昼間に空を見上げれば、当たり前のようにそこにいる太陽。
でも、もし太陽が自分のことを話し始めたら?
きっと、こんなにおしゃべりで自信満々だとは思わないかもしれません。
『Sun! One in a Billion』の主人公は、私たちが毎日見ている太陽。生まれたころの話から、地球に光を届けるしくみ、惑星との関係まで、本人が得意げに語ってくれます。
しかも、なかなかの自慢好き。
「ぼくは大切な星なんだ!」と胸を張る姿に、思わず笑ってしまう場面も。
宇宙の知識を教わっているはずなのに、いつの間にか太陽の愉快なおしゃべりに引き込まれる。そんな英語絵本です。
『Sun! One in a Billion』はどんな英語絵本?
| 原題 | Sun! One in a Billion |
|---|---|
| シリーズ | Our Universe |
| 作者 | Stacy McAnulty |
| イラスト | Stevie Lewis |
| 出版社 | Henry Holt and Co. |
| 出版年 | 2018年 |
| ページ数 | 40ページ(原書) |
| 対象年齢 | 4〜8歳(出版社目安) |
『Earth! My First 4.54 Billion Years』と同じ、宇宙の天体が自分のことを語る「Our Universe」シリーズの一冊。
2019年には、小学館から『たいよう 1,000おくに ひとつの たいせつな ほし』という日本語版も出版されました。
タイトルの one in a billion は「10億に1つ」という意味。たくさんあるものの中でも、めったに出会えない特別な存在を表す言い方です。
宇宙には数えきれないほどの星があるけれど、太陽に言わせれば、自分はその中でも特別。
どうしてそんなに自信があるのか。
読み進めると、その理由もだんだん分かってきます。
自慢好きな太陽が教えてくれる宇宙のひみつ
物語の始まりは、約46億年前。
立派で重要な星が生まれたと紹介されますが、その星というのが、もちろん太陽自身。
天の川銀河には1000億個を超える星があり、太陽より大きな星も、明るい星も、古い星もあります。
でも、そんなことはお構いなし。
だって、地球に暮らす私たちにとっては、なくてはならない星なのですから。
太陽の光は、地球に届くまで約8分
いつも見えている太陽の光。あんなに明るいのだから、一瞬で届いているような気もしますよね。
ところが、太陽から地球までは約1億5000万キロメートル。光の速さでも、およそ8分かかるんだとか。
今、窓から差し込んでいる日差しも、少し前に太陽を出発した光。
そう考えると、いつもの景色がちょっと違って見えませんか。
しかも太陽は、光と熱を届けていることをしっかり自慢します。
地球のみんなが自分をたたえる特別な日を作るなら、Sunday(日曜日)なんて名前がいいんじゃない?
そう言いかけて、もうその名前があることに気づく太陽。
宇宙の話をしていたはずが、いつの間にかこんな冗談まで飛び出します。
太陽を中心に回る惑星たち
地球やほかの惑星の動きに深く関わっているのが、太陽の大きな重力。
惑星たちが自分の周りを回っているなんて、太陽にとっては絶好の自慢話です。
「みんな、ぼくを中心に動いているんだ!」
そんな声が聞こえてきそう。
さらに、太陽の大きさや温度、自転のしかたなど、話はどんどん広がります。
もし太陽がバスケットボールくらいの大きさだったら、地球は砂粒よりも小さくなってしまうのだとか。
身近なものに置き換えると、宇宙のスケールも少し想像しやすくなりますね。
月の後ろに隠れてしまうことも
いつも堂々としている太陽ですが、ときには地球から見ると隠れてしまうことも。
それが日食です。
月が太陽と地球の間に入り、太陽を覆い隠すように見える現象。
太陽は月よりずっと大きいのに、月のほうが地球に近いため、空では同じくらいの大きさに見えることがあるんですね。
日の出や夕焼け、オーロラまで自慢する太陽。どれだけ自分のことが好きなんでしょう(笑)。
でも、話を聞いているうちに、太陽が地球にとってどれほど大切な存在なのかも伝わってきます。
太陽の自慢話が、そのまま宇宙の科学につながっているところ。
難しそうな重力や日食の話も、太陽本人が語ると、なんだか身近。知識を一つずつ覚えるというより、おしゃべりを聞きながら「へえ、そうなんだ!」と発見していく楽しさがあります。
『Sun! One in a Billion』で注目したい英語
この絵本には、科学の説明と日常会話の英語がうまく重なった言葉遊びが登場します。
何気ないひと言にも、太陽の性格がちらり。
意味が分かると、思わず笑ってしまう表現を見ていきましょう。
star|宇宙の星、それとも人気者?
