その②:

“Laughter, the language of hahaha”(笑い声、それはハハハという言語)

「笑い」を“言語”として扱うのが、この作品らしいところ。
抽象的だけど、なんだかすごく伝わってくる。

例文:

Music is a universal language.(音楽は世界共通の言語だ)

A smile is a language everyone understands.(笑顔は誰にでも通じる言葉だ)

読み聞かせ動画のご紹介

日本語訳

There was a party for Langston at the library.
図書館でラングストンのためのパーティーがあった。

A jam in Harlem to celebrate the word making man –
ハーレムでのジャムセッション、言葉を作る男を祝うために-

 

Langston, the king of letters
ラングストン、文字の王様

 

whose ABC’s became drums, bumping jumping thumping like a heart the size of the whole wide world.
彼のABCはドラムになり、全世界ほどの大きさの心臓のように、ぶつかり、跳ね、打ち鳴らされた。

 

Langston was the best word maker around.
ラングストンは最高の言葉作り手だった。

Could make the word mother feel like real warm arms wrapped around you, giving a snug hug.
「母」という言葉を、あなたを包み込み、心地よく抱きしめてくれる本物の温かい腕のように感じさせることができた。

 

Could make the word America look like two friends making Pinky promises, to be cool, to be true.
「アメリカ」という言葉を、かっこよく、誠実であろうと指切りげんまんをする二人の友人のように見せることができた。

 

Could make the word Harlem sound like the perfect place to have a party,
「ハーレム」という言葉を、パーティーを開くのに完璧な場所のように響かせることができた、

 

make it seem like you could bust a move right there in the H or the L or the M of it.
そのHやLやMの文字の中で、いますぐ踊り出せそうに思わせることができた。

 

There was a blowout for Langston,
ラングストンのための盛大なパーティーがあった、

to celebrate the man who wrote wake up stories
目覚めの物語を書いた男を祝うために

and Rise and Shine Rhymes
そして「起きて輝け」の韻を踏んだ詩を

 

ever since he was just a little boy daydreaming under the Ohio Sky,
彼がオハイオの空の下で空想にふけるほんの小さな少年だった頃からずっと、

turning birds into words flying all around him, Imagining the clouds as paper to put them on.
鳥たちを言葉に変えて周りを飛ばせ、雲を言葉を書き留める紙だと想像していた。

The best word maker in his class.
クラスで一番の言葉作り手。

 

But not everyone understood Langston.
しかし、誰もがラングストンを理解したわけではなかった。

Some people thought it was better to be word breakers,
言葉を壊す方が良いと考える人もいた、

thought his spelling deserved yelling,
彼の綴りは怒鳴られるに値すると考え、

wanted to take words like free and love and cut them in half, pull them apart, keep all the letters from touching and sharing.
「自由」や「愛」のような言葉を半分に切り、引き離し、すべての文字が触れ合ったり分かち合ったりしないようにしたかった。

 

keep the hes with the little h’s and the Big A’s with the little a’s.
小文字のhを持つ者たちを小文字のhたちと、大文字のAを持つ者たちを小文字のaたちと一緒にさせようとした。

 

But Langston, the brave word maker, knew letters were better together,turned them into laughter.
しかし、ラングストン、勇敢な言葉作り手は、文字は一緒の方が良いと知っていて、それらを笑い声に変えた。

 

And that laughter rang out for years and years in cities and towns, on trains and tractors,
そしてその笑い声は何年もの間、都市や町で、電車やトラクターの上で鳴り響き、

to classrooms and bedrooms, bringing joy to the little and the big.
教室や寝室へと届き、小さい人にも大きい人にも喜びをもたらした。

 

And that’s why there was a party for L at the library.
だから、図書館でLのためのパーティーがあったのだ。

A fancy foot get down all out bash.
派手なステップで踊る、盛大なパーティー。

And all the books on the shelves were listening and looking at all the people, shimmying, full of Dazzle.
そして棚にあるすべての本が、人々がシミーを踊り、輝きに満ちているのを聞き、見ていた。

