こんにちは!
子どもが、ついカッとなったり、自分の思い通りにしたくて、とっさに嘘をついちゃった…なんてこと、ありませんか?
親としては「コラ!」って言いたくなるけれど、ぐっとこらえて、どうしてそんなことしちゃったのかなって、子どもの気持ちを想像してみるのも大切かもしれませんね。
でも、毎回冷静に対応するのって、なかなか難しいものです。僕も「またか~」なんて、頭を抱えちゃうこともありますよ。
今日は、そんな「嘘」というちょっぴりデリケートなテーマを、ユーモラスに、そして子どもにも分かりやすく描いた英語絵本『Pig the Fibber』をご紹介したいと思います。この絵本を読むと、親子で「嘘ってなんだろうね?」って話すきっかけになるかもしれません。
ここでは『Pig the Fibber』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
今回の主人公は、パグ犬のピグ。名前の「Pig」には、英語で「ブタ」の他に「食いしん坊」や「厄介者」なんて意味もあるそうですが、このピグはまさにそんな感じなんです。
ピグは、自分の思い通りにするためなら、しょっちゅう嘘をついて、それをぜーんぶ親友のトレバーのせいにしてしまいます。
リビングのマットをぐちゃぐちゃにしたのも、「トレバーがやったんだ!」
きれいな花瓶をガシャーン!と割っちゃった時も、「トレバーったら、何時間も変な感じだったんだ!」
可哀想なトレバーは「どうしてそんなことするの?僕たち友達じゃなかったの?」と悲しみますが、ピグは「ふん、どうでもいいよ」と知らんぷり。
そんなある日、ピグはとんでもない計画を思いつきます。「戸棚の高いところにあるおやつを、ぜーんぶ盗んでやる!」と。そのために、またまた巧妙な嘘を仕掛けるのですが…。
さて、嘘つきピグの計画はうまくいくのでしょうか?そして、そんなピグを待ち受けていたものとは…?クスッと笑える結末が、この絵本の魅力の一つです。
「嘘はダメ!」だけじゃ、伝わらないこともある?
子どもが嘘をついたとき、「嘘は絶対にいけません!」「正直が一番ですよ」と教えるのは、もちろんとても大切なことですよね。
でも、それだけで子どもの嘘がピタッと止まるかというと、うーん、なかなかそうもいかないのが現実かもしれません。
むしろ、頭ごなしに叱ってしまうと、子どもは反発したり、もっとバレないように巧妙な嘘をつくようになってしまう…なんてことも。ちょっぴり心配になりますよね。
もしかしたら、「なぜ嘘をついてしまうのか」という、その奥にある子どもの気持ちに、私たち大人が気づけていないだけなのかもしれません。
ピグの気持ち、トレバーの気持ち、そして私たちの気持ち
この絵本に出てくるピグは、自分の欲求を満たしたい、怒られたくない、という、ある意味とても子どもらしい、ちょっぴり短絡的な考えで嘘をついてしまいます。
一方で、いつも濡れ衣を着せられるトレバーの悲しさ、やるせなさを思うと、胸がキュッとしますよね。
そして、子どもの嘘に気づいた時の親の気持ち。「え、どうして…?」というショックや、「どうやって伝えたらいいんだろう」という戸惑い。時には「うちの子だけ、こんな嘘ついちゃうのかな…」なんて、不安になってしまうこともあるかもしれません。
ところで、この絵本には「fib」と「lie」という二つの「嘘」を表す言葉が出てきます。
「fib」というのは、深刻なものではない、ちょっとしたその場しのぎの嘘、みたいなニュアンスだそうです。
一方で「lie」は、意図的に人をだまそうとする、もっとたちの悪い嘘、という感じでしょうか。
大人だって、ついつい「fib」に近いようなごまかしをしちゃうこと、…なくもないですよね?(笑)
とはいえ、やっぱり正直が一番!をユーモラスに
というわけで、やっぱり嘘は良くないものです。
でも、この『Pig the Fibber』の素晴らしいところは、「嘘はダメ!」と真正面からお説教するのではなくて、とってもユーモラスな展開で「嘘をつくと、結局どうなっちゃうのか」を子どもたちに見せてくれるところなんです。
ピグが自分のついた嘘が原因で、ちょっと痛い目にあうシーンがあるのですが、それが何ともコミカル!
「罰」というよりは、「あーあ、ピグったら、自分でまいた種だねぇ」と、子どももクスッと笑いながら客観的に見られるような描かれ方なんですね。
「正直でいることの大切さ」を、怖い顔で教えるのではなくて、こんな風に笑いを交えて伝えてくれるなんて、なんだか素敵だと思いませんか?
