「怖い話を聞きたい?」
そんなふうに始まると、ハロウィーンらしい怪談を想像しますよね。
暗いキッチン。夜中に忍び込むヴァンパイア。そして、何者かにかじられたジャムサンド。
ここまでは、たしかにちょっと怖そうです。
でも『Vampire Jam Sandwich』で誕生してしまう怪物は、吸血鬼になったジャムサンド。
しかも夜な夜な探しているのは、血ではなく「もっとジャム」。
怖い話の顔をしながら、だんだん話がおかしな方向へ転がっていく。そんなズレが楽しいハロウィーン英語絵本です。
絵本『Vampire Jam Sandwich』の基本情報
| タイトル | Vampire Jam Sandwich |
|---|---|
| イラスト | Nici Gregory |
| ジャンル | ハロウィーン・ユーモア・怪談風ストーリー |
| 物語の主役 | ヴァンパイアになったジャムサンド |
あるヴァンパイアがジャムサンドをひとかじりしたことから、「ヴァンパイア・ジャム・サンドイッチ」という奇妙な伝説が始まります。
ジャムを求めて夜のキッチンをさまよう怪物。怖い設定のはずなのに、目的がジャム。その時点でもう少し怪しいですよね。
『Vampire Jam Sandwich』のあらすじ
物語は、「怖い話を聞きたい?」という語りかけから始まります。
語り手によると、昔あるヴァンパイアが誰かのキッチンへ忍び込み、そこにあったジャムサンドをかじってしまったのだとか。
おそらくヴァンパイアは、赤いジャムを別のものと勘違いしたのでしょう。
中身はただのストロベリージャム。
ところが、ヴァンパイアにかまれたものがどうなるかは…お察しのとおり。
ジャムサンドまでヴァンパイアになってしまいます。
The jam sandwich turned into a vampire jam sandwich.
こうして誕生したのが、Vampire Jam Sandwich。
夜になるとキッチンからキッチンへさまよい、ひたすら「もっとジャム」を探し続ける存在です。
かなり恐ろしい伝説…のはず。
でも、読めば読むほど怖さより笑いのほうが勝ってきます。
怪談みたいに語るから、余計におかしい
この絵本の面白さは、設定だけではありません。
語り方が妙に大げさなんです。
暗い場所でひそひそ語り継がれてきた伝説。
ジャムの瓶を守るため、みんな慌ててフタを締める。
夜になると怪物がさまよう。
言っていることだけ拾えば、かなり本格的な怪談。
でも守っているのはジャムです。
しかも相手はサンドイッチ。
この「語り口の本気度」と「出来事のくだらなさ」の落差が、この作品の笑いになっています。
子どもと一緒に読むなら、最初はあえて少し怖そうな声で。話がおかしくなってきたところで、だんだん調子を崩していく。
そんな読み方も合いそうです。
この絵本で注目したい英語
Would you like to …? ― やわらかく誘う表現
「怖い話を聞きたい?」という、物語の最初に出てくる一言です。
Would you like to …? は、「〜したいですか?」「〜はいかがですか?」と、相手にやわらかく尋ねたり誘ったりするときに使います。
この場面では、読者をこれから始まる怪談へ誘う言葉として使われています。ハロウィーンの読み聞かせを始めるときにも、そのまま使いやすい表現です。
The story goes that … ― 伝説を語り始める表現
The story goes that … は、「話によると」「言い伝えでは」といった意味で使われる表現です。
本当にあったかどうかは分からないけれど、「昔からこんな話が伝わっている」と語り始めるときによく合います。
この絵本では、ヴァンパイア・ジャム・サンドイッチの伝説を語り始めるところで登場します。怪談や昔話らしい空気を作る表現として覚えると分かりやすいですね。
Uh-oh. ― 「あ、まずい」のひと言
Uh-oh. は、「あ、まずい」「しまった」「あらら」といった気持ちを表す短いひと言です。
何か問題が起こりそうなときや、失敗に気づいたときなど、日常会話でもよく使われます。
ヴァンパイアがジャムサンドをかじったあとに登場します。「これ、何か起こりそう…」という場面にぴったり。短くてまねしやすいので、読み聞かせでも子どもが参加しやすい表現です。
creature of the night ― 夜に活動する生き物
creature は「生き物」「生物」という意味です。
creature of the night なら、「夜に活動する生き物」や、文脈によっては「夜の怪物」のような雰囲気になります。
ヴァンパイアらしい少し不気味な表現なのに、ここで夜の怪物として語られているのはジャムサンド。まじめな怪談の言葉と、くだらない設定のズレがこの作品らしいところです。
ジャムを守る方法が、だんだん怪しい
後半では、語り手が「ジャムを安全に守る方法」まで教えてくれます。
すべてのジャムを箱へ入れる。
その箱を安全な場所へ置く。
そして、箱にはこんなメモを書きます。
「吸血鬼ジャムサンドお断り」といったところでしょうか。
ここまで聞くと、妙に具体的。
「なるほど、それなら安心…」となりそうですが、まだ終わりません。
最後のスペル、何かがおかしい
語り手は読者に、「全部ちゃんと綴れる?」と聞いてきます。
そして、「手伝ってあげる」とスペルを読み上げ始めます。
ところが、出てきたのは最初に登場したヴァンパイアの名前。
いや、それじゃない(笑)。
ここで「語り手、本当に信用していいの?」となるわけです。
子どもがスペルの違いに気づけば、「違うよ!」とツッコミを入れられる場面。
ただ聞くだけではなく、語り手の話を疑いながら参加できるのも、この絵本の面白さです。
読み聞かせ動画はハロウィーン気分たっぷり
今回紹介する読み聞かせ動画では、読み手が魔女の姿に扮して登場します。
ハロウィーンらしい雰囲気を作りながら、物語に合わせて感情を込めて読んでいるので、この絵本の「怖そうに語るほど面白い」という魅力ともよく合っています。
英語を一語ずつ聞き取ろうとするより、まずは声の調子や間の取り方を楽しむのがおすすめ。
怪談らしく声を落としたり、驚いたところでは大きく反応したり。
英語が全部分からなくても、話し方から場面の空気を感じられます。
「本当にいるの?」を親子で楽しめる
読み終わったあと、「Vampire Jam Sandwichって、本当にいると思う?」なんて聞いてみるのも楽しそうです。
もちろん、物語はずっと怪しい。
語り手自身も信用していいのか分かりません。
でも、その曖昧さがあるからこそ、
「じゃあ今夜、ジャムのフタは閉めておこうか」
なんて遊びにもつなげられます。
ハロウィーンは、ちょっと怖いものを「怖いまま」にせず、笑ったり遊んだりできる季節。
この絵本は、そんな楽しみ方によく似合います。
まとめ
『Vampire Jam Sandwich』は、吸血鬼にかまれたジャムサンドが夜の怪物になるという、かなり変わったハロウィーン英語絵本です。
怖い話のように始まるのに、狙っているのはジャム。
語り手もどこか怪しく、最後にはスペルまで妙な方向へ。
英語では Would you like to …? や Uh-oh. のような使いやすい表現に加え、The story goes that … のような怪談らしい言い回しも楽しめます。
怖すぎるハロウィーン絵本はまだちょっと苦手。でも、おばけやヴァンパイアの雰囲気は楽しみたい。
そんな親子にも手に取りやすい一冊です。