『Ping Pong Pig』

繰り返しのフレーズが楽しい、ユーモラスな英語絵本『Ping Pong Pig』

こんにちは!

「うちの子、一度夢中になると、周りが全然見えなくなっちゃうんです…」。そんな風に、我が子のすごい集中力に感心しつつも、ちょっぴりハラハラしてしまうこと、ありませんか?

「ブタは空を飛べないよ」。そんなの、みんなが知っている当たり前のこと。でも、もしその「当たり前」を信じずに、ひたすら夢中でジャンプを繰り返すブタさんがいたら? そして、そのハチャメチャな挑戦を、周りのみんなが温かいユーモアで応援してくれたとしたら?

今日は、そんな「好き」の持つパワフルなエネルギーと、それを見守る優しい友情を描いた、とっても愉快な英語絵本、『Ping Pong Pig』をご紹介します。

ここでは『Ping Pong Pig』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。

お話のあらすじ

リンゴの木農園に住む動物たちは、みんな働き者。…たった一匹のブタさん、「ピンポン」を除いては。

ピンポンの夢は、空を飛ぶこと!その一心で、来る日も来る日も、柵や丸太からジャンプ、ジャンプ!周りの動物たちが「ブタは飛べないよ」とため息をつくのもお構いなし。そのせいで、収穫したリンゴは台無し、塗りたてのペンキはめちゃくちゃ、ハチは逃げ出すわで、農園は大混乱です。

困り果てた動物たちは、ある日、みんなで集まって会議を開きます。そして、ピンポンのために、ある素敵なプレゼントを用意することにしたのですが…。

Ping Pong Pig

英語学習のポイント

この絵本は、シンプルで分かりやすい英語と、思わず真似したくなる楽しい繰り返しが魅力です。今回は、物語の中で印象的に使われるフレーズを2つご紹介します。

“Pigs can’t fly.” (ブタは飛べないよ)

周りの動物たちが、夢中なピンポンにあきれ顔で言う、この絵本の決めゼリフです。これは、「そんなの無理だよ」「当たり前でしょ」という、世の中の常識や固定観念を表す言葉ですね。

ものすごくざっくり言うと、「いやいや、無理無理!」という、ちょっと冷めたツッコミのような感じです。このフレーズが何度も繰り返されるからこそ、ピンポンの諦めない気持ちが、より一層際立って面白く感じられます。

get on with (one’s) work (仕事に取り掛かる、仕事を進める)

これは、「(他のことはさておき)自分のやるべき仕事に取り掛かる、続ける」という意味で、日常会話でもよく使われる表現です。

絵本の中では、動物たちがピンポンのためにトランポリンを作ってあげた後、「さあ、これで僕たちは自分たちの仕事に戻れるぞ」という場面で使われています。

…and let us get on with our work.
そして、私たちに仕事を進めさせておくれ。

お子さんが遊びに夢中で、なかなか宿題を始めない時なんかに、「Okay, now it’s time to get on with your homework!(さあ、宿題に取り掛かる時間だよ!)」なんて、声をかけてみるのもいいかもしれませんね。

読み聞かせ動画のご紹介

日本語訳

Apple Tree Farm was a very busy place.
アップルツリーファームはとても忙しい場所でした。

Every day the animals would rush this way and that doing their daily chores.
毎日、動物たちがあちこちに行ったり来たりして、毎日の雑用に追われていました。

All the animals worked very hard indeed.
どの動物も一生懸命働いていました。

All, that is, except one…
一匹を除いては…

 

Ping Pong Pig was far too busy doing his own thing.
ピンポン豚は自分のことをするのに忙しすぎました。

He spent all of his time trying to fly!
彼は四六時中飛ぶことばかり!

 

He leaped from fences and logs…
彼はフェンスや丸太を飛び越えた…

…wheelbarrows and barrels, trying to jump higher and higher.
…手押し車や樽から 高く高くジャンプしようとしました。。

 

“One day I will be able to fly.”
「いつか私は空を飛べるようになる」

he told the other animals.
彼は他の動物に言った

“Pigs can’t fly ping pong.” They sighed.
“豚はピンポンで飛べない” 彼らはため息をついた。

 

But Ping Pong never stopped jumping and leaping.
しかし、ピンポンは飛び跳ねたり跳ねたりするのを止めませんでした。

He managed to ruin the apples…
彼はリンゴを台無しにした…

 

spoil the new paint on the barn…
納屋の新しいペンキを台無しにし…

 

free the bees…
蜂を放して…

and knock over all the hay!
干し草をひっくり返した!

