Frederick(フレデリック):レオ・レオニの英語絵本

Frederick(フレデリック):レオ・レオニの英語絵本|“働かないネズミ”が教えてくれること【あらすじ・全文和訳付】

日々の子育てや家事の中で、何かと「やることリスト」に追われてしまうことはありませんか?子どもにも「お片付けしてね」「これ手伝って」とつい声をかけてしまう毎日。そんな忙しい最中に、ひとりだけ窓の外をぼんやり眺めている子がいると、「ちょっと、みんな動いてるよ」と言いたくなってしまうこともありますよね。

今回ご紹介する『Frederick(フレデリック)』は、まさにそんな場面を野ネズミの世界で描いた物語です。作者はオランダ生まれの絵本作家レオ・レオニ。本作は、アメリカで最も権威ある絵本賞のひとつ、カルデコット賞のオナー(次点)に選ばれた一冊でもあります。仲間がせっせと食料を集める横で、フレデリックが集めていたのは光や色、そして言葉でした。

今回手に取ったのは、自分で読み始める段階の子に向けた「Step into Reading」シリーズのStep3版。レオ・レオニの世界を、子ども自身の力で読み進められるように作られています。

ここでは、Frederick(フレデリック)のあらすじのほか、英語学習のポイント、読み聞かせ動画などを掲載しています。

『Frederick』の基本情報

タイトルFrederick (Step Into Reading, Step 3)
著者Leo Lionni(レオ・レオニ)
イラストLeo Lionni(レオ・レオニ)
出版社Random House Books for Young Readers
対象年齢(目安)4歳〜8歳ごろ(自分で読み始める段階)

あらすじ

物語の舞台は、牛や馬が過ごす牧草地のそばにある古い石垣。そこには、おしゃべりな野ネズミの家族が暮らしていました。農夫たちが去って納屋も穀物倉も空っぽになり、冬が近づくと、ネズミたちはトウモロコシや木の実を昼も夜も集め始めます。ところが、フレデリックだけは働きません。仲間が「どうして働かないの?」と尋ねると、彼は「おひさまの光を集めている」「色を集めている」「言葉を集めている」と答えるのです。

やがて冬が来て、ネズミたちは石垣の隠れ家にこもります。はじめは食べ物も話題もたくさんありましたが、少しずつ蓄えは尽き、寒さの中で誰もおしゃべりする気力を失っていきます。そんなとき、みんなはフレデリックが集めていたものを思い出します。

目を閉じた仲間たちに、フレデリックはおひさまの光のことを語り、青や赤や緑の色を語り、最後には四季をうたった詩を披露します。すると不思議なことに、ネズミたちは体が温かくなり、色をはっきりと思い浮かべ、心が満たされていきました。「フレデリック、君は詩人だね!」——仲間からそう言われたフレデリックの、はにかんだ返事で物語は幕を閉じます。働き方も、誰かの役に立つかたちも、ひとつではない。そんなことが伝わってくる一冊です。

英語学習のポイント

gather(集める)を使った言い回し

物語の鍵となる動詞が gather(集める)です。食料を集める場面でも、フレデリックが光や言葉を集める場面でも繰り返し登場するので、自然と耳に残ります。「〜を集める」と言いたいときにそのまま使える便利な単語です。

  • gather:集める
    • I gather sunrays for the cold dark winter days.(寒くて暗い冬の日のために、おひさまの光を集めているんだ)
    • Let's gather some leaves in the park.(公園で葉っぱを集めようよ)

Close your eyes.(目を閉じて)— 親子で使える優しい命令文

フレデリックが仲間に語りかける Close your eyes.(目を閉じて)は、寝かしつけや手品ごっこ、想像遊びなど、家庭でそのまま使える一文です。動詞から始まる短い命令文は、子どもへの声かけにぴったりです。

  • Close your eyes.:目を閉じて
    • Close your eyes and listen.(目を閉じて、聞いてごらん)
    • Open your eyes!(目を開けて!)

