こんにちは!
一日の終わりに、お子さんを優しく抱きしめて絵本を読む時間って、本当にかけがえのない宝物ですよね。特に、寝る前の読み聞かせは、お子さんの心を落ち着かせ、穏やかな気持ちで眠りについてもらうための、大切な親子のコミュニケーションだと思っています。
今日は、そんな皆さんに、世界中で愛されている英語絵本『Owl Babies』(日本語版タイトルは『よるのおるすばん』)をご紹介しながら、寝る前の読み聞かせが、親子の絆をどれほど深くしてくれるのか、この絵本が教えてくれる優しさについてお伝えしたいと思います。
ここでは『Owl Babies』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
深い森の木の中のうろに、メンフクロウのサラ、パーシー、ビルの3匹の兄弟が、おかあさんフクロウと一緒に暮らしていました。小枝や葉っぱ、柔らかいフクロウの羽でできた、温かいお家です。
ある夜、3匹が目を覚ますと、大好きなおかあさんフクロウの姿が見当たりません。「おかあさんはどこ?」と不安になるサラ。「なんてことだ!」と戸惑うパーシー。そして、末っ子のビルはただひたすら「おかあさんがいいよう!」と繰り返すばかりです。
おかあさんはきっと、ごはんを探しに出かけたんだと、兄弟は思い直し、お家から出て、木の上でじっと帰りを待つことにします。暗くて静かな森の中、少しずつ大きくなる不安に、3匹は身を寄せ合い、「もしかして、迷子になっちゃったのかな?」「キツネにつかまっちゃったかも…」なんて、悪い想像までしてしまいます。
暗い森の中、小さくうずくまる3匹のフクロウの赤ちゃんたち。おかあさんの姿が見つからず、不安でいっぱいの彼らは、目を閉じて、ただただおかあさんの帰りを願うのですが…。
英語学習のポイント
この絵本は、繰り返しのフレーズが多く、英語学習を始めたばかりのお子さんにも親しみやすいのが特徴です。今回は、特に心に響く、シンプルなフレーズを2つご紹介しますね。
“I want my mommy!” (おかあさんがいいよう!)
これは、絵本の主人公の一匹、ビルが何度も繰り返す、とても大切なフレーズです。小さい子が不安な時に、親に助けを求める、素直な気持ちが込められています。
“I want my mommy,” said Bill.
「おかあさんがいいよう」とビルが言いました。
この表現は、「~が欲しい」という“I want”の基本的な使い方でありながら、子どもの切実な気持ちを表すのにぴったりです。お子さんが寂しがっている時や、何かを求めている時に、このフレーズを使って気持ちを代弁してあげることで、英語の表現と感情が結びつきやすくなるでしょう。「おもちゃが欲しい時は “I want my toy!” だね」のように、応用して使うのも良いですね。
“You knew I’d come back.” (わたしがもどってくるってわかっていたでしょう。)
おかあさんフクロウが戻ってきた時に、子どもたちに語りかける言葉です。これは、親が子どもに与える、揺るぎない「安心」のメッセージそのものだと僕は思います。
“You knew I’d come back.”
「わたしがもどってくるってわかっていたでしょう。」
この一言には、「たとえ一時的に離れても、必ず戻ってくる」という親の愛情と信頼が詰まっています。お子さんが保育園や幼稚園に行く時など、一時的に離れる場面で「Mommy will come back soon!(ママはすぐに戻ってくるよ!)」のように、この言葉のニュアンスを伝えることで、お子さんも安心して過ごせるようになるかもしれませんね。
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
絵本のストーリーをより深く味わうために、英語と日本語を対比させて読んでみるのも楽しいですよ。お子さんと一緒に、それぞれの言葉が持つニュアンスの違いを感じてみてくださいね。
Once there were three baby owls: Sarah and Percy and Bill.
むかし、三びきのメンフクロウのあかちゃんがいました。サラとパーシーとビルです。
They lived in a hole in the trunk of a tree with their Owl Mother.
おかあさんフクロウといっしょに、木の幹のうろの中に住んでいました。
The hole had twigs and leaves and owl feathers in it.
そのうろの中には、小枝や葉っぱやフクロウの羽が敷いてありました。
It was their house.
そこが、みんなのおうちでした。
One night they woke up and their Owl Mother was gone.
ある夜、みんなが目を覚ますと、おかあさんフクロウがいなくなっていました。
“Where’s mommy?” asked Sarah.
「おかあさんはどこ?」とサラがききました。
“Oh my goodness!” said Percy.
「なんてことだ!」とパーシーが言いました。
“I want my mommy,” said Bill.
「おかあさんがいいよう」とビルが言いました。
The baby owls thought.
フクロウのあかちゃんたちは考えました。
All owls think a lot.
フクロウはみんな、たくさん考えます。
“I think she’s gone hunting,” said Sarah.
