A Tale of Two Beasts

【ハリウッド女優が読み聞かせ!】サラ・シルバーマン朗読『A Tale of Two Beasts』が深い

こんにちは!

「これ、絶対に喜ぶだろうな!」と思って、相手のために何かをしてあげた時。もしも相手の反応が、思ったよりもずっと薄かったら…なんだか、ちょっぴり寂しくなりませんか?

良かれと思ってやったのに、なんだか迷惑そう。こちらはお世話しているつもりなのに、相手は窮屈そう。そんな、愛情の「すれ違い」。特に、言葉で気持ちを伝え合えないペットや、小さなお子さんとの間では、日常的によく起こることなのかもしれません。

「私の『大好き』は、もしかして、ただの『おせっかい』なのかな…?」

そんな風に、自分の愛情に自信がなくなってしまいそうな時に、ぜひ手に取ってほしい一冊があります。それが、今日ご紹介する『A Tale of Two Beasts』。ハリウッド女優のサラ・シルバーマンさんも読み聞かせを披露している、とってもユニークで、考えさせられる英語絵本です。

お話のあらすじ

この物語は、ちょっと不思議な二部構成になっています。

【第一部:女の子の視点】

ある日、森へお散歩に出かけた女の子。そこで彼女は、奇妙で、ちょっぴり可哀想な生き物を見つけます。「なんてこと!迷子で、お腹を空かせているに違いないわ!」

女の子は、その小さな生き物を「助けてあげる」ことにして、お家に連れて帰ります。綺麗にお風呂に入れてあげて、可愛いお洋服と帽子をプレゼント。素敵なお部屋を用意して、大好きなお友達にも紹介してあげます。
それは、女の子にとって、愛情にあふれた最高のお世話でした。…でも、ある朝、目を覚ますと、あれほど大切にしていた生き物の姿が、どこにも見当たらなかったのです。

【第二部:生き物の視点】

森の中で、のんびり自由気ままに暮らしていた、ある生き物。ところがある日、恐ろしくて巨大な「ビースト」(そう、あの女の子のことです!)に突然襲われ、誘拐されてしまいます!

無理やり水の中に突っ込まれ、ヘンテコな布を体に巻きつけられ、小さな箱に閉じ込められた挙句、たくさんの「ビースト」たちの見世物にされて…。
それは、生き物にとって、人生で最悪の悪夢のような体験でした。だから、彼は命からがら、あの恐ろしい場所から逃げ出したのです。

…あれ?同じ出来事のはずなのに、なんだか話が全く違いますよね?さて、すれ違ってしまった二つの心は、再び交わる日が来るのでしょうか。

A Tale of Two Beasts

英語学習のポイント

この絵本は、同じ出来事を違う立場の言葉で語ることで、英語表現の奥深さを教えてくれます。今回は、そんな視点の違いがよくわかるフレーズを2つご紹介します。

take care of…

これは「〜の世話をする」「〜を大切にする」という意味の、とても温かい響きを持つフレーズです。女の子が生き物を見つけた時、”I’ll take you home and take care of you.”(お家に連れて帰って、お世話をしてあげる!)と言います。女の子の視点では、これは100%の善意と愛情の表現です。

しかし、生き物の視点から見れば、この「お世話」は、誘拐され、自由を奪われる恐怖の体験そのものでした。同じ言葉でも、受け取る側の状況や気持ちによって、全く意味が変わってしまう。この絵本は、そんな言葉の面白さと怖さを、見事に描き出しています。

例文:
“I need to take care of my little sister this afternoon.”(今日の午後、妹の面倒を見なくちゃいけないんだ。)

“Please take care of this plant while I’m away.”(私が留守の間、この植物のお世話をお願いします。)

From one’s point of view

これは、この絵本のテーマそのものを表すような、「〜の視点から見れば」「〜に言わせれば」という意味のフレーズです。物語には直接出てきませんが、この絵本を読む上で最高のキーワードになります。

これをものすごくざっくりいうと、「こっちから見るとこうだけど、あっちから見るとどうかな?」と、視点を切り替える魔法の言葉です。

“From the girl’s point of view, she was saving a lost animal. But from the beast’s point of view, he was being kidnapped!”(女の子の視点から見れば、彼女は迷子の動物を救っていました。しかし、生き物の視点から見れば、彼は誘拐されていたのです!)…というように、このフレーズを使うことで、物語の構造がくっきりと見えてきますね。

例文:
“From my point of view, this plan is perfect. But we should hear other opinions.”(私の視点から見れば、この計画は完璧だよ。でも、他の人の意見も聞くべきだね。)

“Try to see things from his point of view.”(彼の視点から物事を見るようにしてみて。)

読み聞かせ動画のご紹介(サラ・シルバーマンさん朗読!)

今回ご紹介するのは、コメディエンヌや女優として活躍し、映画『スタートレック』シリーズにも出演経験のあるサラ・シルバーマンさんが朗読する、とっても豪華な読み聞かせ動画です。

彼女の臨場感あふれる語りは、まさに圧巻!愛情たっぷりの優しい女の子の声と、恐怖に怯える生き物の声を巧みに使い分け、聞いている私たちをぐいぐいと物語の世界に引き込んでくれます。英語が分からなくても、彼女の表情と声色だけで、どちらの視点で語られているのかが伝わってくるはず。ぜひ、この素晴らしい一人二役の名演を、お子さんと一緒に楽しんでみてください。

最後に:あなたの「正義」は、相手の「正義」?

というわけで、今回は『A Tale of Two Beasts』をご紹介しました。

この絵本が教えてくれるのは、たった一つの、でもとても大切な真実です。それは、「物事には、いつだって二つの側面がある」ということ。

自分の「良かれ」が、相手の「迷惑」になっているかもしれない。自分の「愛情」が、相手の「束縛」になっているかもしれない。そう考えると、少しだけ怖くなります。でも、この絵本は、そこで終わらないから素敵なんです。

物語の最後、女の子と生き物は、お互いの「好き」なことを共有し、一緒に遊ぶことで、本当の友情を育みます。相手の気持ちを想像し、理解しようと歩み寄ること。違う者同士が心を通わせるために必要なのは、一方的な愛情ではなく、そんな双方向の思いやりなのかもしれませんね。

この絵本を読んだ後、お子さんと「あの生き物、どう思ったかな?」と話し合ってみるのも、きっと素敵な時間になるはずです。

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