「うちの子、ちょっとしたことでもすぐ怖がってしまって……」そう感じることはありませんか。夜、ベッドの隅に縮こまりながら「物音がした」と言い張る子どもを前に、親の私たちもどう声をかければいいか迷ってしまいがちですよね。
英語絵本『Mr. Nervous』の主人公ナーバスくんは、もう徹底的な怖がりさんです。落ち葉が窓に当たる音に布団の中へ逃げ込み、コーンフレークのパチパチ音に台所テーブルの下へ飛び込み、ミミズに「人喰いヘビだ!」と叫んで木の上によじ登る、読んでいると思わずクスッとしてしまいます。でもその笑いの向こうに、「反応する前に、ちょっと考えてみよう」というメッセージが静かに流れています。
ここでは、『Mr. Nervous』のあらすじのほか、英語学習のポイント、読み聞かせ動画などを掲載しています。
『Mr. Nervous』の基本情報
| タイトル | Mr. Nervous |
|---|---|
| 著者 | Roger Hargreaves |
| イラスト | Roger Hargreaves |
| シリーズ | Mr. Men |
| 出版社 | Egmont |
| 対象年齢(目安) | 3〜6歳 |
あらすじ
ナーバスくんは、文字通り「何でも怖い」男の子(?)です。森の奥深くに一人で住んでいるのも、誰かと関わると怖いことが増えるから。ところがある秋の朝、すべての「怖い」が一日のうちに押し寄せてきます。
まず窓に当たった落ち葉の音に「地震だ!世界の終わりだ!」と布団へ潜り込み、朝食のコーンフレークが牛乳でパチパチ鳴れば「銃声だ!戦争だ!」とテーブルの下へ。散歩に出ればミミズに「人喰いヘビだ!」と木の上へ。1時間ずつ怯えながらも、なんとか元の場所に戻り、次の場所へ進んでいく——その繰り返しがユーモラスに描かれています。
そしてついに、原っぱへ続く森の出口で物語はひとつの転機を迎えます。どこまでも続くナーバスくんの過剰反応は笑いを誘いながらも、「本当に怖いのかな?」とひと呼吸おいて確認することの大切さを、ページをめくるたびにそっと伝えてくれます。
英語学習のポイント
① at the slightest little thing — ほんのわずかなことで
「slightest」は「最も小さな・わずかな」という意味の最上級形。”at the slightest ~” という形で「ちょっとでも~があれば」という条件・程度を伝える表現です。心配性や敏感な様子を描写するときに特に使いやすいフレーズです。
- at the slightest little thing:ほんのわずかなことで
- He panics at the slightest little thing.(彼はほんのわずかなことでパニックになる。)
- She cries at the slightest little thing.(彼女はほんのわずかなことで泣いてしまう。)
② quiver / tremble / shake — 震えを表す3つの動詞
作中では “quiver and tremble and shake” と3つの動詞が並べて使われています。重ねて使うことで震えの激しさを強調するリズミカルな表現です。それぞれのニュアンスを区別して覚えておくと、英語でのリアルな感情描写に役立ちます。
- quiver:(細かく)震える、ふるえる
- Her voice quivered with fear.(彼女の声は恐怖で震えた。)
- tremble:(体が)ガタガタと震える
- He trembled before the crowd.(彼は群衆の前でガタガタと震えた。)
- shake:(大きく)揺れる・震える
- My hands were shaking with nervousness.(緊張で手が震えた。)
③ nearly jumped out of his skin — 飛び上がるほど驚いた
「肌から飛び出してしまいそうなほど」という誇張からきた慣用表現(イディオム)です。「ひどく驚く」「びっくり仰天する」という意味で、日常会話でもよく使われます。”nearly” の代わりに “almost” も使えます。
- nearly jump out of one’s skin:飛び上がるほど驚く
- I nearly jumped out of my skin when the alarm went off.(アラームが鳴って、飛び上がるほど驚いた。)
- She nearly jumped out of her skin when I said “Boo!”(「ばあ!」と言ったら、彼女は飛び上がるほど驚いた。)
読み聞かせ動画
日本語訳(全文)
Poor Mr. Nervous was frightened of everything and anything. At the slightest little thing, he would quiver and tremble and shake and turn to jelly.
かわいそうなナーバスくんは、ありとあらゆるものが怖くてたまりませんでした。ほんのささいなことでも、彼はぶるぶる、がたがた、わなわなと震え、腰が抜けてしまうのでした。
So, it’s not really surprising to find that Mr. Nervous lives as far away from anybody as possible. In the middle of the woods, miles and miles from anywhere.
ですから、ナーバスくんが他の誰からもできるだけ遠く離れて暮らしているのを知っても、まったく不思議ではありません。森の真ん中の、どこからも何マイルも何マイルも離れた場所です。
This story begins one morning when Mr. Nervous was asleep. It was a beautiful autumn morning. The sun was shining. The leaves on the trees had turned to a glorious red. And the wind steered gently in the treetops.