 

The other animals decided that something had to be done.
他の動物たちは何かをしなければならないと決心しました。

They gathered together for a meeting in the barn.
彼らは納屋に集まって会議をしました。

 

Ping Pong wondered what was going on.
ピンポンは何が起こっているのかと思った。

The animals stayed in the barn all morning.
動物たちは朝からずっと納屋にいました。

They were obviously very busy.
彼らは明らかに非常に忙しかった。

 

At last, the barn door swung open and the animals came out.
ついに納屋の扉が開き、動物たちが出てきました。

Ping pong looked on in amazement.
ピンポンは驚いて見ていました。

 

“We’ve made you this trampoline.” they said.
「このトランポリンは私たちが作ったのよ。」彼らはいった。

“Now take it to a quiet corner of the field and let us get on with our work.”
「今すぐ畑の片隅に持って行って、私たちは私たちの仕事を始めましょう」

 

Ping Pong climbed aboard the trampoline.
ピンポンはトランポリンに登りました。

He jumped and bounced and bounced and jumped.
彼はジャンプして跳ねて跳ねて跳ねて跳ねた。

“I can fly!” he squealed.
「私は飛ぶことができます!」彼は叫んだ。

“But pigs can’t fly. Ping Pong.” the animal sighed as they got on with their work.
「でも豚は飛べない “ピンポン」動物たちはため息をついて仕事を始めた。

Ping Pong Pig was having the best time ever!
ピンポン豚は今までで最高の時間を過ごしていました!

 

But then he stopped to think a little.
しかし、彼は少し考えるのをやめた。

“It was so kind of my friends to make me this present.
「このプレゼントを作ってくれた友人はとても親切だった。

Perhaps I should help out a little more as a way of saying thank you?”
“もしかしたら、私ももう少しお礼の気持ちを込めてお手伝いをした方がいいのかもしれませんね?」

So he decided to put this trampoline to better use.
そこで彼はこのトランポリンをもっと有効に使うことにしたのです。

 

He picked the apples…
リンゴを摘んで…

caught the bees
蜂を捕まえた

repainted the barn.
納屋を塗り直しました

and carefully stacked all the hay.
干し草を丁寧に積み上げていきました。

 

Much to his surprise, Ping Pong rather enjoyed helping out, and his friends were delighted.
彼は驚いたことに、ピンポンはむしろ助けを楽しんで、彼の友人は喜んでいました。

“No more trouble from Ping Pong Pig!” they all said.
“ピンポン豚からこれ以上のトラブルはありません!”彼らみんな言った。

..until something caught their eye.
…何かが彼らの目をとらえるまで。

High at the top of the old apple tree,
古いリンゴの高い木の上に。

they noticed something rustling.
彼らは何かがガサガサしているのに気づいた。

 

It was Ping Pong Pig!
それはピンポン豚だった!

“Look” shouted Ping Pong as he leaped from the branches.
「見て!」とピンポンは枝から飛び出して叫びました。

“Pigs can fly!
“豚は飛ぶことができます!

“No, Ping Pong!” cried the animals.
「いいえ、ピンポン!」動物たちは叫びました。

 

But it was too late Splash!
しかし、遅すぎた スプラッシュ!

Ping Pong landed in the middle of the pond.
ピンポンが池の真ん中に着地しました。

“Wow, fish can fly too!” He giggled.
「うわー、魚も飛べるんだ!」と笑っていました。

最後に:迷惑な「夢中」を、最高の「応援」に変える方法

というわけで、今回は空飛ぶことを夢見るブタさんのお話をご紹介しました。

周りが見えなくなるほど何かに夢中になっている子に対して、頭ごなしに「ダメ!」「迷惑でしょ!」と叱ってしまうのは簡単です。でも、この絵本の動物たちは、そうしませんでした。

ピンポンの「飛びたい」という気持ちを否定するのではなく、「ここでなら、安全に、誰にも迷惑をかけずに飛べるよ」と、最高の環境(トランポリン)を用意してあげる。この、ユーモアにあふれた優しい解決策、本当に素敵だと思いませんか?

夢を追いかけることの素晴らしさと、周りへの感謝の気持ち。そして、最後の最後まで夢を諦めない(?)ピンポンの、クスッと笑えるオチ。親子で温かい気持ちになれる、とっても楽しい一冊です。