こんにちは!
周りの子と比べて、「うちの子は、ちょっと意地悪なところがあるかも…」とか、「どうしてあの子は、あんなこと言っちゃうんだろう」と、子どもの振る舞いにハラハラすることはありませんか?
「悪い子」というレッテルは簡単に貼れてしまいます。
でも、その行動の裏には、本人にもまだうまく言葉にできない理由が隠れていることもあります。
今回紹介するのは、自分のことを「悪いタネ」と呼ぶ、一粒のひまわりのタネのお話。
英語絵本『The Bad Seed』は、「悪い子って、本当に最初から悪いの?」ということを、ユーモラスな物語の中でそっと考えさせてくれる一冊です。
この記事では、簡単なあらすじとともに、タイトルにもなっている bad seed の意味や、物語の中で印象に残る英語表現を紹介します。
『The Bad Seed』ってどんな絵本?
主人公は、一粒のひまわりのタネ。
最初の言葉から、こう自己紹介します。
I’m a bad seed.
「僕は、悪いタネなんだ。」
使ったものを元に戻さない。いつも遅刻する。人の話を聞かない。列にも割り込む。
周りのタネたちも、彼のことを「あのタネは悪い」と噂しています。
ところが物語を読み進めると、彼が最初から「悪いタネ」だったわけではないことが分かってきます。
以前は、たくさんの仲間と一緒にひまわりの中で過ごしていました。
それがある日、家族と離れ離れになり、暗い袋に詰められ、さらに食べられそうになるという大きな出来事を経験します。
そのあとから、彼はすっかり変わってしまいました。
この絵本のおもしろいところは、「悪いことをするタネ」をただ注意する物語ではないところです。
なぜその行動をするようになったのか。その背景まで描かれていることで、主人公の見え方が少しずつ変わっていきます。
bad seedってどういう意味?
bad seed をそのまま訳すと、「悪い種」です。
この絵本では、本当に主人公が「種」なので、その意味がそのまま物語の仕掛けになっています。
一方で bad seed は、人について使われると、素行が悪かったり、問題を起こしたりする人を表す言い方としても使われます。
bad seed = 直訳では「悪い種」。
人について使うと、「問題を起こす人」「素行の悪い人」といったニュアンスになります。
つまりタイトルの『The Bad Seed』には、
- 本当に「悪いタネ」である主人公
- 周りから「悪い子」と見られている存在
という二つの意味が重なっています。
タイトルを知ったうえで読むと、この絵本のテーマがより分かりやすくなります。
「悪いタネ」になったのには理由があった
主人公は、以前の自分を振り返りながらこう語ります。
I’d become a different seed entirely.
「僕は、まったく違うタネになってしまった。」
大きな出来事を経験したあと、彼は笑わなくなり、人と距離を取り、誰に対しても意地悪に振る舞うようになります。
ここで描かれているのは、「性格が悪いから悪いことをする」という単純な話ではありません。
怖かったこと、悲しかったこと、ひとりになったこと。
そうした経験が少しずつ彼の行動を変えていったことが伝わってきます。
子どもの行動だけを見ていると、「どうしてそんなことするの?」と思うことがあります。
でも、その前に何があったのか、どんな気持ちだったのかまで考えてみると、見え方が変わることもあります。
「もう悪いタネでいたくない」自分で決める瞬間
物語の大きな転機は、主人公が自分で変わろうと決めるところです。
I don’t want to be a bad seed anymore.
「もう、悪いタネでいたくない。」
誰かから「良い子になりなさい」と言われたわけではありません。
自分自身で、「今までとは少し違う自分になりたい」と思い始めます。
ただし、決心したからといって、次の日から完璧に変われるわけではありません。
相変わらず遅刻することもあるし、人の話を聞き忘れることもある。
その一方で、「ありがとう」や「please」を言ってみたり、笑顔を見せたり、人のためにドアを開けたりするようになります。
大きく変わるのではなく、できることから少しずつ。
この描き方が、とても自然です。
「良い」「悪い」だけでは分けられない
少しずつ変わり始めた主人公は、自分のことをこんなふうに表現します。
It’s sort of a mix.
「なんだか、いろいろ混ざっている感じ。」
この一言が、この絵本の中でも特に印象に残ります。
良いところもある。まだうまくできないところもある。
どちらか片方だけではなく、その両方が自分の中にある。
sort of は、「ちょっと」「なんとなく」「〜みたいな感じ」という意味で使われます。
It’s sort of a mix. は、「いろいろ混ざっている感じ」と、きっぱり言い切らずに柔らかく表現しています。
100%の「良い子」になることがゴールではない。
できたり、できなかったりしながら、少しずつ変わっていく。
そんな主人公だからこそ、つい応援したくなります。
この絵本で覚えたい英語表現
I thought I was a goner.
I thought I was a goner.
主人公が食べられそうになった場面で出てくる表現です。
goner は、「もう助からない人」「もうおしまいだ」というニュアンス。
I thought I was a goner.
「もうダメだと思った」「もう助からないと思った」
大きなピンチに直面したときに使われる表現です。
take it one day at a time
I’m taking it one day at a time.
変わろうと努力する主人公が使う、大切な表現です。
take it one day at a time は、「焦らず一日ずつ進む」「一歩ずつやっていく」という意味。
すぐに全部を変えようとせず、その日できることを少しずつ続けるイメージです。
keep trying
All I can do is keep trying.
「僕にできるのは、努力を続けること。」
keep + ~ing で、「〜し続ける」という意味になります。
keep trying =「挑戦し続ける」「努力し続ける」。
完璧にできなくても、またやってみる。物語の最後にぴったりの表現です。
親子で話してみたいこと
読み終わったあと、正解を聞くのではなく、こんなことを親子で話してみても面白そうです。
どうしてこのタネは「悪いタネ」になったんだと思う?
最初に見たときと、最後に見たときで、このタネの印象は変わった?
「良いところと悪いところが混ざっている」って、どんな感じだと思う?
子どもの答えによっては、大人が思ってもいなかった見方が出てくるかもしれません。
読み聞かせ動画のご紹介
英語での読み聞かせ動画もあります。
絵を見ながら聞くと、意味を全部理解できなくてもストーリーを追いやすく、繰り返し出てくる言葉にも気づきやすくなります。
絵本の基本情報
| タイトル | The Bad Seed |
|---|---|
| 著者 | Jory John |
| イラスト | Pete Oswald |
| 言語 | 英語 |
最後に|完璧じゃなくても、変わっていける
『The Bad Seed』は、「悪い子を良い子にする」物語ではありません。
主人公は最後まで、完璧な「良いタネ」にはなりません。
うまくできる日もあれば、まだ失敗する日もある。
それでも、自分で変わりたいと思い、少しずつ行動を変えていきます。
良いところも、まだうまくできないところもある。
その両方を抱えながら、また明日やってみる。
All I can do is keep trying.
そんな主人公の姿を見ていると、「良い」「悪い」の二つだけでは、人のことは分からないんだなと感じます。
子どもと一緒に読みながら、「このタネ、最初と最後でどう変わったかな?」と話してみるのも、この絵本の楽しみ方のひとつです。