この物語は、ある朝、ナーバスくんが眠っていたときから始まります。それは美しい秋の朝でした。太陽が輝いていました。木々の葉は見事な赤色に変わっていました。そして、風が梢を優しく吹き抜けていきました。
A single leaf fell gently from the tree right outside Mr. Nervous’s house and quietly brushed against his bedroom window as it fell. Mr. Nervous awoke with a start. “What’s that terrible noise?” he cried. “Oh heavens! the house is falling down! Oh disaster! it’s an earthquake. Oh calamity! it’s the end of the world!” He hid under the bedclothes, trembling with fright.
ナーバスくんの家のすぐ外にある木から、一枚の葉がひらひらと落ち、落ちる途中で彼の寝室の窓に静かにこすれました。ナーバスくんはハッと目を覚ましました。「今の恐ろしい音は何だ?」と彼は叫びました。「ああ、大変だ!家が崩れてくる!ああ、大惨事だ!地震だ。ああ、大災難だ!世界の終わりだ!」彼は恐怖に震えながら、布団の中に隠れました。
After an hour, by which time he realized that his house wasn’t falling down, and there wasn’t an earthquake, and the world wasn’t coming to an end, Mr. Nervous peeped out from under the bedclothes. “Phew,” he said. “Thank goodness for that!” And he got up and went downstairs to make his breakfast.
1時間ほど経ち、家が崩れていないこと、地震が起きていないこと、そして世界の終わりが来ていないことに気づいたナーバスくんは、布団の中からこっそり外を覗きました。「ふう」と彼は言いました。「よかった、本当に助かった!」そして彼は起き上がり、朝食を作るために階下へ降りていきました。
Mr. Nervous poured some cornflakes out of a packet onto a plate. Then he poured some milk onto the cornflakes. Then he went to the cupboard to get some sugar. Snap! Crackle! Pop! went the cornflakes in the milk. “Oh, goodness gracious!” cried Mr. Nervous, diving under the kitchen table. “Oh dear, I hear guns. Oh, calamity. It’s war!” But of course, it wasn’t. And of course, Mr. Nervous eventually came out from under the table and ate up all his cornflakes.
ナーバスくんは袋からお皿にコーンフレークを注ぎました。それから、コーンフレークに牛乳を注ぎました。それから、砂糖を取るために食器棚へ行きました。パチパチ!プチプチ!サクサク!と、牛乳の中でコーンフレークが音を立てました。「おやおや、なんてことだ!」ナーバスくんは叫び、台所のテーブルの下に飛び込みました。「大変だ、銃の音が聞こえる。ああ、大災難だ。戦争だ!」でももちろん、そんなわけはありません。そしてもちろん、ナーバスくんは最終的にテーブルの下から出てきて、コーンフレークを全部きれいに平らげました。
After breakfast, Mr. Nervous thought that he’d go for a walk. He was walking through the woods that surround his house when a worm poked his head out of the ground. “Morning,” said the worm cheerfully to Mr. Nervous. Mr. Nervous nearly jumped out of his skin. “What?” he shouted. “Who’s there?” And then he saw the worm. “Oh, good heavens! It’s a snake! Oh dear! A man-eating snake! Oh, calamity! I’m going to be eaten alive!” and he jumped up into a tree. “What a performance!” commented the worm. And he went back into his hole.
朝食の後、ナーバスくんは散歩に出かけようと思いました。彼が家の周りの森を歩いていると、一匹のミミズが地面からひょっこり頭を出しました。「おはよう」とミミズは元気よくナーバスくんに声をかけました。ナーバスくんは飛び上がるほど驚きました。「何だって?」と彼は叫びました。「そこにいるのは誰だ?」そして、彼はミミズの姿を目にしました。「お、おお、大変だ!ヘビだ!なんてこった!人喰いヘビだ!ああ、大災難だ!生きたまま食べられてしまう!」そう言うと、彼は木の上に飛び乗りました。「大げさだなぁ!」とミミズは呆れました。そして、自分の穴の中へと戻っていきました。
After an hour, Mr. Nervous felt brave enough to climb down from the tree and continue his walk. Eventually, he came out of the other side of the woods and into a field. Mr. Nervous glanced around nervously. It was an empty field. Or was it?
1時間後、ナーバスくんは木から降りて散歩を続けるだけの勇気が湧いてきました。やがて、彼は森の反対側から抜けて、原っぱに出ました。ナーバスくんはおどおどしながら辺りを見回しました。そこは何もない原っぱでした。……本当にそうだったのでしょうか?
まとめ
ナーバスくんを読んでいると、怖がりな子どもの姿が頭に浮かんでくるかもしれません。でも同時に、「大人の私たちも、実は似たようなことをしているのかも」と思ったりもします。声を荒らげる前に、叱る前に、「本当にそうかな?」とひと呼吸置く習慣。ナーバスくんが身をもって教えてくれているのは、もしかしたらそういうことなのかもしれません。
英語絵本としても、”quiver and tremble and shake” のリズミカルな重ね言葉や “nearly jumped out of his skin” のようなイディオムが自然な形で出てきます。怖がる場面を親子で声に出して読んでみると、「こんなに大げさだったっけ?」と思わず笑い合える瞬間が生まれるかもしれません。