子どもが「おもちゃが勝手に飛んでいったんだよ!」と真顔で言ったり、片付けをしていないのに「小人がやった」と言い張ったりするような、クスッとする日常のワンシーンはどのご家庭にもあるのではないでしょうか。そんな時、親の私たちもつい「嘘をついちゃダメ!」と頭ごなしに怒ってしまいがちですが、もしその言葉が本当に真実だったら……?
日本語版の『にんじゃがケーキをたべちゃった』としても翻訳され、子どもたちの間で大人気となっている本作は、そんな親子のちょっぴり可笑しいやり取りをシュールなユーモアで描いています。本当のことを言っても嘘だと言われ、それならと嘘をついてもやっぱり怒られてしまう男の子・ティムが思いついた、とびきりユニークな解決策には大人も思わずニヤリとしてしまいます。
ここでは、The Boy Who Cried Ninjaのあらすじのほか、英語学習のポイント、読み聞かせ動画などを掲載しています。
『The Boy Who Cried Ninja』の基本情報
| タイトル | The Boy Who Cried Ninja |
|---|---|
| 著者 | Alex Latimer |
| イラスト | Alex Latimer |
| 出版社 | Peachtree Publishing |
| 対象年齢(目安) | 4〜8歳 |
あらすじ
ある日、ケーキの最後のひと切れがなくなってしまい、お母さんに尋ねられたティムは「忍者がやってきて一口で食べちゃったんだ」と本当のことを話します。しかし、そんな突飛な話を両親は信じてくれません。その後も、宇宙飛行士にお父さんのハンマーを貸したことや、巨大なイカにカバンを食べられてしまったことを正直に話しますが、嘘つきだと誤解されて庭の落ち葉掃きを命じられてしまいます。
「本当のことを言っても怒られるなら、嘘をついたほうがいいのかな」と思い悩んだティムは、今度は食器棚から海賊が飛び出してお茶を飲んだときや、ワニがアンテナを壊したとき、サルのせいで鉛筆が散らばったときに「僕のせいです」と嘘の告白をします。しかし、それもすべて逆効果で、再びお説教をされて畑の水やりを命じられてしまいます。
本当のことを言っても嘘をついても怒られてしまう窮地に立たされたティムは、ある妙案を思いつきます。それは、自分の言葉を信じてくれない両親の前に、原因となった「彼ら」を直接招待して証明することでした。土曜日の朝、インターホンが鳴り、ドアの外に並んでいたのは……。
英語学習のポイント
1. 原因や誰かのしわざであることを表す表現
日常会話で「〜の仕業だよ」「〜のせいだよ」と言い訳をしたり、状況を説明したりするときに非常に使いやすい基本フレーズです。
- It was a [名詞]
- 和訳:〜のしわざだよ/〜だったんだ
- 例文1:It was a ninja.(忍者のしわざだよ。)
- 例文2:It was a giant squid.(巨大なイカだったんだよ。)
2. 自分の非を白状したり認めたりする表現
動詞「own up」は、自分が犯した間違いや隠し事を白状する、または「自分がやりました」と認める口語表現です。
- own up
- 和訳:白状する/(自分の仕業だと)認める
- 例文1:The next time a pirate jumped out of the cupboard, he owned up.(次に海賊が食器棚から飛び出してきたとき、彼は自分のせいにしました。)
- 例文2:You should own up to your mistakes.(自分の間違いは潔く認めるべきだよ。)
3. 責任の所在をはっきりさせる表現
何かトラブルが起きたときに、「すべて自分の責任です」と非を認めたり、相手を思いやったりする際に使えるフレーズです。
- It was all [所有格] fault
- 和訳:すべて〜のせいだ/〜の責任だ
- 例文1:Tim said it was all his fault.(ティムはすべて自分のせいだと言いました。)
- 例文2:Don’t worry, it wasn’t your fault at all.(心配しないで、それはちっとも君のせいじゃないよ。)
読み聞かせ動画
日本語訳(全文)
Once there was a boy named Tim who no one believed.
昔々、ティムという名の、誰も言葉を信じてくれない男の子がいました。
When his mom asked him what happened to the last slice of cake, he told her the truth.
“It was a ninja,” cried Tim.
First the ninja cracked into the house, then he kicked it into the air and ate it in one bite.
お母さんに最後のひと切れのケーキがどうなったのか聞かれたとき、彼は本当のことを話しました。
「忍者の仕業だよ」とティムは叫びました。
最初に忍者が家に忍び込んできて、それからケーキを空中に蹴り上げて一口で食べちゃったんだ。
When his dad asked him where the hammer was, he told him the truth.
An astronaut landed in the yard and needed it to fix his spaceship.
He’s got your hammer.
お父さんにハンマーがどこにあるのか聞かれたとき、彼は本当のことを話しました。
宇宙飛行士が庭に着陸して、宇宙船を修理するのにそれが必要だったんだ。
彼がお父さんのハンマーを持っていったんだよ。
And when Grandpa asked him if he’d done his homework, Tim told him the truth.
A giant squid ate my whole book bag while I was off buying an ice cream.
そして、おじいちゃんに宿題はやったのかと聞かれたとき、ティムは本当のことを話しました。
僕がアイスクリームを買いに行っている間に、巨大なイカが通学カバンを丸ごと食べちゃったんだ。
Tim’s parents were very upset with him for telling lies.
So they told him to go and rake up leaves in the yard and think about what he’d done.
