こんにちは!
道端の小石、公園の葉っぱ、お皿の上のごはんつぶ。
子どもって、なんでもない「ただのモノ」から、全く違う何かを想像する天才ですよね。
「この石、お顔みたい!」「この雲、ゾウさんだ!」なんて、その豊かな発想に、ハッとさせられること、ありませんか?
大人はつい「これは石でしょ」なんて、事実を教えてしまいがちですが、その「見立てる力」こそ、子どもの世界をどこまでも広げてくれる、魔法の翼なのかもしれません。
今回は、そんな「見立て遊び」の楽しさと、想像力の素晴らしさを、シンプルな黒い丸だけで教えてくれる英語絵本『Ten Black Dots』をご紹介したいと思います。
ここでは『Ten Black Dots』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
「10この くろい まるで なにが できる?(What can you do with ten black dots?)」
この問いかけから、物語は始まります。
1つの点は、おひさまに。日が沈んだら、お月さまに。
2つの点は、キツネのきらりと光る目に。あるいは、ドアの鍵穴に。
3つの点は、雪だるまのお顔に。
ページをめくるたびに、黒い点の数はひとつずつ増えていき、コートのボタンや、ボートの丸窓、おもちゃの兵隊さんへと、次々に姿を変えていきます。
ただの黒い丸が、想像力ひとつで、どんどん面白いものに変わっていく様子は、見ていて本当にワクワクしますよね。
絵本を読み終わる頃には、「さあ、今度はきみの番だよ!」って、本から挑戦状を突きつけられているような、そんな楽しい気分になるんです。
さあ、10個の黒い点まで数え終わった時、あなたなら、その点で何を作りますか?
この絵本がそっと教えてくれること
数を覚えるための絵本はたくさんありますが、この『Ten Black Dots』は、単なる知育絵本という枠には収まりません。
この絵本が一番伝えたいのは、おそらく数字そのものではなく、「たった一つのものから、どれだけたくさんの世界を広げられるか」という、想像力の持つパワーです。
最初のページにある「10この くろい まるで なにが できる?」という問いかけ。
これは、読者である子どもたち、そして私たち大人への、素敵な挑戦状のようにも思えます。
作者が用意した答え(太陽やキツネの目)ももちろん素敵ですが、それが唯一の正解ではありません。
2つの点なら、車のタイヤかもしれないし、誰かのメガネかもしれない。3つの点なら、信号機かもしれないし、お団子かもしれませんよね。
「これはこうあるべき」という固定観念から心を解放して、「これって、何に見えるかな?」と、自由に発想を飛ばしてみる。
そのシンプルな遊びの中にこそ、子どもの「考える力」や「創造する力」を育む、大切なヒントが隠されているような気がします。
英語学習のポイント
この絵本は、リズミカルな言葉とシンプルな構文で、英語の心地よさを感じさせてくれます。今回は、特に注目したいポイントを2つご紹介します。
can make …
この絵本では One dot can make a Sun. のように、can make というフレーズが繰り返し使われます。「〜を作ることができる」と訳せますが、ここではもっと柔軟に、「〜になるよ」「〜に見立てられるね」といった、見立て遊びのニュアンスで捉えると、絵本の世界がより楽しくなります。
例文:
With these blocks, you can make a castle. (このブロックで、お城が作れるね。)
Two circles can make the wheels of a car. (丸が二つで、車のタイヤになるよ。)
ライミング(韻)
この絵本は、sun / done、fox / locks、face / lace のように、ページの最後で綺麗に韻を踏んでいます。声に出して読むと、とてもリズミカルで心地よく、英語の「音」の楽しさを、自然と体感することができます。読み聞かせの際は、ぜひこのリズムを意識してみてくださいね。
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
What can you do with ten black dots?
あなたは、10の黒い点をどうすることができますか?
One dot can make a Sun
1つの点は太陽を作ることができます
or a moon when day is done.
または日が沈んだときの月。
Two dots can make the eyes of a fox
2つの点はキツネの目を作ることができる
or the eyes of keys that open locks.
またはロックを開けるキーの目。
Three dots can make that snowman’s face
3つの点は雪だるまの顔を作ることができます
or beads for stringing on a lace.
または組みひもに掛けるためのビーズ。
Four dots can make seeds from which flowers grow
4つの点は、花が成長する種を作ることができます
or the knobs on a radio.
またはラジオのつまみ。
Five dots can make buttons on a coat
5つの点はコートにボタンをつけることができます
or the portholes of a boat.
またはボートの丸窓
Six dots can make marbles that you hold –
6つの点はあなたが持てるおはじきを作ることができます
half are new, the rest are old.
半分は新しい、残りは古いです。
Seven dots can make the spots on a snake
7つの点はヘビに斑点を作ることができます
or stones turned up by a garden rake.
または庭の熊手によってかき集められた石。
Eight dots can make the wheels of a train
8つの点は、電車の車輪をつくることができます
carrying freight through the sun and rain.
雨や風の中を通って運搬します。
Nine dots can make toy soldiers standing in rank
9つの点は、おもちゃの兵士を整列して立たせます
or the pennies in your piggy bank.
またはあなたの貯金箱のペニー(小銭)。
Ten dots can make balloons stuck in a tree –
10個の点は、風船を木にはまり込んで抜け出せなくすることができます
shake the branch and set them free.
枝を揺すって自由にしてください。
Count them.
それらを数える。
Are there really ten?
本当に10個ありますか?
Now we can begin again,
もう一度やり直すことができます。
counting dots from one to ten.
1から10までの点を数えます。
最後に:想像力は、最高の遊び道具
というわけで、今回は絵本『Ten Black Dots』をご紹介しました。
この絵本を読むと、日常にあふれる「なんでもないもの」たちが、急にキラキラとした遊び道具に見えてきませんか?
お皿の上に並んだグリーンピースも、壁の小さなシミも、想像力のフィルターを通せば、たちまち壮大な物語の登場人物に早変わりです。
「これ、何に見える?」
そんな魔法の言葉一つで、いつもの景色が、親子にとって最高の遊び場になる。
そんな素敵な体験を、この絵本はきっとプレゼントしてくれますよ。