寝る前は、ぜったいに静かにしたいクマさんと、元気いっぱいのネズミくん。そんな正反対のふたりがくりひろげる、クスッと笑えて心があたたまるお泊まりのお話「A Bedtime for Bear」をご紹介します。お子さんと一緒に、ふたりの可愛いやりとりを楽しんでみませんか?
ここでは「A Bedtime for Bear」の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
寝る前には、すべてがきちんと整っていないと気が済まないクマさん。枕はふかふかに、ナイトキャップはぴったりに、そして何よりも、しーんとした静けさが必要です。
そんなある晩、クマさんの家に小さくて元気なネズミくんが「お泊まりにきたよ!」とやってきます。本当は来週の約束だったはずなのに…?
初めてのお泊まり客に、クマさんはちょっと戸惑い気味。だって、お客さんは物を散らかしたり、音を立てたりするかもしれないから。
案の定、ネズミくんは歯を磨く音、鼻歌、ベッドがきしむ音…と、次々に音を立ててしまいます。「ぜったい静かにしてね!」とお願いするクマさんですが、なかなか静かになりません。
ところが、やっとネズミくんが静かになったと思ったら、今度はクマさんが物音におびえ始めてしまって…!?
ユーモアたっぷりの展開と、最後は心が温かくなる、クマさんとネズミくんの可愛い友情物語です。
英語学習のポイント
この絵本には、日常会話で使えるシンプルな英語表現がたくさん出てきます。今回はその中から2つのフレーズをピックアップしてご紹介しますね。
spend the night:「(~の家に)泊まる、一晩過ごす」
ネズミくんがクマさんの家にやってきて言うセリフに出てきます。
“I am here to spend the night!” claimed Mouse with a happy wiggle of his whiskers.
(「お泊りに来たよ!」ネズミくんはヒゲを嬉しそうにぴくぴくさせながら言いました。)
解説:
お友達の家にお泊まりするときや、旅行先でホテルに泊まる時などによく使う表現です。「spend」は「(時間やお金を)費やす、使う」という意味の動詞で、「night(夜)」と一緒に使うことで「夜を過ごす=泊まる」という意味になります。
例文:
Can I spend the night at your house? (君の家に泊まってもいい?)
We decided to spend the night in a hotel near the station. (私たちは駅の近くのホテルに泊まることにしました。)
clear one’s throat:「咳払いをする」
ネズミくんが歯磨きで音を立てたときに、クマさんが注意を促すためにする行動として出てきます。
“Ahem!” Bear cleared his throat in a reminding sort of way.
(「エヘン!」クマさんは思い出させるように咳払いをしました。)
解説:
文字通り「喉(throat)をきれいにする(clear)」という意味ですが、日本語の「咳払い」と同じように、話し始める前に注意を引いたり、ちょっと言いにくいことを言う前や、今回のクマさんのように相手に合図を送ったりするときに使われます。「one’s」の部分には、「his」「her」「my」など、誰が咳払いをするのかに合わせて所有格が入ります。
例文:
He cleared his throat before starting his speech. (彼はスピーチを始める前に咳払いをした。)
Mom cleared her throat to get our attention. (お母さんは私たちの注意を引くために咳払いをした。)
シンプルな言葉で書かれているので、親子で声に出して読んでみるのも楽しいですよ。
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
Everything had to be just so for Bears’ bedtime.
クマさんの寝る時間には、すべてがきちんと整っていなければなりませんでした。
His glass of water had to sit on the exact right spot on his bed stand.
水を入れたグラスは、ベッドの脇の台の、まさしく正しい場所に置かれていなければなりませんでした。
His favorite pillow must be nicely fluffed.
お気に入りの枕は、ふかふかにされていなければなりません。
His night cap needed to be snug.
ナイトキャップは、ぴったり合っていなければなりませんでした。
Most of all, it had to be quiet – very very quiet.
なによりも、静かでなければなりませんでした――とてもとても静かに。
One evening, Bear heard a tap tap tapping on his front door.
ある晩、クマさんは玄関のドアをコンコンコンと叩く音を聞きました。
When he opened the door, there stood Mouse, small and gray and bright-eyed.
ドアを開けると、そこに立っていたのはネズミくんでした。小さくて、灰色で、目を輝かせていました。
He clasped a tiny suitcase in his paw.
手には小さなスーツケースを握っていました。
“I am here to spend the night!” claimed Mouse with a happy wiggle of his whiskers.
「お泊りに来たよ!」ネズミくんはヒゲを嬉しそうにぴくぴくさせながら言いました。
“Surely we agreed on next Tuesday,” protested Bear.