 

Don’t nobody dance like a word maker.
言葉作り手のように踊る者は誰もいない。

And all the best word makers were there.
そして最高の言葉作り手たちが皆そこにいた。

 

Like Maya.
マヤのように。

who Langston’s language-laughter tickled as a child,
子供の頃、ラングストンの言葉の笑い声にくすぐられた人、

who grew up reading his words
彼の言葉を読んで育ち

and learned to make words of her own.
そして自分自身の言葉を作ることを学んだ人。

 

She could make the word woman seem like the word mountain,
彼女は「女性」という言葉を「山」という言葉のように見せることができた、

and the word cage feel like a place far far far away…
そして「籠」という言葉を、遠く遠く遠く離れた場所のように感じさせることができた…

 

…from this Library, this party.
…この図書館、このパーティーから。

Maya dressed in constellations, stars dangling from her.
マヤは星座をまとい、星々をぶら下げていた。

She rose up from the floor, flapping like a free bird.
彼女は床から立ち上がり、自由な鳥のようにはばたいた。

Flapping so freely with wings unbroken.
折れていない翼で、とても自由にはばたいた。

 

Amiri, another one of Langston’s word-children, was at the party too.
アミリ、ラングストンの言葉の子供たちのもう一人も、パーティーにいた。

Came bopping in dressed in his good clothes and his soft shoes,
良い服を着て、柔らかい靴を履き、陽気にやってきた、

black, his favorite word, on his tongue.
黒、彼のお気に入りの言葉を、舌に乗せて。

 

Amiri could make the word black sound like it could be red.
アミリは「黒」という言葉を、赤であるかのように響かせることができた。

Could make the word black Echo into the future and way back into the past…
「黒」という言葉を未来へ、そしてずっと過去へと響かせることができた…

 

…back to Langston.
…ラングストンの元へと。

Amiri came to recite poems at his hero’s feet.
アミリは彼の英雄の足元で詩を朗読するために来た。

Came to dance boom ba boom boom ba boom boom boom!
ブーン バ ブーン ブーン バ ブーン ブーン ブーン!と踊るために来た。

Came to offer his rickety radio heart to Langston, the man who wrote…
彼のガタピシのラジオのような心を、ラングストン、書いた男に捧げるために来た…

 

his neighborhood as America and his family as America and his funky music as America and America as America, too.
彼の近所をアメリカとして、彼の家族をアメリカとして、彼のファンキーな音楽をアメリカとして、そしてアメリカ自身をもアメリカとして。

 

The man who wrote Maya and Amiri into the World.
マヤとアミリを世界に書き出した男。

 

And Maya and Amiri danced, like the best words do, together, Dazzled together.
そしてマヤとアミリは踊った、最高の言葉がするように、一緒に、一緒に輝いて。

They held hands and swung and spun and slid,
彼らは手をつなぎ、揺れ、回り、滑り、

stepping and stomping and boogie boogie wiggling wild!
ステップを踏み、足を踏み鳴らし、ブギウギと激しく体をくねらせた!

 

Oh, what a time to gather, together, to gather, together!
おお、集うとは、共に集うとは、なんと素晴らしい時間!

 

Until they lifted their heads to the word making boy, who had grown up to be a word-making man, and had now become the word making King,
彼らが頭を上げるまで、言葉作りの少年へ、彼は言葉作りの男に成長し、そして今や言葉作りの王となった、

to Langston, for Langston,
ラングストンへ、ラングストンのために、

 

and let laughter fill the library.
そして笑い声を図書館に満たさせた。

 

Laughter, the language of hahaha, loud like the love in the library that night,
笑い声、ハハハという言語、その夜の図書館の愛のように大きく、

in all that hoopla in Harlem.
ハーレムでのあの大騒ぎの中で。

At that party.
あのパーティーで。

Where the books were looking on as new words were being written.
そこでは本たちが、新しい言葉が書かれるのを見ていた。

Where the books were listening, just like you.
そこでは本たちが、ちょうどあなたのように、聞いていた。