こんにちは!
周りの子と比べて、「うちの子は、ちょっと意地悪なところがあるかも…」とか「どうしてあの子は、あんなこと言っちゃうんだろう」なんて、我が子の振る舞いに、ハラハラしたり、悩んだりすること、ありませんか?
「悪い子」なんていうレッテルは、とても簡単に貼れてしまうけれど、その行動の裏には、もしかしたら子ども自身も気づいていない、何か理由が隠れているのかもしれません。
今回は、そんな「悪いタネ」と自分のことを呼ぶ、一粒のひまわりのタネのお話。自分と向き合い、変わろうとする姿に、胸が熱くなる英語絵本『The Bad Seed』をご紹介します。
ここでは『The Bad Seed』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
「僕は、わるいタネ(I’m a bad seed.)」。
そう自己紹介する、一粒のひまわりのタネが、この物語の主人公です。
彼は、使ったものを元に戻さないし、いつも遅刻してくる。オチのない長い冗談を言ったり、人の話も聞きません。周りのタネたちも、彼のことをヒソヒソと「悪いタネだ」と噂しています。
でも、彼が最初からそうだったわけではないのです。
かつては、たくさんの兄弟たちとひまわり畑で楽しく暮らす、ごく普通のタネでした。
しかしある日、悲しい出来事が彼を襲います。花びらが落ち、家族と引き離され、暗い袋に詰め込まれ…もうダメだと思った瞬間、彼は巨人に食べられそうになり、ギリギリのところで吐き出されたのです。
その日から、彼はすっかり変わってしまいました。心を閉ざし、誰とも話さず、わざと道に迷い、みんなに意地悪をする「悪いタネ」に。
ところがある日、彼は大きな決心をします。「もう、悪いタネでいるのはやめたい」と。
さて、彼は変わることができるのでしょうか…?
この絵本がそっと教えてくれること
この絵本の主人公が「悪いタネ」になったのは、彼がもともと持っていた性格のせいではありませんでした。それは、彼が経験した、あまりにも悲しくて、怖い出来事がきっかけでした。
私たちはつい、目に見える行動だけで「良い子」「悪い子」と判断してしまいがちです。
でも、その子の心の中で何が起きているのか、どんな気持ちを抱えているのかは、外から見ただけでは分かりません。
この絵本が本当に素敵なのは、主人公の「変化のプロセス」を、とても丁寧に、そして正直に描いているところです。
「良いタネになろう!」と決心したからといって、彼が次の日から完璧な「良いタネ」になれるわけではありません。
相変わらず遅刻もするし、お行儀の悪いこともしてしまう。でも、前とは違うことも始めます。「ありがとう」や「どうぞ」を言ってみたり、笑顔を見せたり、人のためにドアを開けてあげたり。
彼は自分自身のことを「良いのと悪いのが、ちょっと混ざってる感じ(It’s sort of a mix.)」と表現します。
この言葉に、僕はとても救われたような気がしました。
100%の良い子(あるいは良い大人)なんて、どこにもいないのかもしれません。良い自分も、ちょっとダメな自分も、両方抱えながら、それでも「昨日よりちょっとだけ良くあろう」と、一歩ずつ進んでいく。そんな姿って、なんだかとても愛おしくて、つい応援したくなってしまいますよね。
英語学習のポイント
この絵本は、シンプルな言葉で心の深い部分を描いています。
今回は、感情が伝わる便利なフレーズを2つご紹介します。
I thought I was a goner.
主人公が巨人に食べられそうになる場面で出てくるこのフレーズ。goner は「もうおしまいだ」「助からない人」といった意味のスラングです。絶体絶命のピンチの時に「もうダメだと思ったよ!」というニュアンスで使われます。
例文:
When the boat started to sink, I thought I was a goner. (ボートが沈み始めた時、もうダメかと思ったよ。)
He was so sick, the doctors thought he was a goner, but he recovered. (彼はひどい病気で、医者も助からないと思ったが、回復した。)
taking it one day at a time
「一日一日を大切にする」「焦らずに、一歩一歩やっていく」という意味の、とてもポジティブで素敵な表現です。何か新しいことを始めたり、困難な状況を乗り越えようとしたりする時にぴったりの言葉です。
例文:
Learning a new language is hard, so I’m just taking it one day at a time. (新しい言語を学ぶのは大変だから、焦らず一日一日やっていくよ。)
“How are you coping?” “I’m taking it one day at a time.” (「どう、うまくやってる?」「まあ、ぼちぼちだよ。」)
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
I’m a bad seed.
私は悪いタネです。
a bad seed.
悪いタネ。
Oh yeah. It’s true.
そうそう、それは本当です。
The other seeds, they look at me, and they say,
他のタネ、彼らは私を見ています、そして、みんなそういう、
“That seed is so bad!”
「その種は、とても悪いです!」
When they think I’m not listening, they mumble,
私が聞いていないと思うとき、彼らはブツブツ言います、
“There goes a bad seed.”
「悪いタネがいってます」
But I can hear them, I have good hearing for a seed.
しかし、私は彼らの話を聞きます、私はタネとして良い聴覚を持っています。
How bad am I?
私は、どれくらい悪いですか?
You really want to know?
すごく知りたいですか?
Well.. I never put things back where they belong.
まぁ、わたしは使ったものをあったところに返すことをしない
I’m late to everything.
