雨上がりの夕方、水たまりをのぞき込むと、小さな生き物たちがせわしなく動いているのを見かける季節になりました。そんなとき、子どもの頃に夢中でオタマジャクシを追いかけた思い出がよみがえる方も多いのではないでしょうか。
今回は、レオ・レオニが描く、成長とともに異なる道を歩む二匹の生き物の物語『Fish is Fish』をご紹介します。オタマジャクシからカエルへと姿を変えて陸に上がる友だちと、水の中にとどまる魚。互いの違いを認めながら、自分自身のいる場所の素晴らしさに気づくストーリーは、英語の表現だけでなく、子どもたちの心にも深く残る温かさを持っています。
ここでは、Fish is Fishのあらすじのほか、英語学習のポイント、読み聞かせ動画などを掲載しています。
『Fish is Fish』の基本情報
| タイトル | Fish is Fish (Step into Reading, Step 3) |
|---|---|
| 著者 | Leo Lionni |
| イラスト | Leo Lionni |
| 出版社 | Random House |
| 対象年齢(目安) | 5歳〜8歳(Step into Reading Step 3) |
あらすじ
森の端にある池で、いつも一緒に泳いでいた小さな魚(ミノウ)とオタマジャクシ。ある日、オタマジャクシに足が生えてカエルになり、陸の世界へと旅立ちます。一人取り残された魚は、友だちのいなくなった池で寂しく過ごしながらも、かつての友が戻ってくるのを待ち望んでいました。
やがて池に戻ってきたカエルから、陸の上にある色鮮やかな鳥たちや、乳袋をぶら下げた牛、そして服を着た人間たちの話を聞いた魚は、頭の中にまだ見ぬ美しい世界を描き出します。自分もどうしてもその世界を見てみたいと願った魚は、尾ひれを力強く振って陸へと飛び上がりますが、乾いた草の上で息ができなくなり、動くこともできなくなってしまいます。
危機一髪のところでカエルに助けられ、再びきれいで冷たい水の中に戻った魚は、水中で浮遊する心地よさや藻の間に差し込む光の美しさを改めて実感します。そして、自分には自分の生きる素晴らしい世界があるのだと微笑みながら気づくのです。
日常会話で使える!英語学習のポイント
物語の中には、親子の日常会話に取り入れやすいシンプルなフレーズや、感情を伝えるのに役立つ表現がたくさん含まれています。ここでは特に使いやすい3つのポイントを紹介します。
1. 強い絆を表す「inseparable friends」
「inseparable」は「離れられない」「いつも一緒の」という意味で、仲の良い友だちやペットとの関係を表現するのに最適な言葉です。
- inseparable friends
- いつも一緒の友だち(親友)
- My daughter and her puppy are inseparable friends.(娘と子犬はいつも一緒の大親友です。)
- They became inseparable friends after joining the soccer club.(彼らはサッカー部に入ってから、大の仲良しになりました。)
2. 「そんなわけない!」と返すときの「Nonsense」
相手の突拍子もない意見に対して、「バカげている」「そんなわけないよ」と親しみを持って否定するときに使われる一言です。
- Nonsense
- そんなわけない / 馬鹿げている
- “I can’t do this.” “Nonsense! You can do it.”(「僕にはできないよ」「そんなことない!君ならできるよ。」)
- Nonsense! There is no such thing as a ghost.(そんなわけないよ!お化けなんてこの世にいないさ。)
3. 決意や判断を伝える「decide that」
「〜することに決める」「〜だと決心する」という表現で、主語のあとに続く内容を決意した際に日常的によく使われます。
- decide that
- 〜することに決める / 決心する
- I decided that I would study English every day.(私は毎日英語を勉強することに決めました。)
- We decided that we should go home before it gets dark.(暗くなる前に家に帰るべきだと私たちは決めました。)
読み聞かせ動画のご紹介
ネイティブの発音や絵本の色彩を耳と目で楽しむことができる読み聞かせ動画です。美しいイラストの動きを見ながら、ストーリーのテンポを感じてみてください。
『Fish is Fish』英語・日本語対訳(全文)
At the edge of the woods there was a pond, and there a minnow and a tadpole swam among the weeds.
森の端に池があり、そこではミノウ(小魚)とオタマジャクシが藻の間を泳いでいました。
They were inseparable friends.
二匹は離れられない友達でした。
One morning the tadpole discovered that during the night he had grown two little legs.
ある朝、オタマジャクシは夜の間に自分に小さな足が2本生えていることに気づきました。
“Look,” he said triumphantly, “look, I am a frog!”
「見てよ」と彼は勝ち誇ったように言いました。「見て、僕はカエルだ!」
“Nonsense,” said the minnow, “how could you be a frog if only last night you were a little fish just like me!”
「馬鹿げてる」とミノウは言いました。「昨日の夜までは僕と同じただの小さな魚だったのに、どうしてカエルになれるんだい!」
They argued and argued until finally the tadpole said, “Frogs are frogs and fishes fish, and that’s that!”
二匹は何度も何度も言い争い、ついにオタマジャクシが言いました。「カエルはカエル、魚は魚、そういうものさ!」
In the weeks that followed, the tadpole grew tiny front legs and his tail got smaller and smaller.
それからの数週間で、オタマジャクシには小さな前足が生え、尻尾はどんどん小さくなっていきました。
And then one fine day, a real frog now, he climbed out of the water and onto the grassy bank.
そしてある晴れた日、すっかり本物のカエルになった彼は、水から這い上がって草の茂る土手へと登っていきました。
The minnow too had grown and had become a full-fledged fish.
