こんにちは!
「これをやれば、すぐに賢くなれるよ!」なんていう魔法のような話、一度は夢見たこと、ありませんか? 僕も、できることなら楽して賢くなりたいなあと、いつも思っています(笑)。
でも、近道をしようとすると、かえって変な方向に行ってしまったり、大切なことを見失ってしまったり…。そんな経験、誰にでもあるかもしれませんね。
今日ご紹介するのは、まさにそんな「近道」が大好きになってしまった男の子のお話。本が大好き、でもその愛情表現がちょっとユニークすぎる絵本『The Incredible Book Eating Boy』です。
ここでは『The Incredible Book Eating Boy』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
主人公のヘンリーは、本が大好き。でも、彼の「好き」は、僕たちみたいに「読む」ことじゃありませんでした。そう、彼は本を「食べる」のが大好きだったんです!
ある日、ひょんなことから本を食べてみたヘンリーは、驚きの事実に気づきます。
なんと、食べた本の知識が、まるごと自分のものになるのです。金魚の本を食べれば金魚に詳しくなり、辞書を食べれば難しい言葉もスラスラ。
「もしかして、このまま食べ続ければ、世界一賢い人間になれるんじゃないか?」
味をしめたヘンリーは、猛烈な勢いで本を食べ始めます。一冊、また一冊と平らげ、どんどん賢くなっていく自分に、彼はすっかり夢中になってしまいました。
でも、物事はそう簡単には進みません。あまりにも急いで、たくさんの本を食べすぎた結果、ヘンリーの頭の中では、とんでもないことが起こり始めていたのです…。
「早く、もっと」が引き起こすこと
ヘンリーの気持ち、なんだか少しだけ分かってしまう気がしませんか?
成果が目に見えると、もっともっとと欲張ってしまって、ついついペースを上げてしまう。最初は楽しかったはずなのに、いつの間にか「こなすこと」が目的になってしまうんですよね。
例えば、新しい趣味を始めたとき。最初は一つ一つの作業が楽しかったのに、「早く上達しなきゃ」と焦るうちに、作業がただのタスクに変わってしまった…なんて経験、ありませんか?
ヘンリーに起きたのも、まさにそれでした。急いで知識を詰め込みすぎたせいで、頭の中の情報はごちゃ混ぜに。「2+2=?」と聞かれて「ゾウ!」と答えてしまうような、なんとも恥ずかしい状態になってしまったんです。
というわけで、大切なのは「消化する時間」
良かれと思ってやったのに、うまくいかなくて落ち込んでしまう。そんなヘンリーの姿は、なんだか他人事とは思えません。
でも、この物語が素敵なのは、ここからなんです。本を食べるのをやめて、しょんぼりしていたヘンリー。そんな彼が、ふと床に落ちていた食べかけの本を手に取ります。そして、口に運ぶ代わりに、そっとページを開いてみたんです。
そう、彼は初めて本を「読んだ」のです。
「食べること」は、知識をインスタントに詰め込む行為だったのかもしれません。でも、「読むこと」は、物語をじっくりと味わい、自分のペースで「消化」していく時間。この絵本は、その違いを優しく教えてくれるような気がします。
英語学習のポイント
ユーモアあふれるこの絵本から、日常会話で使える便利なフレーズを2つご紹介しますね。
Not quite.
(ちょっと違うかな / そういうわけでもないんだ)
相手の言ったことを、やんわりと否定したい時にぴったりの表現です。「No」と直接的に言うよりも、柔らかい印象を与えます。
“Is this the right way to the station?” “Hmm, not quite. You need to turn left at the next corner.”
(「駅への道はこっちで合ってますか?」「うーん、ちょっと違いますね。次の角を左に曲がる必要がありますよ」)
“So you finished all your homework?” “Not quite. I still have math left.”
(「宿題は全部終わったの?」「そういうわけでもないんだ。まだ算数が残ってるよ」)
go through
(〜を経験する / 〜を味わう、読み通す)
本文では「he was going through them at a fierce rate.(彼はすさまじい勢いでそれらを味わっていた)」と、本を「味わい尽くす」というニュアンスで使われています。他にも色々な意味で使える便利な言葉です
She’s going through a difficult time right now. (彼女は今、大変な時期を経験しています。)
I need to go through these documents before the meeting. (会議の前に、この書類に目を通さなければなりません。)
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
Henry loved books.
ヘンリーは本が大好きです。
But not like you in I love books, no.
しかしあなたのように大好きなわけではなく
Not quite..
ちょっとおかしくて..
Henry loved to eat books.
ヘンリーは本を食べるのが大好きだった。
It all began by mistake one afternoon when he wasn’t paying attention .
ある日の午後、彼が注意を払っていなかったときそれはすべて始まった。
He wasn’t sure at first, and tried eating a single word, just to test.