「きっと来週の火曜日って約束したはずだけど」クマさんは反論しました。
“No,” said Mouse, “You most definitely said tonight.”
「ううん」ネズミくんは言いました。「絶対に今夜だって言ったよ。」
“Oh,” said Bear.
「ああ」クマさんは言いました。
Bear had never had an overnight guest before.
クマさんはこれまで泊まりのお客さんを迎えたことがありませんでした。
Guests could quite possibly mess things up and make noise, and Bear needed quiet, absolute quiet at bedtime.
お客さんは、もしかしたら物を散らかしたり、音を立てたりするかもしれません。そしてクマさんは寝る時には静けさ、絶対的な静けさが必要なのです。
Even so, Bear and Mouse enjoyed an evening of checkers and warm cocoa, and soon it was time for bed.
それでも、クマさんとネズミくんはチェッカーと温かいココアで楽しい夕べを過ごし、すぐに寝る時間になりました。
“Remember, I must have absolute quiet,” reminded Bear.
「覚えておいてね、絶対に静かにしないといけないんだ」クマさんは念を押しました。
“Oh indeed,” said Mouse.
「ああ、もちろんだよ」ネズミくんは言いました。
Bear set out his glass of water.
クマさんは水を入れたグラスを置きました。
Fluffed his favorite pillow.
お気に入りの枕をふかふかにしました。
Adjusted his nightcap,
ナイトキャップを直して、
And climbed into bed.
ベッドにもぐりこみました。
It was very very quiet.
とてもとても静かでした。
He closed his eyes.
目を閉じました。
Bristle, bristle, bristle.
シャカ、シャカ、シャカ。
Bear heard a noise.
クマさんは物音を聞きました。
It was Mouse brushing his teeth.
ネズミくんが歯を磨いている音でした。
“Ahem!” Bear cleared his throat in a reminding sort of way.
「エヘン!」クマさんは思い出させるように咳払いをしました。
“Most sorry,” said Mouse.
「ごめんね」ネズミくんは言いました。
Bear closed his eyes again.
クマさんは再び目を閉じました。
“Humm, hum-pa-pummmm, “Mouse hummed while he put on his night shirt,
「ふん、ふんぱぱーん」ネズミくんはナイトシャツを着ながら鼻歌を歌いました。
“Pa-pummmm.”
「ぱぱーん」
“Absolute quiet..” muttered Bear most patiently.
「絶対的な静けさが…」クマさんはとても辛抱強くつぶやきました。
“Deepest apologies,” said Mouse.
「本当にごめんなさい」ネズミくんは言いました。
Creek, squeak, rattle went Mouse’s bed as he hopped in.
ネズミくんがベッドに飛び乗ると、ギシッ、キーッ、ガタッと音がしました。
Bear jammed his pillow over his ears, gritted his teeth, and closed his eyes.
クマさんは枕を耳に押し当て、歯を食いしばり、目を閉じました。
He was just about to drift off when…
まさにうとうとし始めた、その時…
“Good night, Bear,” Mouse called softly.
「おやすみ、クマさん」ネズミくんがそっと呼びかけました。
Bear tried to pretend he was asleep.
クマさんは眠っているふりをしようとしました。
“Good night,” Mouse called a little louder.
「おやすみ」ネズミくんは少し大きな声で呼びかけました。
“My ears are highly sensitive!” cried Bear.
「私の耳はとても敏感なんだ!」クマさんは叫びました。
“Really? How interesting,” Mouse said.
「ほんと?面白いね」ネズミくんは言いました。
“Can you hear this?” Mouse mumbled into his pillow.
「これは聞こえる?」ネズミくんは枕に顔をうずめてもごもご言いました。
“Yes!”
「聞こえる!」
“Amazing! How about this?” Mouse said from under his pillow.
「すごい!じゃあこれは?」ネズミくんは枕の下から言いました。
“Quiet!”
「静かに!」
Mouse slipped under his blankets, crawled to the bottom of his bed, and whispered,
ネズミくんは毛布の下にもぐりこみ、ベッドの足元まで這っていって、ささやきました。
“Can you hear-”
「聞こえる――」
“Silence!” Bear roared.
「静かにしろ!」クマさんは吠えました。
Mouse slid from his bed, went into the closet, and said in the tiniest possible voice into the farthest, darkest, teeniest possible corner of the closet, “Surely you can’t -”
ネズミくんはベッドから滑り降り、クローゼットに入り、クローゼットの一番遠く、一番暗く、一番小さな隅っこに向かって、できる限り小さな声で言いました。「まさか聞こえ――」
“Will this torment never cease!” wailed Bear.
