「みにくいアヒルの子」は、子どものころに一度は聞いたことがある昔話かもしれません。
でも英語で読んでみると、ただ「みにくいと思われていた鳥が、きれいな白鳥になる話」だけではないことに気づきます。
仲間に入ろうとしても、なかなかうまくいかない。笑われたり、置いていかれたりして、とうとうひとりぼっちになる。
そんなアヒルの子の気持ちが、やさしい英語で少しずつ描かれています。
今回紹介するのは、いくつもある『The Ugly Duckling』の中でもMy First Fairy Tales版。昔話を子ども向けに読みやすく再話したシリーズで、この作品も文章がわかりやすく、英語絵本に慣れていない子と一緒に読みやすい一冊です。
やさしい英語で読む『The Ugly Duckling』
| タイトル | The Ugly Duckling |
|---|---|
| 日本語タイトル | みにくいアヒルの子 |
| シリーズ | My First Fairy Tales |
| 特徴 | 昔話を子ども向けのやさしい英語で再話した一冊 |
物語は、春の農場から始まります。
お母さんアヒルの卵から、ふわふわした黄色い子どもたちが次々と生まれます。ところが最後に残った大きな卵から出てきたのは、ほかの子たちとはずいぶん違う姿の子。
周りの動物たちは驚きます。
「とてもみにくいアヒルの子だ」と言われても、お母さんアヒルは、
と受け止めます。
ここは短い場面ですが、このあと続く物語を考えると印象に残るところです。
アヒルの子が泳ごうとすると、歩き方も鳴き声もほかの子たちとは違います。
みんなが Quack と鳴く中で、この子だけは、
うまく合わせようとしているのに、どうしても同じにはなれません。
やがて周りからからかわれるようになり、物語にはこんな一文が出てきます。
どれだけ頑張っても、うまく仲間に入れなかった。
この fit in が、この絵本を読むうえで大事な言葉のひとつになっています。
夏が過ぎ、家族たちが南へ飛び立つ季節。
アヒルの子は追いかけようとしますが、間に合いません。
「ぼくは、ひとりぼっちだ。」
短くて難しい単語もありません。でも、それまで何度も仲間に入ろうとしていた姿を見てきたあとに読むと、この一言がぐっと重く感じられます。
冬を越し、再び春が来ると、一羽の美しい白鳥が現れます。
自分はみにくいから一緒には泳げない、と思っていたアヒルの子に、白鳥はこう答えます。
「あなたがどんな見た目でも、私は気にしないよ。」
そして水面に映った自分を見て、初めて自分も白鳥になっていたことに気づきます。
最後に手に入れるものは、美しい姿だけではありません。
一緒に遊んでくれる友だちができたこと。
この版では、そこまでをとてもやさしく描いているのがいいところです。物語の最後も、華やかな変身そのものより、
という一文で締めくくられます。
物語の中で覚えておきたい英語
この絵本には、難しい熟語をたくさん覚えるというより、登場人物の気持ちと一緒に覚えたい表現があります。
fit in — 仲間になじむ、うまく溶け込む
fit in は、「その場所やグループになじむ」「うまく溶け込む」という意味で使われます。
この場面では、アヒルの子が一生懸命ほかの子と同じようにしようとしても、なかなか仲間に入れない様子を表しています。新しい学校やクラスで「まだなじめない」と話すときにも使える表現です。
all alone — たったひとりで
alone だけでも「ひとりで」という意味ですが、all alone にすると「まったくひとりきり」という感じが強くなります。
この絵本では、家族が飛び立ってしまったあとに出てくる言葉です。alone 自体は「一人でいる状態」を表す言葉で、必ずしも「寂しい」という意味まで含むわけではありません。ここでは物語の場面が、その気持ちまで伝えています。
I don’t mind … — 〜でも気にしないよ
I don’t mind … は、「私は気にしないよ」「〜でも大丈夫だよ」という表現です。
mind には「気にする」という意味があります。I don’t mind. だけなら、「私は構わないよ」「大丈夫だよ」という返事としても使えます。この絵本では、相手の見た目ではなく、一緒に遊ぼうとしている白鳥の気持ちが伝わる言葉になっています。
読み聞かせ動画でも楽しめます
『The Ugly Duckling』は、読み聞かせ動画でも楽しめます。
今回の動画は、ただ文章を読み上げるだけではなく、登場人物の気持ちに合わせて声の調子が変わる読み聞かせ。
アヒルの子が置いていかれるところや、最後に白鳥と話す場面など、文字だけで読んだときとはまた違った印象があります。
『The Ugly Duckling』の読み聞かせ動画を見る
YouTubeの設定から字幕を表示でき、日本語字幕も選べます。
最初は絵と声だけで楽しんで、分かりにくいところだけ字幕を出してみる。そんな見方でもよさそうです。
英語を全部聞き取ろうとしなくても、
Wait for me!
I’m all alone.
Come out and play.
のような短い言葉は、場面と一緒だと耳に入りやすくなります。
「違う」ことをどう感じる?親子でも話せる一冊
『The Ugly Duckling』を読んでいると、子どもによって気になるところが違うかもしれません。
「どうしてみんな笑うの?」
「お母さんアヒルは優しいね」
「ひとりになったとき、どんな気持ちだったかな」
そして最後には、
「白鳥になったから幸せになったのかな?」
なんて話もできそうです。
このMy First Fairy Tales版は、難しい説明を加えず、出来事と会話を追いながらアヒルの子の気持ちを感じられる作りになっています。昔話を知っている子なら、「この場面、知ってる」と予想しながら英語を読むのも楽しめそうです。
英語も比較的やさしいので、初めて英語で昔話を読む一冊としても取り入れやすいと思います。
見た目が変わる物語ではありますが、最後に残るのは「きれいな白鳥になった」ということだけではありません。
ずっと探していた、一緒にいられる相手が見つかったこと。
そこまで含めて読むと、『みにくいアヒルの子』が少し違って見えてきます。