子どもと一緒に工作やお絵かきをしているとき、思い通りにいかなくてキーッとなったり、諦めて投げ出したりする姿を見かけることはありませんか。
一生懸命に取り組んでいるからこそ湧き出る悔しさなのですが、親としてはどのように声をかけて寄り添えばいいか迷ってしまうことも多いですよね。
そんなときにぜひ親子で開いてほしいのが、ものづくりと試行錯誤のプロセスをユーモアたっぷりに描いた一冊です。ここでは『The Most Magnificent Thing』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
絵本の基本情報
| タイトル | The Most Magnificent Thing |
|---|---|
| 著者・イラスト | Ashley Spires |
| 出版社 | Kids Can Press |
| 対象年齢(目安) | 3歳〜7歳(未就学児〜小学生低学年) |
絵本のあらすじ
ある日、ものづくりが大好きな女の子が「とびきり素晴らしいもの」を作るアイデアを思いつきました。相棒の犬を助手に任命し、頭の中にある理想の完成形を目指していざ作業を開始します。
ところが、いじったり叩いたりしても、出来上がるのは「なんだか違うもの」ばかりです。丸くしてみたり足を付けてみたりと試行錯誤を繰り返しますが、どれも完璧にはほど遠く、女の子のイライラは最高潮に達してついに爆発してしまいます。
怒って作業をやめてしまった女の子ですが、助手の犬に誘われてお散歩に出かけると、少しずつ気持ちに変化が訪れるのでした。
英語学習のポイント
① 「tinker」や「tweak」で覚える!ものづくりを表す具体的な動作動詞
この絵本には、単に「make(作る)」や「fix(直す)」だけで終わらせない、とても具体的で生き生きとした動作表現がたくさん登場します。
日本語でも「作る」と言うより「いじくり回す」「ちょっと微調整する」と言ったほうが、作業の様子が目に浮かびますよね。これをわかりやすくいうと、頭の中のイメージを形にしようとする細かな動きを言葉で表している感じです。
科学やものづくり(STEAM分野)の文脈でよく使われる英単語に触れることで、お子様の語彙力が一気に豊かになるかもしれません。
- tinker → (機械などを)いじくり回す・試行錯誤する
- “She tinkers and hammers and measures.” → 彼女はあちこちいじり、金づちを打ち、長さを測ります。
- “He likes to tinker with electronics on weekends.” → 彼は週末に電化製品をいじくり回すのが好きです。
- tweak → 微調整する・ちょっと変更する
- “She twists and tweaks and fastens.” → 彼女はひねり、調整し、しっかり固定します。
- “Let me tweak the settings a little bit.” → 設定を少しだけ微調整させてください。
② 「give it another go」や「out of the way」などの重要熟語・イディオム
一度の失敗で諦めずに再度挑戦したり、道具を片付けたりする場面では、日常会話でそのまま使える便利な熟語が使われています。
例えば「もう一度挑戦する」と言いたいとき、教科書でおなじみの「try again」だけでなく「give it another go」というフレーズを知っておくと、ネイティブの会話がぐっと身近に感じられるでしょう。言い換えるなら、友達同士で「もう一回やってみよう!」とフランクに励まし合うようなニュアンスとなります。
こうした熟語を親子で声に出してみると、日常のさまざまなシーンでも自然と英語が出てくるようになるのではないでしょうか。
- give it another go → もう一度やってみる・再挑戦する
- “The girl tosses it aside and gives it another go.” → 女の子はそれを脇へ放り投げ、もう一度やり直します。
- “Don’t give up yet! Let’s give it another go.” → まだ諦めないで!もう一回やってみよう。
- out of the way → 邪魔にならない場所・邪魔にならないように
- “They set up somewhere out of the way and get to work.” → ふたりは邪魔にならない場所に道具を準備して、作業に取りかかります。
- “Please move your shoes out of the way.” → 靴を邪魔にならない場所へ移動させてね。
③ 「Easy peasy」や「too … to 〜」で学ぶ日常表現と文法のコツ
絵本を読む大きなメリットの一つは、親子の会話や友達同士で使えるリアルな口語表現や、感情を表現する文法に出会えることです。
「超カンタンだよ!」と胸を張るフレーズや、イライラで手がうまく動かない状態を表す構文など、日常のふとした瞬間に応用できる表現が詰まっています。
難しい文法用語を使わずに言えば、「〜すぎて…できない」という心の余裕がない状態を伝える表現です。日常会話でも自分の気持ちをパッと伝えるのに役立つでしょう。
- Easy peasy → 朝飯前だよ・超カンタン!
- “And she makes things all the time. Easy peasy!” → だって彼女はいつも作っているんですから。朝飯前です!
- “Can you ride a bicycle? — Easy peasy!” → 自転車に乗れる? — 超カンタンだよ!
- too … to 〜 → 〜するには…すぎる(〜すぎて〜できない)
- “Her hands feel too big to work.” → 手が大きすぎてうまく動かないように感じられます。
- “I am too tired to walk any further.” → 疲れすぎてこれ以上歩けません。
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
They do all kinds of things together.
They race, they eat, they explore, they relax.
ふたりは一緒になんでもします。
かけっこをして、ごはんを食べて、探検をして、のんびり過ごします。
He unmakes things.