「きっと、狩りに行ったんだわ」とサラが言いました。
“To get us food,” said Percy.
「わたしたちのごはんを、取りにね」とパーシーが言いました。
“I want my mommy,” said Bill.
「おかあさんがいいよう」とビルが言いました。
But their Owl Mother didn’t come.
でも、おかあさんフクロウは帰ってきませんでした。
The baby owls came out of their house, and they sat on the tree and waited.
フクロウのあかちゃんたちは、おうちから出てきて、木の上にとまって待ちました。
A big branch for Sarah, a small branch for Percy, and an old piece of ivy for Bill.
サラは大きな枝に、パーシーは小さな枝に、そしてビルは古いツタのきれっぱしに。
“She’ll be back,” said Sarah.
「おかあさんはもどってくるわ」とサラは言いました。
“Back soon,” said Percy.
「もうすぐね」とパーシーは言いました。
“I want my mommy,” said Bill.
「おかあさんがいいよう」とビルが言いました。
It was dark in the woods and they had to be brave, for things moved all around them.
森の中は暗くて、まわりで何かがごそごそ動くので、みんなは勇気を出さなくてはなりませんでした。
“She’ll bring us mice and things that are nice,” said Sarah.
「おかあさんは、ネズミとか、すてきなものをとってきてくれるわ」とサラは言いました。
“I suppose so!” said Percy.
「きっとそうだね!」とパーシーは言いました。
“I want my mommy!” said Bill.
「おかあさんがいいよう!」とビルは言いました。
They sat and they thought
みんなは座って、考えました
(all owls think a lot)
(フクロウはみんな、たくさん考えます)
“I think we should all sit on my branch,” said Sarah.
「わたしたち、みんなでサラの枝にすわるべきだと思うわ」とサラが言いました。
And they did, all three together.
そして、三びきいっしょにそうしました。
“Suppose she got lost,” said Sarah.
「もしおかあさんが迷子になったらどうしよう」とサラが言いました。
“Or a fox got her!” said Percy.
「それか、キツネにつかまっちゃったりして!」とパーシーが言いました。
“I want my mommy!” said Bill.
「おかあさんがいいよう!」とビルが言いました。
And the baby owls close their owl eyes and wish their Owl Mother would come.
そして、フクロウのあかちゃんたちはフクロウの目を閉じて、おかあさんフクロウがもどってきてくれるようにお願いしました。
And she came.
そして、おかあさんは帰ってきました。
Soft and silent, she swooped through the trees to Sarah and Percy and Bill.
やわらかく、静かに、おかあさんは木々の間を飛んで、サラとパーシーとビルのところへ舞い降りました。
“Mommy!” they cried, and they flapped and they danced,and they bounced up and down on their branch.
「おかあさん!」とみんなは叫び、羽をばたつかせ、踊り、枝の上でぴょんぴょんはねました。
“What’s all the fuss?” their Owl Mother asked.
「何をそんなにさわいでいるの?」とおかあさんフクロウはたずねました。
“You knew I’d come back.”
「わたしがもどってくるってわかっていたでしょう。」
The baby owls thought
フクロウのあかちゃんたちは考えました
(all owls think a lot)
(フクロウはみんな、たくさん考えます)
“I knew it,” said Sarah.
「わかってたわ」とサラが言いました。
“And I knew it,” said Percy.
「ぼくもわかってたよ」とパーシーが言いました。
“I love my mommy!” said Bill.
「おかあさん、だーいすき!」とビルが言いました。
最後に:おやすみ前の「大好き」と「安心」の抱きしめ方
というわけで、今回はフクロウの赤ちゃんたちがママを待つ、心温まるけれどちょっぴり不安になる英語絵本『Owl Babies』をご紹介しました。
夜の森の静けさと、フクロウの赤ちゃんたちの表情豊かなイラストは、読むたびに違った発見を与えてくれますよね。特に、不安そうな末っ子ビルが、おかあさんが戻ってきた途端に「I love my mommy!」と叫ぶ場面は、多くの親子の心を捉えて離さないのではないでしょうか。
この絵本は、子どもが感じる「親と離れる不安」や「待つ時間」といった、言葉にしにくい感情を、優しく言語化してくれるように思います。そして何より、おかあさんフクロウが戻ってくることで、子どもたちの心に大きな安心感が生まれる様子は、私たち親が子どもに与えたいと願う「無条件の愛情」そのものを描いているのではないでしょうか。
寝る前の読み聞かせは、ただ物語を読むだけでなく、「どんな時でも、ママ(パパ)はあなたのそばにいるよ」「大好きだよ」というメッセージを、一番届きやすい形で子どもに伝えるチャンスです。この『Owl Babies』が、そんな温かい親子の時間を、もっと豊かにするお手伝いができたら嬉しいな、と僕は思います。