Who 〜? で広がる、四季をうたう疑問文

クライマックスの詩では Who scatters snowflakes?(誰が雪を散らすの?)のように Who 〜? の疑問文がリズミカルに続きます。「誰が〜するの?」という形は、絵本のなぞなぞ遊びや日常の問いかけにも応用しやすい構文です。

  • Who 〜?:誰が〜するの?
    • Who scatters snowflakes?(誰が雪の結晶を散らすの?)
    • Who melts the ice?(誰が氷を溶かすの?)
    • Who lights the moon?(誰が月に明かりを灯すの?)

読み聞かせ動画

ゆっくりとした語りで、フレデリックの詩の部分のリズムも味わえます。文字を追いながら耳でも確認できるので、ひとり読みの練習にも役立ちます。

日本語訳(全文)

All along the meadow where the cows grazed and the horses ran, there was an old stone wall.

牛たちが草を食み、馬たちが駆ける牧草地に沿って、古い石垣がありました。

In that wall, not far from the barn in the granary, a chatty family of field mice had their home.

その石垣の、納屋や穀物倉からほど近い場所に、おしゃべりな野ネズミの家族が住処にしていました。

But the farmers had moved away, the barn was abandoned and the granary stood empty. And since winter was not far off, the little mice began to gather corn and nuts and wheat and straw.

しかし、農夫たちは引っ越してしまい、納屋は荒れ果て、穀物倉は空っぽになっていました。そして冬が近づいていたので、小さなネズミたちはトウモロコシや木の実、小麦やワラを集め始めました。

They all worked day and night – all except Frederick. “Frederick, why don’t you work?” they asked. “I do work,” said Frederick. “I gather sunrays for the cold dark winter days.”

彼らはみんな昼も夜も働きました。フレデリックだけを除いて。「フレデリック、どうして働かないの?」とみんなが尋ねました。「働いているよ」とフレデリックは言いました。「寒くて暗い冬の日のために、おひさまの光を集めているんだ」

And when they saw Frederick sitting there staring at the meadow, they said, “And now, Frederick?” “I gather colors,” answered Frederick simply, “for winter is gray.”

そして、フレデリックがそこに座って牧草地をじっと見つめているのを見て、みんなは言いました。「じゃあ今は、フレデリック?」「色を集めているんだ」フレデリックはあっさりと答えました。「冬は灰色だからね」

And once Frederick seemed half asleep. “Are you dreaming, Frederick?” they asked reproachfully. But Frederick said, “Oh no, I am gathering words, for the winter days are long and many and we’ll run out of things to say.”

あるとき、フレデリックは半分眠っているように見えました。「居眠りしているの、フレデリック?」とみんなは責めるように尋ねました。しかしフレデリックは言いました。「まさか、言葉を集めているんだ。冬の日は長くてたくさんあるから、話すことがなくなっちゃうだろ」

The winter days came, and when the first snow fell, the five little field mice took to their hideout in the stones.

冬の日がやってきて、初雪が降ったとき、5匹の小さな野ネズミたちは石垣の中の隠れ家に入りました。

In the beginning there was lots to eat, and the mice told stories of foolish foxes and silly cats. They were a happy family.

最初のうちは食べ物がたくさんあり、ネズミたちは間抜けなキツネやばかな猫の話をしました。彼らは幸せな家族でした。

But little by little they had nibbled up most of the nuts and berries, the straw was gone and the corn was only a memory. It was cold in the wall and no one felt like chatting.

しかし、少しずつ彼らは木の実や実のほとんどをかじってしまい、ワラはなくなり、トウモロコシはただの思い出になってしまいました。石垣の中は寒く、誰もおしゃべりをする気になれませんでした。

Then they remembered what Frederick had said about sun rays and colors and words. “What about your supplies, Frederick?” they asked.