彼は、最初あまりよくわからないので、ちょっと試しに一語を食べてみました。
Next, he tried a whole sentence and then the whole page.
次に、彼は文全体を試してから全ページを試した。
Yes, Henry definitely liked them.
そう、ヘンリーは間違いなくそれが好きでした。
By Wednesday, he had eaten a whole book.
水曜日までに、彼は一冊の本を食べた。
And by the end of the month he could eat a whole book in one go.
そして月末までに、彼は一気に一冊の本を食べることができました。
Henry loved eating all sorts of books.
ヘンリーはあらゆる種類の本を食べることが大好きでした。
Story books, dictionaries, atlases, joke books, books of facts, even math books.
物語本、辞書、地図帳、冗談本、事実の本、数学本さえ。
But red ones were his favorite.
しかし、赤いものが彼のお気に入りだった。
And he was going through them at a fierce rate.
そして彼はすさまじい勢いでそれらを味わっていた。
But here is the best bit,
しかし最高のかけらはここにあります。
The more he ate,
かれはより食べました。
the smarter he got.
彼はより頭が良くなりました。
He ate a book about goldfish and then he knew what to feed Ginger.
彼は金魚についての本を食べた後、ジンジャーに何を食べさせるべきかを知っていた。
Before long he could do his father’s crossword in the newspaper,
まもなく、彼は父の新聞でクロスワードをすることができました、
and he was even smarter than his teacher in school.
そして彼は学校の先生よりも賢くなりました。
Henry loved being smart.
ヘンリーはかしこくなることが大好きでした。
He thought that if he kept going he might even become the smartest person on earth.
彼はもしずっと続けていたら、地球上でもっとも賢い人になるかもしれないと考えました。
So he kept eating books.
そこで彼は本を食べ続けた。
And he kept getting smarter and smarter and smarter
そして彼はより賢く そしてもっと賢く より賢くなり続けた。
He went from eating books whole to eating them three or four at a time.
彼はますます一度に3,4冊まとめて食べるようになった
Books about anything.
本なら何でも。
Henry wasn’t fussy,
ヘンリーは気にしなかった、
and he wanted to know it all.
彼はそれをすべて知りたがっていました。
But then things started going not so well.
しかし、物事は順調に進まない。
In fact, they started going very, very, wrong.
実際、それらは非常に、非常に、間違い始めていた。
Henry was eating too many books, and too quickly at that.
ヘンリーはとても多くの本を食べていた、そしてそれはあまりにも急すぎた。
He was beginning to feel a little ill.
彼は少し病気を感じ始めていた。
here is the worst bit.
ここに最悪なことがちょっとある。
Everything he was learning was getting mixed up..
彼が学んでいたすべてが混ざっていた
he didn’t have time to digest it properly.
彼はそれを適切に消化する時間がなかった。
It became quite embarrassing for him to speak.
彼が話すのはかなり恥ずかしいものになった。
Suddenly Henry didn’t feel very smart at all.
突然、ヘンリーは全く賢く感じなくなりました。
pick me! I know I know
当てて! わかる!
More than one person told him he should stop eating books.
ひとり以上の人は、彼が本を食べるのを止めなければならないと彼に話しました。
So Henry gave up eating books,
それでヘンリーは本を食べることを諦めました。
and sat sadly for a long time.
そして、長い間悲しげに座りました。
What was he to do?
彼は何をすべきでしたか?
Then, after a while, and almost by accident,
その後、しばらくして、その出来事によって、
Henry picked up a half-eaten book from the floor.
ヘンリーは食べかけの本を床から拾いました。
But instead of putting it in his mouth…
しかし、口に入れるのではなく、
Henry opened it up…
ヘンリーはそれを開き、
and began to read.
そして読み始めました。
and it was so good.
そしてそれはとてもよかった。
Henry discovered he loved to read.
ヘンリーは読むことが大好きだと発見しました。
And he thought that if he read enough he might still become the smartest person on Earth.
そして彼は十分に読むと、まだ地球上でもっとも賢い人に慣れるかもしれないと考えました
It would just take a bit longer.
それは少しだけ時間がかかるでしょう。
Now Henry reads all the time..
今ヘンリーは四六時中読んでいる..
although every now and then
時々であるけれども
最後に:じっくり味わうことの楽しさ
というわけで、今回は絵本『The Incredible Book Eating Boy』をご紹介しました。
結果を急ぐあまり、プロセスを楽しむことを忘れてしまうのは、子どもだけでなく、僕たち大人にもよくあることかもしれません。
でも、本当に大切な知識や楽しみは、遠回りに見える「じっくり味わう」時間の中に隠れている。この絵本は、そんな当たり前だけど忘れがちなことを、ユーモアたっぷりに思い出させてくれます。
急がば回れ。たまにはのんびり、本でも読んでみませんか? きっと、食べちゃうよりも素敵な発見がありますよ。