橋の下にいるのは、お腹を空かせたトロル。
橋の上から聞こえてくるのは、
Clip, clop!
ヤギのひづめの音です。
『The Three Billy Goats Gruff』は、昔から親しまれてきた「3匹のヤギとトロル」の物語を、Mac BarnettとJon Klassenのコンビがユーモアたっぷりに描き直した英語絵本です。
トロルは怖い。
でも、かなりお調子者。
小さなヤギを食べようとしているうちに、頭の中はヤギ料理のことでいっぱいになっていきます。
そして、この絵本は声で聞くとさらに面白い。
Storyline Onlineでは、俳優ゲイリー・オールドマンが朗読しています。絵本のイラストも画面いっぱいに映り、人物や背景が少しずつ動くので、朗読とアニメーションを一緒に見ているような感覚で楽しめます。
英語のリズムも、トロルの大げさな演技も、ぜひ音で楽しんでほしい一冊です。
絵本の基本情報
| タイトル | The Three Billy Goats Gruff |
|---|---|
| 作 | Mac Barnett |
| 絵 | Jon Klassen |
| 出版社 | Scholastic |
| 出版 | 2022年 |
| ページ数 | 48ページ |
| 対象年齢の目安 | 4〜8歳 |
| Storyline Online推奨 | Grade 1〜3 |
Mac BarnettとJon Klassenによるこの作品は、昔話をそのまま再現するのではなく、トロルの性格やセリフを大きくふくらませたユーモラスな再話になっています。
The Three Billy Goats Gruffってどんな意味?
billy goat は「雄ヤギ」。
タイトルの The Three Billy Goats Gruff は、物語に登場する3匹のヤギを指しています。
この絵本でも、小さなヤギ、次のヤギ、そして最後に大きなヤギが順番に橋を渡っていきます。
同じ場面が少しずつ変わりながら繰り返されるので、英語で聞いていても流れを予想しやすいところがいいんです。
「あ、また橋を渡るぞ」
「今度はトロル、どうする?」
そんなふうに先を想像しながら楽しめます。
ゲイリー・オールドマンの朗読も見どころ
今回の読み聞かせ動画は、ぜひ記事の途中で一度見てほしいところ。
朗読しているのは、俳優のGary Oldman(ゲイリー・オールドマン)です。
『The Three Billy Goats Gruff』の読み聞かせ動画を見る
ただ文章を読み上げるだけではありません。
ゲイリー・オールドマンが朗読している合間にはJon Klassenの絵が映し出され、ヤギやトロル、背景が少しずつ動きます。
絵本そのものの雰囲気は残っているのに、静止画を見るのとはまた違う。
特にトロルの場面は、声がつくことで性格までよく見えてきます。
強そうに登場したかと思えば、調子に乗ったり、食べ物の話で盛り上がったり、最後の大きなヤギを見た瞬間には急に勢いがなくなったり。
この変化をゲイリー・オールドマンの声で聞けるのが楽しいんですよね。
ヤギが橋を渡る音、トロルの大げさなセリフ、少しずつ動くJon Klassenの絵。英語を全部聞き取ろうとするより、まず音と絵を一緒に楽しむのがおすすめです。
あらすじ|橋の下には、お腹を空かせたトロル
昔々、一本の橋がありました。
その橋の下には、恐ろしくて、とてもお腹を空かせたトロルが暮らしています。
トロルが待っているのは、橋を渡る誰か。
ある日、橋の上からヤギのひづめの音が聞こえてきます。
最初に現れたのは、小さなヤギ。
トロルは大喜び。
ヤギをどう料理して食べようかと、次から次へと料理の名前を並べ始めます。
ところが小さなヤギは、
と、自分よりもうすぐ来る兄さんのほうが大きくておいしいと伝えます。
トロルはすっかりその気になり、
と通してしまいます。
次にやってきた二匹目のヤギにも、ほとんど同じことが起こります。
トロルの期待はどんどん膨らんでいきます。
そして最後。
橋の上から、今までとは違う大きな足音が聞こえてきます。
待ちに待った三匹目。
ところが、現れたヤギを見たトロルの様子が急に変わります。
とにかく、大きい。
それでもトロルは強がりますが、大きなヤギの返事は短く、
ここまで同じような流れを繰り返してきたからこそ、この一言が効きます。
トロルが怖い…はずなのに笑ってしまう
この絵本では、トロルがかなり目立っています。
最初は橋の下から獲物を待つ恐ろしい存在。
ところが読み進めると、どうにも憎みきれません。
ヤギを見つけるたびに料理の想像を始め、ひとりで盛り上がる。
一匹目を逃がしたあとには、自分のほうがヤギをだましたと思い込んで満足しています。
読んでいるこちらには、
「いや、それ逆だよ」
と分かっている。
このズレが面白いんです。
そして三匹目が登場すると、それまでの威勢はどこへやら。
同じトロルなのに、声の強さまで変わって見える。
朗読動画との相性がいいのも、このあたりです。
この絵本で注目したい英語
今回は単語をたくさん覚えるより、音・繰り返し・短いセリフに注目したい絵本です。
ヤギの足音を表す Clip, clop!