そのとき、彼らはフレデリックがおひさまの光や色、言葉について言っていたことを思い出しました。「君の蓄えはどうなんだい、フレデリック?」とみんなは尋ねました。

“Close your eyes,” said Frederick as he climbed on a big stone. “Now I send you the rays of the sun. Do you feel how their golden glow…”

「目を閉じて」とフレデリックは言い、大きな石の上に登りました。「さあ、おひさまの光をみんなに送るよ。その黄金の輝きがどんなにか…」

And as Frederick spoke of the sun, the four little mice began to feel warmer. Was it Frederick’s voice? Was it magic?

フレデリックが太陽について語ると、4匹の小さなネズミたちは体が温かくなってくるのを感じ始めました。それはフレデリックの声のせいでしょうか?それとも不思議な力でしょうか?

“And how about the colors, Frederick?” they asked anxiously. “Close your eyes again,” Frederick said. And when he told them of the blue periwinkles, the red poppies in the yellow wheat and the green leaves of the berry bush, they saw the colors as clearly as if they had been painted in their minds.

「じゃあ色は、フレデリック?」とみんなは待ちきれない様子で尋ねました。「もう一度目を閉じて」とフレデリックは言いました。そして彼が、青いツルニチニチソウや、黄色い小麦の中の赤いひなげし、木の実の茂みの緑の葉について語ると、彼らはまるで心の中に描かれたかのように、はっきりとその色を見たのです。

“And the words, Frederick?” Frederick cleared his throat, waited a moment, and then, as if from a stage, he said:

「それと言葉は、フレデリック?」フレデリックは咳払いをし、少し待ってから、まるで舞台の上にいるかのように言いました。

“Who scatters snowflakes? Who melts the ice? Who spoils the weather? Who makes it nice? Who grows the four-leaf clovers in June? Who dims the daylight? Who lights the moon?

「誰が雪の結晶を散らすの?誰が氷を溶かすの?誰がお天気を悪くするの?誰がそれを素敵にするの?誰が6月に四つ葉のクローバーを育てるの?誰が昼の光を薄暗くするの?誰が月に明かりを灯すの?

Four little field mice who live in the sky. Four little field mice like you and I.

空に住んでいる4匹の小さな野ネズミ。君と僕みたいな4匹の小さな野ネズミ。

One is the spring mouse who turns on the showers. Then comes the summer who paints in the flowers. The fall mouse is next with walnuts and wheat. And winter is last with little cold feet.

最初の1匹は、にわか雨を降らせる春のネズミ。それから、お花を色づける夏がやってくる。秋のネズミは次で、クルミと小麦を持ってくる。そして冬が最後で、冷たくて小さな足をしている。

Aren’t we lucky the seasons are four? Think of a year with one less … or one more!”

4つの季節があるなんて、僕たちは幸運じゃないかい?1つ少なかったり…1つ多かったりする1年を考えてごらん!」

When Frederick had finished, they all applauded. “But Frederick,” they said, “you are a poet!”

フレデリックが話し終えると、みんな拍手喝采しました。「でもフレデリック」とみんなは言いました。「君は詩人だね!」

Frederick blushed, took a bow, and said shyly, “I know it.”

フレデリックは赤面し、お辞儀をして、はにかみながら言いました。「知っているよ」

まとめ

仲間が食べ物を蓄える横で、フレデリックが集めていたのは光や色、言葉でした。最初は「何もしていない」ように見えても、寒く長い冬の夜、みんなの心をあたためたのは彼の集めたものだったのですね。

子どもがぼんやり空を眺めていたり、みんなと同じペースで動けなかったりすると、つい気になってしまうものです。でもこの物語を読んでいると、その子が今、その子なりに何かを「集めて」いる最中なのかもしれない、と思えてきそうですよね。

寒い季節、お子さんと一緒に目を閉じて、フレデリックの言葉に耳をすませてみてください。それぞれのペースや得意なことを、そっと見守るきっかけになる一冊です。



 

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