私はいつでも遅刻する。
I tell long jokes with no punch lines.
私は、聞かせどころのない長い冗談を言います。
I never wash my hands.
私は、手を決して洗いません。
Or my feet.
足も。
I lie about pointless stuff.
私は無意味なことでウソをつきます。
I cut in line every time.
私は毎回列に割り込む。
I stare at everybody.
私はみんなをじっと見つめる。
I glare at everybody.
私はみんなをにらみつける。
I finished everybody’s sentences.
私はみんなを黙らせた。
And I never listen.
そして私は決して聞かない。
And I do lots of other bad things, too.
そして私は他の多くの悪いこともします。
know why because I’m a bad seed.
なぜかって言うと私は悪いタネだから。
A bad seed.
わるいタネ。
I just can’t help it.
私はちょうどそれを助けることができません。
Sure, I wasn’t always this bad.
確かに、私はいつでもこんな悪くはありませんでした。
I was born a humble seed, on a simple sunflower, in an unremarkable field.
わたしはつつましいタネとして、普通の畑のどこにでもあるひまわり畑に生まれました。
I had a big family.
私には大きな家族がいました。
Seeds everywhere.
そこら中にタネ。
We found ways of having fun.
我々は、楽しんでいました。
We were close.
我々は近くにいた。
But then the petals dropped.
しかし花びらは落ちた。
And our flower drooped.
そして私たちの花は垂れ下がった。
It’s kind of a blur.
それはぼんやりとした感じです。
I remember a bag.
私は袋を覚えています。
Everything went dark..
すべて真っ暗になった。。
..and then.. then
そしてそれから、そして
a giant!
大男!
I thought I was a goner..
私は不幸だと思った
I thought I was done for..
私は終わったと思った
I screamed and I hollered..
私は叫んでどなった
But I was spit out at the last possible second
しかし私は最後の考えられる寸前で吐き出された。
I flew through the air,
私は空を飛んで、
and I landed under the bleachers with a huge thud.
そして、私は大きな衝撃で観客の下に着地した。
When I woke up, it was dark outside.
私が起きたとき、外は暗かったです。
A wad of gum had softened my fall.
ガムのかたまりが私の落下を柔らかくしました。
I felt ok. But something had changed in me.
わたしはOKに感じた。しかし、私の中で何かが変わった。
I’d become a different seed entirely.
私は、完全に異なる種になりました。
I’d become a bad seed.
私は、悪い種になりました。
A bad seed.
悪いタネ。
That’s right.
その通り。
I stopped smiling.
私は、微笑むのを止めました。
I kept to myself.
私は、一人でいました。
I drifted.
私は漂った。
I was friend to nobody and bad to everybody.
私は誰の友人でもなくて、誰にでも悪かったです。
I was lost on purpose.
私は目的を失いました。
I lived inside a soda can.
私はソーダ缶の中で暮らしました。
I didn’t care.
私は気にしなかった。
And it suited me.
そしてそれは私に合った。
Until recently, I’ve made a big decision.
最近になって、私は大きな決断を下しました。
I’ve decided.
私は決めました。
I don’t want to be a bad seed anymore.
私はもはや悪い種になりたくありません。
I’m ready to be happy
私は幸せになる準備ができている
It’s hard to be good when you’re so used to being bad.
あなたがいつも悪いことに慣れていると良くなることは難しい。
But I’m trying.
しかし、私は努力しています。
I’m taking it one day at a time.
私は一日一日を大切にしています。
Sure, I still forget to listen.
確かに、私はまだ聞くことを忘れます。
And I still show up late.
そして私はまだ遅く現れます。
And I still talk during movies.
そして私はまだ映画の間話します。
And I do all kinds of other bad stuff.
そして、私はありとあらゆる他の悪いことをします。
But I also say thank you.
しかし私はまたありがとうを言います。
And I say please. And I smile.
そしてわたしはすみませんと言います。そして笑顔も。
And I hold doors open for people.
そして私は人々のためにドアを開けます。
Not always. But sometimes.
いつもではない。しかし時々。
And even though I still feel bad, sometimes,
そして、たとえ私がまだ気分悪く感じるとしても、時々、
I also feel kind of good.
わたしはまたちょっといい気持ちを感じる。
It’s sort of a mix.
ちょっと混ざっています。
All I can do is keep trying.
私ができることはすべてためし続けることです。
And keep thinking.
そして、考え続けること。
Maybe I’m not such a bad seed after all.
多分、結局、私はそのような悪い種でないでしょう。
Hey, look, there goes that bad seed…
ねえ、ほら、悪い種が行きます…
Actually, he’s not all that bad anymore.
実は、彼はもうそんなに悪くありません。
I heard that
私にはそれが聞こえた。
最後に:「完璧」じゃなくても、大丈夫
というわけで、今回は絵本『The Bad Seed』をご紹介しました。
変わろうと決心しても、すぐにうまくはいかない。時には、昔の自分に戻ってしまいそうになることもある。
この絵本は、そんなリアルな心の葛藤を、優しく肯定してくれます。
大切なのは、完璧な「良い子」になることではなく、自分自身と向き合い、変わろうとし続ける、その気持ちそのものなのかもしれません。
そんな小さな「できた!」を、親子で一緒に見つけて、喜んであげられたら素敵ですよね。きっと、その一歩一歩が、何より輝いて見えるはずですから。