ヤギが橋を歩くたびに繰り返される音です。
日本語なら「カッポ、カッポ」「コツ、コツ」といった感じ。
文字だけで読むより、実際に声にしてみると楽しい表現です。
小さいヤギ、二匹目、そして大きな三匹目。
同じ言葉でも、最後は大きく読んでみると、ヤギの大きさまで伝わってきそうです。
英語の絵本では、動物の鳴き声だけでなく足音や物音も文字で表されます。意味を日本語に置き換えるより、音としてまねしてみると覚えやすい表現です。
「通っていいよ」の You may pass.
may には「〜してもよい」という許可の意味があります。
ここではトロルがヤギに「通ってよし」と許可する場面。
日常会話で子どもが頻繁に使う表現というより、ちょっと偉そうなトロルの言い方として聞くと分かりやすいです。
pass はここでは「通る」。トロルが橋の番人のように振る舞っているので、少しかしこまった響きも場面によく合っています。
短いからこそ強い You will not.
二匹のヤギとの場面では、トロルがずっと主導権を握っているように見えます。
でも最後の大きなヤギは違います。
トロルに食べると言われても、はっきり否定。
長い説明はありません。
それまでよくしゃべっていたトロルとの対比もあって、この短さが妙に強い。
will を使った相手の言葉を、そのまま not で否定しています。短い一言でも、場面と声の出し方によってかなり力強く聞こえます。
繰り返しがあるから、英語でも先を予想できる
この物語は、3匹のヤギが順番に橋を渡ります。
橋から音がする。
トロルが出てくる。
ヤギを食べようとする。
ヤギが次の兄弟の話をする。
この型が繰り返されます。
まったく同じではないけれど、「次はこうなるかな」が分かる。
英語絵本では、この予測できる感じがかなり助けになります。
知らない単語があっても、話そのものを見失いにくいからです。
そして三匹目だけ、その流れが崩れる。
繰り返しがあるからこそ、最後の変化もより面白く感じられます。
トロルの英語は、声にするともっと面白い
もうひとつ、この作品らしいのがトロルのしゃべり方です。
ヤギを見つけるたびに、
と大喜び。
そこから「こんなヤギ料理、あんなヤギ料理」と、ありもしない料理まで次々に並べます。
本文では韻を踏む言葉も多く、意味だけを追うよりリズムを楽しむ作りになっています。
ここは辞書を片手に全部訳すより、朗読を聞いたほうが早いところ。
言葉がポンポンつながっていく感じと、トロルのテンションが一緒に入ってきます。
「英語って、意味だけじゃなくて音も面白いんだな」
そんな楽しみ方がしやすい作品です。
親子で見るなら、三匹目が来る前にちょっと止めても
二匹のヤギが橋を渡ったあと、トロルは次の兄弟を楽しみに待ちます。
この時点で子どもに、
「次のヤギはどんなヤギだと思う?」
と聞いてみるのも面白そうです。
もっと小さい?
もっと賢い?
それとも…。
そして実際に三匹目が現れたときの、トロルの表情や声を見る。
結末を知っている昔話でも、Mac BarnettとJon Klassen版では「どう見せるか」に面白さがあります。
一匹目、二匹目と同じ展開を見たあとで、三匹目が来る直前に動画を止めて予想してみるのも楽しそうです。物語を知っている子なら、「この版ではどうなる?」と絵やトロルの表情に注目してみても。
まとめ|読んで、聞いて、動く絵でも楽しめる昔話
『The Three Billy Goats Gruff』は、3匹のヤギがトロルのいる橋を渡る昔話。
筋書きはシンプルです。
でもMac Barnettの言葉とJon Klassenの絵が加わると、トロルの存在感がぐっと大きくなります。
怖そうなのに、どこか間が抜けている。
そしてStoryline Onlineでは、そのトロルをゲイリー・オールドマンが演じるように朗読してくれる。
絵も少しずつ動きます。
読む絵本、聞く英語、見る物語。
この3つを一緒に楽しめるのが、今回の『The Three Billy Goats Gruff』の面白いところです。
英語を全部理解できなくても、まずはヤギの足音を一緒に言ってみるところから。
三匹目が橋へやってくるころには、英語の音ごと物語に入っているかもしれません。
『The Three Billy Goats Gruff』は、日本では「さんびきのやぎのがらがらどん」として親しまれている昔話です。
この物語の別バージョンの英語本文と日本語訳は、こちらの記事で紹介しています。