ティムの両親は、彼が嘘をついていると思ってひどく怒りました。
だから、庭の落ち葉をかき集めて、自分のしたことについて反省しなさいと言いました。
But the more he thought about it, the more he thought that maybe he really should lie.
Then no one would be mad at him.
でも、考えれば考えるほど、本当に嘘をつくべきなのかもしれないと思うようになりました。
そうすれば、誰も僕に怒らなくなるだろう。
So the next time a pirate jumped out of the cupboard, “Arrr!”
and drank all the tea straight from the pot,
he owned up.
だから、次に海賊が食器棚から「アール!」と飛び出してきて、
ティーポットから直接お茶を全部飲み干したとき、
彼は自分のせいにしました。
And the next time a sunburned crocodile landed on the roof
and accidentally broke the TV antenna, he confessed.
そして、次に日焼けしたワニが屋根の上に着陸して、
うっかりテレビのアンテナを壊してしまったとき、彼は白状しました。
And the next time a time traveling monkey appeared on top of the TV
and started throwing pencils at Grandpa while he was sleeping,
Tim said it was all his fault.
さらに、次にタイムトラベルするサルがテレビの上に現れて、
おじいちゃんが寝ている間に鉛筆を投げつけ始めたとき、
ティムはすべて自分のせいだと言いました。
But none of that helped.
Tim’s parents told him to go and water the vegetable garden
and think about all the bad things he’d done.
けれど、そのどれもが逆効果でした。
ティムの両親は、今度は野菜畑に水をやって、
自分がしたすべての悪いことについて反省しなさいと言いました。
If he told the truth he was in trouble, and if he lied he was in trouble.
What could he do?
Then he had an idea.
本当のことを言っても怒られるし、嘘をついても怒られる。
彼はどうすればいいのでしょう?
そのとき、彼はあるアイデアを思いつきました。
He found some paper and some stamps and he wrote six letters.
“Dear you, there is a party at my house tomorrow.
There will be plenty of cake, hammers, my new book bag, buckets of tea,
TV antennas and pencils. Please come. Me.”
彼は紙と切手を見つけて、6通の手紙を書きました。
「親愛なるあなたへ、明日僕の家でパーティーがあります。
たくさんのケーキ、ハンマー、僕の新しい通学カバン、バケツいっぱいのお茶、
テレビのアンテナ、そして鉛筆を用意しています。ぜひ来てください。僕より」
The next day was Saturday.
Dad was fixing the house, Grandpa was reading the newspaper and mom was vacuuming.
Then the doorbell rang, “Bing Bong!”
“Who could it be?” asked Grandpa.
“I’ll get it,” said Tim.
翌日は土曜日でした。
お父さんは家を修理し、おじいちゃんは新聞を読み、お母さんは掃除機をかけていました。
そのとき、ドアホンの音が「ピンポーン!」と鳴りました。
「一体誰だろう?」とおじいちゃんが尋ねました。
「僕が出るよ」とティムは言いました。
There at the door stood a line of strange creatures.
First a ninja, then an astronaut, a giant squid, a pirate, a crocodile recently recovered from sunburn, and a time traveling monkey.
ドアのところには、奇妙な生き物たちが一列に並んで立っていました。
最初に忍者、それから宇宙飛行士、巨大なイカ、海賊、日焼けから回復したばかりのワニ、そしてタイムトラベルするサルです。
Tim’s parents could see that he’d been trying to tell the truth from the beginning.
They said sorry and promised to buy him a 100 ice creams.
ティムの両親は、彼が最初から本当のことを言おうとしていたのだと気づきました。
二人は謝って、彼にアイスクリームを100個買ってあげると約束しました。
And for the rest of them, Tim’s parents were very upset.
“Go and rake all the leaves in the yard and think about what you’ve done,” said his dad.
Here they are raking the yard.
そして残りの連中に対して、ティムの両親は激怒しました。
「庭のすべての落ち葉をかき集めて、自分たちのしたことについて反省しなさい」とお父さんは言いました。
ほら、彼らは庭の落ち葉をかき集めています。
When they had cleaned the whole yard, there really was a party.
And no one ate all the cake, no one took anything without asking, no one swallowed a book bag, no one drank all the tea, no one broke the antenna, and no one threw pencils.
It was the best party Tim had ever had. The end.
彼らが庭全体をきれいに掃除したとき、本当にパーティーが開かれました。
And no one ate all the cake, no one took anything without asking, no one swallowed a book bag, no one drank all the tea, no one broke the antenna, and no one threw pencils.(そして、誰もケーキを全部食べたりしなかったし、誰も断りなく物を持っていかなかったし、誰も通学カバンを飲み込まなかったし、誰もすべてのお茶を飲み干さなかったし、誰もアンテナを壊さなかったし、誰も鉛筆を投げませんでした。)
それはティムがこれまでに経験した中で、最高のパーティーになりました。おしまい。
まとめ
親を困らせる子どもの奇想天外な言い訳も、もしかしたら彼らにとっては「本当のこと」なのかもしれません。本作は、大人の常識で決めつけずに子どもの言葉にしっかりと耳を傾けることの大切さを、笑いとともに教えてくれます。片付けや宿題といった日常のルールをめぐるやり取りの中で、この絵本を通じて「本当のことを話すこと」や「相手を信じること」について、親子で楽しくおしゃべりするきっかけにしてみてはいかがでしょうか。