この絵本を読みながら、「ピグ、本当はどうすればよかったと思う?」なんて、お子さんと一緒に話してみるのも、きっと楽しい時間になると思います。
英語学習のポイント
この絵本には、日常で使える面白い英語表現も隠れています。いくつかピックアップしてご紹介しますね。
fib / lie
fib: 先ほども少し触れましたが、これは「(悪意のない)ちょっとした嘘」という意味です。ものすごくざっくりいうと、「つい言っちゃった、ごめん!」くらいの軽い嘘ですね。
例文:He told a fib about finishing his homework, but his mom found out. (彼は宿題を終えたとちょっとした嘘をついたが、お母さんに見破られた。)
lie: こちらは「(意図的に人をだます)嘘」で、もっと非難されるべき行為を指します。「fib」よりも重たい意味合いになります。
例文:It’s not good to tell a lie to your friends. (友達に嘘をつくのは良くないことです。)
get his own way
これは「自分の思い通りにする」「自分のやりたいようにする」という意味のイディオムです。絵本の中では、ピグが嘘をついてまで自分の欲求を通そうとする様子が描かれていますね。
例文:The little girl started to cry because she couldn’t get her own way. (その小さな女の子は、自分の思い通りにならなかったので泣き始めた。)
mess up
「~を散らかす」「~を台無しにする」という意味で、とてもよく使われる表現です。ピグがリビングのマットをぐちゃぐちゃにするシーンで出てきますね。
例文:Please don’t mess up the kitchen while I’m out. (私が出かけている間、キッチンを散らかさないでね。)
こんな風に、絵本の中の言葉に注目してみるのも、英語学習の楽しい入り口になるかもしれません。
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
さて、このユーモラスでちょっぴり教訓的なお話、原文と日本語訳でじっくり味わってみませんか?
Pig was a pug and I’m sorry to say,
ピッグはパグで、残念なことに、
he would often tell lies just to get his own way.
自分の思い通りにするためなら、しょっちゅう嘘をつきました。
And when he would fib he was awfully clever.
そして、嘘をつくとき、彼はとんでもなく賢かった。
When Pig got in trouble…
ピッグが困ったことになると…
he would always blame Trevor.
いつもトレバーのせいにしました。
You see, he would mess up the living room mat.
ほら、彼はリビングのマットを散らかして、
And then he’d just point and say,
それから指をさしてこう言うんです。
“Trevor did that.”
「あれ、トレバーがやったんだ。」
Or he’d shatter a beautiful vase full of flowers…
あるいは、美しい花瓶を割ってしまって…
And then he’d say,
それからこう言うんです。
“Trevor’s been crazy for hours!”
「トレバー、何時間も気が狂ってるんだよ!」
He once even ripped up a lovely old dress…
一度、彼は素敵な古いドレスさえも破ってしまいました…
Then he hid behind Trevor and made him confess.
それからトレバーの後ろに隠れて、彼に告白させました。
“Why do you do this?” asked poor little Trevor.
「なんでこんなことするんだ?」かわいそうな小さなトレバーが尋ねました。
“I thought we were friends.”
「僕たち友達だと思ってたのに。」
But Pig said, “Whatever.”
でもピッグは「どうでもいいよ」と言いました。
Then came the day of Pig’s sneakiest plan.
そして、ピッグの最も卑怯な計画の日が来ました。
He said, “I will steal all the treats that I can!
彼は言いました。「できるだけたくさんのおやつを盗んでやる!
They keep them up there, in the closet up high.
彼らはあれを高いところ、クローゼットの上のほうにしまってるんだ。
But before I could get them, I need a good lie…”
でも、それを手に入れる前に、うまい嘘が必要だな…」
And with that, he blow off.
そして、彼は放屁しました。
It was stinky and grim.
それは臭くて、ひどいものでした。
Then he pointed at Trevor and said, “It was him!”
それからトレバーを指さして言いました。「あいつだよ!」
So Trevor was taken outside for some air.
それでトレバーは外に空気を吸いに出されました。
This was Pig’s chance, and he climbed on a chair.
これがピッグのチャンスで、彼は椅子によじ登りました。
“Those treats will be mine!
「あのおやつは僕のものだ!
And I’ll gobble them all!”
全部むさぼり食ってやる!」
But behind all those treats…
でも、あのおやつたちの後ろには…
…was an old bowling ball.
…古いボウリングの玉がありました。
These days it’s different,
最近は違うんです、
I’m happy to say.
喜んで言えます。
Pig has stopped lying! Hip hip hooray!
ピッグは嘘をつくのをやめました!やったー!
He may have some bruises.
彼はいくつか痣があるかもしれません。
And one less front tooth.
そして前歯が一本少ないかもしれません。
But he sure learned his lesson…
でも彼は間違いなく教訓を学びました…
And that is the truth.
そして、それが真実です。
最後に:正直な心と、ユーモアと
というわけで、今日は嘘つきパグのピグが主人公の英語絵本『Pig the Fibber』をご紹介しました。
子どもの「嘘」という、時には向き合うのが難しいテーマも、この絵本のようにユーモアたっぷりに描かれると、親子で「どうしてかな?」「どうしたらいいかな?」と、肩の力を抜いて話し合うきっかけになるかもしれませんね。
大切なのは、頭ごなしに叱りつけるのではなくて、どうして嘘をついてしまったのか、その気持ちに少しだけ寄り添ってみること。そして、正直でいることの心地よさや大切さを、一緒に感じていくことなのかもしれません。
この『Pig the Fibber』が、そんな親子のコミュニケーションの、ちょっとしたお手伝いができたら、僕もとても嬉しいです。