One day the girl had a wonderful idea.
She is going to make the most magnificent thing.
相棒(犬)はそれを壊します。
ある日、女の子はすばらしいアイデアを思いつきました。
最高の「とびきりすばらしいもの」を作ることにしたのです。
She knows just how it will work.
All she has to do is make it.
And she make things all the time. Easy peasy!
どんな風に動くかも、ちゃんとわかっています。
あとはをつくるだけです。
だって彼女はいつも作っているんですから。朝飯前です!
They set up somewhere out of the way and get to work.
邪魔にならない場所に道具を準備して、作業に取りかかります。
… while her assistant pounces and growls and chews.
…その間、助手は飛びかかり、うなり、かみつきます。
She walks around one side.
Her assistant examines the other side…
It doesn’t look right.
Her assistant picks it up and gives it a shake.
It doesn’t feel right either.
片側をぐるりと回ってみます。
助手は反対側を調べます…
なんだかしっくりきません。
助手はそれを持ち上げて、持ち上げて揺さぶってみました。
触った感じも、どうも違います。
Or good. It isn’t even kind of sort of okay. It’s all wrong.
The girl tosses it aside and gives it another go.
良くもありません。まあまあですらありません。完全に間違いだらけです。
女の子はそれを脇へ放り投げ、もう一度やり直します。
Her assistant circles and tugs and wags.
助手はくるくる回り、引っ張り、尻尾を振ります。
Her assistant gives it a nudge with his paw.
The thing is still wrong. She decides to try again.
助手は前足でちょんちょんとつつきます。
やっぱりまだ違います。彼女はもう一度試すことにしました。
She stands and examines and stares.
立ち上がり、細かく調べ、じっと見つめます。
She fixes and straightens and studies.
直し、まっすぐにして、じっくり観察します。
She makes it square.
She makes it round.
She gives it legs.
She adds antenna.
四角くしてみたり。
丸くしてみたり。
脚をつけてみたり。
アンテナを足してみたり。
She makes it long, short, rough, smooth, big, small.
One even smells of stinky cheese.
But none of them are magnificent.
長く、短く、ざらざら、つるつる、大きく、小さくしてみたり。
中にはクサいチーズの匂いがするものまでありました。
けれど、どれも「とびきりすばらしいもの」ではありません。
They can’t see the magnificent thing that she has in her mind.
She gets mad.
頭の中にある「すばらしいもの」が、彼らには見えていないのです。
女の子はイライラしてきました。
She smashes pieces into shapes.
She jams parts together.
She pummel the little bits in.
Her hands feel too big to work.
And her brain is too full of all the not right things.
パーツを力任せに押し込みます。
部品を強引につなぎ合わせます。
細かいパーツを叩き込みます。
手が大きすぎてうまく動かないように感じられます。
そして頭の中は、「うまくいかないこと」でいっぱいになってしまいました。
It is not her finest moment.
“I’m not good at this. I quit.”
決して褒められた姿ではありません。
「私には向いてない。もうやめた。」
It’s not much help at first.
But before long, she starts to feel different.
Bit by bit, the mat gets pushed out of her head.
最初はあまり効果がありません。
けれど少し経つと、彼女の気分が変わり始めました。
少しずつ、イライラが頭の中から追い出されていきます。
The bad feelings are about to start all over again.
Then she notices something surprising.
また不快な気分がよみがえりそうになります。
その時、彼女は驚くべきことに気づきました。
The bolts on one, the shape of another, the wheel to seat ratio of the next.
There are all sorts of parts that she likes.
あるやつのボルト、別のやつの形、その次の椅子の位置と車輪のバランス。
気に入ったパーツが、たくさん散りばめられていたのです。
She gets to work.
She works carefully and slowly, tinkering, hammering, twisting, fiddling, gluing, and painting…
Her assistant makes sure there are no distractions.
彼女は作業にとりかかります。
慎重に、ゆっくりと、いじり、叩き、ひねり、調整し、くっつけ、色を塗り…
助手は邪魔が入らないように見張りをします。
“This will stop the leak.”
“This one’s all wet.”
「これで水漏れが止まるよ。」
「これはびしょ濡れだね。」
Finally, she finishes.
She alerts her assistant.
ついに、完成しました。
彼女は助手に知らせます。
It leans a little to the left, and it’s a bit heavier than expected.
The color could use a bit of work, too, but it’s just what she wanted.
少し左に傾いていて、思っていたより少し重いです。
色ももう少し工夫できたかもしれませんが、制限の中でもまさに彼女が欲しかった通りのものでした。
They are not disappointed.
It really is the most magnificent thing.
がっかりなんてしませんでした。
それは本当に、最高の「とびきりすばらしいもの」でした。
まとめ
完璧を目指すあまり途中で投げ出しそうになっても、一度立ち止まってリフレッシュすることで新しい発見が生まれるというメッセージは、大人にとってもハッとさせられるものがありますね。
作中にあふれる具体的な動詞や、生き生きとしたイディオム表現を味わいながら読み進めることで、英語への関心も自然と深まっていくはずです。
お子様が何かにつまずいたときや、ものづくりの楽しさを感じたいとき、ぜひ親子で一緒にページをめくってみてはいかがでしょうか。