ミノウもまた成長し、一人前の魚になっていました。
He often wondered where his four-footed friend had gone.
彼は、あの四本足の友達がどこへ行ってしまったのだろうとしばしば考えていました。
But days and weeks went by and the frog did not return.
しかし、何日も何週間もが過ぎ去っても、カエルは戻ってきませんでした。
Then one day, with a happy splash that shook the weeds, the frog jumped into the pond.
そんなある日、藻を揺らす嬉しそうな水しぶきとともに、カエルが池に飛び込んできました。
“Where have you been?” asked the fish excitedly.
「どこに行っていたんだい?」と魚は興奮して尋ねました。
“I have been about the world hopping here and there,” said the frog, “and I have seen extraordinary things.”
「世界中をあちこちピョンピョン跳ね回っていたんだ」とカエルは言いました。「そして、すごいものを見てきたよ」
“Like what?” asked the fish.
「例えばどんなもの?」と魚は尋ねました。
“Birds,” said the frog mysteriously.
「鳥さ」とカエルはもったいぶって言いました。
“Birds.”
「鳥?」
And he told the fish about the birds who had wings and two legs and many many colors.
そして彼は魚に、翼と2本の足を持ち、たくさんの色にあふれた鳥たちのことを話しました。
As the frog talked, his friend saw the birds fly through his mind like large feathered fish.
カエルが話すにつれて、友達の魚の心の中には、まるで羽の生えた大きな魚のように鳥たちが飛び交いました。
“What else?” asked the fish impatiently.
「他には?」と魚は待ちきれない様子で尋ねました。
“Cows,” said the frog.
「牛さ」とカエルは言いました。
“Cows! They have four legs, horns, eat grass, and carry pink bags of milk.”
「牛! 4本の足と角があって、草を食べて、ピンク色のミルクの袋をぶら下げているんだ」
“And people,” said the frog, “Men, women, children!”
「それから人間さ」とカエルは言いました。「男の人、女の人、子供たち!」
And he talked and talked until it was dark in the pond.
そして彼は、池の中が暗くなるまで話し続けました。
But the picture in the fish’s mind was full of lights and colors and marvelous things, and he couldn’t sleep.
しかし、魚の心の中の映像は光と色彩、そして不思議なものでいっぱいで、彼は眠ることができませんでした。
Ah, if he could only jump about like his friend and see that wonderful world.
ああ、自分も友達のように飛び跳ねて、あの素晴らしい世界を見ることができたらいいのに。
And so the days went by.
こうして日々が過ぎていきました。
The frog had gone and the fish just lay there dreaming about birds and flight, grazing cows, and those strange animals all dressed up that his friend called people.
カエルは去ってしまい、魚はただそこに横たわって、鳥や飛行、草を食む牛、そして友達が人間と呼んだ、すっかり服を着飾った奇妙な動物たちの夢を見ていました。
One day he finally decided that come what made he too must see them.
ある日、彼は何が何でも自分もそれらを見なければならないとついに決心しました。
And so, with a mighty whack of the tail, he jumped clear out of the water onto the bank.
そこで、尾ひれを力強くひと振りすると、彼は水から飛び出して土手の上へと飛び上がりました。
He landed in the dry warm grass and there he lay gasping for air, unable to breathe or to move.
彼は乾いた暖かい草の上に落ち、息もできず動くこともできずに、空気を求めてあえぎながらそこに横たわりました。
“Help,” he groaned feebly.
「助けて」と彼は弱々しくうめきました。
Luckily the frog, who had been hunting butterflies nearby, saw him and with all his strength pushed him back into the pond.
運よく、近くでチョウを捕まえていたカエルが彼を見つけ、ありったけの力で彼を池の中へと押し戻してくれました。
Still stunned, the fish floated about for an instant.
魚はまだぼうっとしたまま、一瞬ぷかぷかと浮んでいました。
Then he breathed deeply, letting the clean cool water run through his gills.
それから彼は深く息を吸い込み、きれいで冷たい水をエラに通しました。
Now he felt weightless again, and with an ever so slight motion of the tail he could move to and fro, up and down as before.
今や彼は再び体が軽くなるのを感じ、尾ひれをほんの少し動かすだけで、以前のようにあちこちへ、上へ下へと動くことができました。
The sun rays reached down within the weeds and gently shifted patches of luminous color.
太陽の光が藻の間にまで差し込み、光り輝く色彩の斑点を優しく変化させていました。
This world was surely the most beautiful of all worlds.
この世界は、きっとすべての世界の中で最も美しい世界でした。
He smiled at his friend the frog, who sat watching him from a lily leaf.
彼は、スイレン of a lily leaf の葉の上から自分を見守っている友達のカエルに向かって微笑みました。
“You were right,” he said, “fish is fish.”
「君の言う通りだったよ」と彼は言いました。「魚は魚さ」
まとめ
カエルになった友だちに憧れ、自分も陸の世界を目指した魚。しかし、本当に自分らしく生き生きと呼吸できるのは、きれいで穏やかな水の中でした。このお話は、外の広い世界へのあこがれと同時に、自分が今いる場所や、ありのままの自分の価値を認めることの大切さを優しく語りかけてくれます。お子様と一緒に読み進めながら、「魚くんはどうして水に戻れて嬉しかったのかな?」などと話しかけてみるのも素敵ですね。美しい水中の描写を楽しみながら、ぜひ親子で優しい読書の時間をお過ごしください。