「そう、ぼくは星なんだ。」
star と聞いて思い浮かぶのは、夜空に輝く星。でも英語では、人気者や有名人の「スター」にも使います。
太陽はその両方に自分が当てはまると考えているようです。
科学でいう star は、自ら光を放つ恒星のこと。一方、映画や音楽の世界では、注目を集める人気者も star。
太陽は本物の恒星でありながら、自分を大スターのようにも紹介しているわけですね。
練習例文(絵本の原文ではありません)
- The Sun is a star.(太陽は恒星です。)
- She’s the star of the show.(彼女はそのショーの主役です。)
同じ単語が二つの意味で使われていると気づくと、太陽の得意げな顔まで浮かんできそう。
one in a billion|とびきり特別な存在
「つまり、ぼくは10億に1つの存在。いや、えっと、1000億に1つかな。」
one in a billion は「10億に1つ」。とても珍しい、特別な存在だという意味でも使われます。
ところが、太陽は天の川銀河に1000億個以上の星があると紹介したばかり。
そこで、あわてて数字を言い直すんです。
ここで注目したいのが、or, um の部分。
um は、日本語の「えっと」「うーん」に近い言葉です。自信満々に話していた太陽が、途中でちょっと言葉に詰まる。
そんな様子が短い英語から伝わってくるのも面白いですね。
読み聞かせでは、um のところで少し間を空けると、太陽のおしゃべりがもっと愉快になりそうです。
revolve around|周りを回る? 生活の中心になる?
「それに、ぼくは太陽系の中心だから、みんなの暮らしはぼくを中心に回っているんだ。」
revolve around は「〜の周りを回る」という意味。
地球が太陽の周りを公転するように、天体の動きを説明するときにも使う表現です。
でも、ここではもう一つの意味が重なっています。
revolve around には、生活や話題などが「〜を中心に動く」という比喩的な使い方もあります。
惑星が太陽の周りを回っているのは科学の話。一方で、みんなの生活が自分を中心に動いているというのは、太陽らしい自慢話です。
練習例文(絵本の原文ではありません)
- The Earth revolves around the Sun.(地球は太陽の周りを回っています。)
- His life revolves around music.(彼の生活は音楽を中心に回っています。)
同じ表現でも、宇宙の話から日常生活の話まで広がるんですね。
You’re welcome!|お礼を言われる前に?
「どういたしまして!」
これは、Thank you. に返すときの定番の表現。英語を習い始めた子にも、おなじみの言葉かもしれません。
ところが、この絵本の太陽は、誰にもお礼を言われていないのに、自分から「どういたしまして!」。
地球に光と熱を届けていることが、よほど自慢らしい(笑)。
ふつうは感謝されたときの返事ですが、この場面では「感謝してくれていいんだよ!」とでも言いたげな使い方。
知っている英語でも、誰がどんな場面で話すかによって、ずいぶん印象が変わります。
太陽の性格がよく表れたひと言ですね。
読み聞かせで、太陽の自慢話を楽しもう
『Sun! One in a Billion』は、宇宙の知識を覚えるだけの絵本ではありません。
自信満々に話していたかと思えば、急に言葉に詰まったり、冗談を言ったり。
太陽のしゃべり方を想像すると、読み聞かせもぐっと楽しくなりそうです。
堂々と自慢するところは、少し大げさに。言い間違えるところは、ちょっと困った声で。
英語を一語ずつ正確に読もうとするより、太陽になりきってみるのも面白いですね。
▶『Sun! One in a Billion』の読み聞かせを見る
読み終わったら、太陽について少し話してみるのも楽しそう。
「太陽の光が届くまで8分って、思ったより長い?」
「もし太陽がなくなったら、地球はどうなるかな?」
そんな会話から、地球と宇宙のつながりにも興味が広がるかもしれません。
同じシリーズには、地球が自分の46億年を語る『Earth! My First 4.54 Billion Years』や、月と地球の関係を描いた『Moon! Earth’s Best Friend』もあります。
シリーズの関連記事
- 『Earth! My First 4.54 Billion Years』あらすじと英語|地球が語る46億年
- 『Moon! Earth’s Best Friend』英語絵本|月と地球は大親友!月のふしぎを楽しく知るお話
地球、月、太陽。それぞれが自分のことを語る絵本を読み比べると、見慣れた宇宙の景色も少し違って感じられそうです。
『Sun! One in a Billion』の太陽は、最後まで自信たっぷり。
でも、そのおしゃべりを聞いているうちに「太陽って本当にすごいんだな」と思えてくるから不思議。
科学の発見も、英語の言葉遊びも、一緒に楽しめる一冊です。