世界中で長く読み続けられている英語絵本、『Where the Wild Things Are』を紹介します。
日本語では『かいじゅうたちのいるところ』というタイトルで親しまれている、モーリス・センダックの代表作です。
いたずらをして叱られたマックスが、自分の部屋から想像の世界へ飛び出し、かいじゅうたちの王様になる――。
でも最後にマックスが帰りたくなったのは、「自分をいちばん愛してくれる人がいる場所」でした。
今回は、タイトルにあるwild thingsの意味から、あらすじ、物語で覚えたい英語表現、読み聞かせ動画まで見ていきます。
絵本の基本情報
| タイトル | Where the Wild Things Are |
|---|---|
| 日本語タイトル | かいじゅうたちのいるところ |
| 作・絵 | Maurice Sendak(モーリス・センダック) |
Where the Wild Things Are の意味は?
タイトルを直訳すると、「野生のものたちがいるところ」といった意味になります。
wildは「野生の」「荒々しい」、thingは「もの」という意味です。
ただ、この物語に登場するwild thingsは、普通の野生動物ではありません。
大きな牙や爪を持った、不思議でちょっと怖い生きものたちです。
日本語版では、その雰囲気をとらえて「かいじゅうたち」と訳されています。
Where the Wild Things Are
物語の中で、マックスが想像の世界を旅してたどり着く「wild thingsがいる場所」を表したタイトルです。
『Where the Wild Things Are』はどんなお話?
いたずらっ子のマックスは、オオカミの着ぐるみを着て家の中で大暴れ。
お母さんに叱られ、夕食を食べずに自分の部屋へ行くことになります。
ところがその夜、マックスの部屋に木が生え始めます。
森はどんどん広がり、やがて海まで現れ、マックスは船に乗って「かいじゅうたちのいるところ」へ向かいます。
恐ろしい牙や爪を持つかいじゅうたちをマックスは見事に手なずけ、ついには王様になります。
みんなで大騒ぎして楽しむマックス。
でも、だんだん寂しくなってきます。
どんなに楽しい冒険をしていても、最後に戻りたくなったのは「自分を愛してくれる人がいる場所」でした。
マックスの冒険は、ただ「かいじゅうと遊ぶ楽しいお話」だけではありません。
怒った気持ち、思いきり暴れたい気持ち、寂しさ、そして安心できる場所へ帰りたい気持ち。
子どもの中にあるいろいろな感情が、想像の冒険を通して描かれているところも、この作品のおもしろさです。
この絵本で覚えたい英語表現
make mischief|いたずらをする
物語の冒頭で登場するのがmischiefです。
ここでは、マックスがあれこれいたずらをしていた様子を表しています。
mischief
「いたずら」「悪ふざけ」といった意味です。
悪意のある重大な悪事というより、子どものやんちゃ・いたずらを表すときに使われます。
wild thing|荒々しいやつ・かいじゅう
お母さんは、いたずらをするマックスを「Wild Thing!」と呼びます。
ここでは文字どおりの「野生のもの」というより、「このやんちゃ坊主!」くらいのニュアンスで読むと分かりやすいですね。
そして、この言葉が後のwild things=かいじゅうたちへつながっていきます。
お母さんがマックスをWild Thingと呼び、そのあと想像の世界にWild Thingsが登場します。
同じ言葉が、現実のマックスと想像の世界をつないでいるのも面白いところです。
rumpus|にぎやかな大騒ぎ
この絵本で特に有名なのが、マックスのこの言葉です。
rumpusは、「大騒ぎ」「騒々しい騒ぎ」といった意味です。
ここでは、マックスとかいじゅうたちが思いきり騒いで遊ぶ場面に使われています。
rumpus
普通の「パーティー」というより、ドタバタした、にぎやかな大騒ぎをイメージすると分かりやすい言葉です。
『Where the Wild Things Are』の読み聞かせ動画
絵の変化を追いながら英語を聞くと、森が広がっていく感じや、かいじゅうたちとの大騒ぎがさらに伝わってきます。
物語を読みながら英語を見てみよう
ここからは、物語の流れを4つの場面に分けながら、印象的な英文を見ていきます。
薄いグレーのボックスは、絵本の中に出てくる英文です。
1.いたずらをして叱られたマックス
物語は、マックスがオオカミの着ぐるみを着て、家の中でいたずらをしているところから始まります。
マックスがオオカミの着ぐるみを着て、あれこれいたずらをしていた夜。
お母さんはマックスを「このやんちゃ坊主!」と叱ります。
するとマックスは、「食べちゃうぞ!」と言い返します。
その結果、マックスは夕食抜きでベッドへ行くことになります。
お母さんから呼ばれたWild Thingという言葉が、その後マックスの想像の世界に現れるWild Thingsへつながっていきます。
2.部屋が森になり、冒険が始まる
その夜、マックスの部屋に森が生え始めます。
森はどんどん広がり、部屋の壁まで世界そのもののように変わっていきます。
そして海が現れ、マックスは自分だけの船に乗って航海へ出発します。
たどり着いたのは、かいじゅうたちのいるところ。
現実の子ども部屋から、いつの間にか想像の世界へ。
その境目がはっきり説明されないところも、この絵本のおもしろさです。
3.かいじゅうたちの王様になる
かいじゅうたちは、大きな声でほえ、牙や爪を見せてマックスを威嚇します。
そこでマックスは「静かに!」と言います。
マックスはかいじゅうたちの目をじっと見つめ、見事に手なずけてしまいます。
そして、かいじゅうたちの王様になります。
「さあ、思いっきり大騒ぎしよう!」
マックスとかいじゅうたちの楽しい時間が始まります。
Be still!
ここでは「静かに!」「じっとして!」という命令の表現です。
短い一言ですが、マックスがかいじゅうたちを恐れずに向き合う場面なので、とても印象に残ります。
4.それでも帰りたくなった場所
大騒ぎを楽しんだマックスですが、やがて寂しくなってきます。
かいじゅうたちの王様になったマックスは寂しくなり、自分をいちばん愛してくれる人がいる場所へ帰りたいと思います。
冒険の終わりにマックスが欲しくなったのは、王様の座ではなく「帰る場所」でした。
マックスはかいじゅうたちに別れを告げ、再び船に乗ります。
and it was still hot.
自分の部屋へ戻ると、そこには夕食が待っていました。
しかも、まだ温かいまま。
お母さんはマックスを叱りました。でも、食事はちゃんと用意してありました。
しかも、最後に書かれているのは「まだ温かかった」という、とても短い一言です。
説明しすぎず、「あなたの帰る場所はここだよ」という愛情を感じさせるところが、この絵本の印象的なところです。
想像の冒険の先に「帰る場所」がある絵本
『Where the Wild Things Are』は、かいじゅうが登場する楽しい冒険絵本として読むこともできます。
でも、マックスの気持ちを追っていくと、
怒る。
想像の世界で思いきり暴れる。
少し寂しくなる。
そして家へ帰る。
という、子どもの感情の動きがとても自然に描かれています。
子どもの想像力を止めず、その先に安心して戻れる場所がある。
「マックスはどうして家に帰りたくなったと思う?」
「怒っているとき、自分だったらどんなことをしたくなる?」
英語の意味だけでなく、マックスの気持ちについて親子で話してみるのも、この絵本の楽しみ方のひとつです。
想像の世界を思いきり楽しみながら、最後には安心できる場所へ戻ってくる。
そんな読後感も、長く読み継がれているこの作品の魅力だと思います。