「この苦しみはいつ終わるんだ!」クマさんは泣き叫びました。
“Sorry, Bear. Good night, Bear,” whispered Mouse, tiptoeing back into bed as quiet as a well, you know.
「ごめんね、クマさん。おやすみ、クマさん」ネズミくんは、まあ、ご存知の通り静かに、つま先立ちでベッドに戻りながらささやきました。
Bear fluffed his favorite pillow, adjusted his night cap, and waited.
クマさんはお気に入りの枕をふかふかにし、ナイトキャップを直し、待ちました。
But there was no more sound from Mouse.
しかし、ネズミくんからはもう何の音もしませんでした。
At last, it was quiet. Very very quiet.
とうとう、静かになりました。とてもとても静かに。
Bear heard a shuffling sound.
クマさんはごそごそという音を聞きました。
“Mouse, is that you?”
「ネズミくん、君かい?」
No answer.
返事はありません。
Bear heard a quick quick on the floorboards.
クマさんは床板の上をカサカサと素早く動く音を聞きました。
“I know it’s you.”
「君だってわかってるよ。」
No answer.
返事はありません。
“You can’t fool me,” Bear graveled, but he didn’t sound very certain.
「私をだませないぞ」クマさんはしゃがれ声で言いましたが、あまり確信がないようでした。
Bear heard a low moaning noise.
クマさんは低いうなり声を聞きました。
“Mouse?”
「ネズミくん?」
Silence.
静寂。
Bear was sure something rustled on the floor.
クマさんは何かが床でカサカサ音を立てていると確信しました。
“Mouse!” he cried.
「ネズミくん!」彼は叫びました。
“Wake up!”
「起きて!」
Mouse stumbled out of bed, small and gray and sleepy-eyed.
ネズミくんはふらふらとベッドから出てきました。小さくて、灰色で、眠そうな目をしていました。
“What is it?”
「どうしたの?」
But Bear couldn’t see any rustly, moaney sort of thing in his room.
しかし、クマさんの部屋には、カサカサしたり、うなったりするようなものは何も見えませんでした。
His room looked quite like it had always looked.
部屋はいつものように見えました。
“Nothing,” lied Bear, still clutching his blanket to his chin.
「なんでもない」クマさんは嘘をつき、まだ毛布をあごまで引き寄せていました。
“I must have been talking in my sleep.”
「寝言を言っていたに違いない。」
Bear chuckled, but it was rather quavery.
クマさんはくすくす笑いましたが、それはかなり震えていました。
“Ahhh,” said Mouse with a glance at Bear.
「ああ」ネズミくんはクマさんをちらりと見て言いました。
“Could I peek under your bed?” asked Mouse.
「君のベッドの下を覗いてもいい?」ネズミくんは尋ねました。
“Sometimes I like to check for things, you know.”
「時々、何かいないか確かめたくなるんだ、わかるでしょ。」
“Well, if you insist,” said Bear.
「まあ、どうしてもと言うなら」クマさんは言いました。
“Nothing,” said Mouse from under the bed.
「なにもいないよ」ネズミくんはベッドの下から言いました。
“You’ll want to check behind the curtains,
「カーテンの後ろも確かめたいんだろう、
I suppose,” Bear said.
と思うよ」クマさんは言いました。
“All clear!” declared Mouse a moment later.
「異常なし!」ネズミくんは少しして宣言しました。
“You’d better check the closet,” offered Bear.
「クローゼットも調べたほうがいい」クマさんは提案しました。
“Then you won’t be the least bit nervous.”
「そうすれば、少しも心配なくなるだろう。」
Mouse came out of the closet, dusting his paws.
ネズミくんはクローゼットから出てきて、手をはたきました。
“Not a thing. Thank you, Bear. Good night.”
「なにもないよ。ありがとう、クマさん。おやすみ。」
“Wait!” said Bear.
「待って!」クマさんは言いました。
“You’ll want a bedtime story, I expect,” said Bear.
「寝る前のお話が聞きたいんだろう、きっと」クマさんは言いました。
“For your nerves.”
「君の心配のために。」
“For my nerves?” said Mouse.
「僕の心配のため?」ネズミくんは言いました。
“Oh indeed. I’m quite shaken.”
「ああ、そうだね。僕はすっかり怯えちゃったよ。」
Then, with an eager flick of his tail, he settled on Bear’s favorite pillow.
それから、しっぽを勢いよく振って、クマさんのお気に入りの枕の上に落ち着きました。
And Bear told him all about the adventures of the Brave strong bear and the fairy frightened little mouse.
そしてクマさんは、勇敢で強いクマと、とても怖がりな小さなネズミの冒険について、すべてを話して聞かせました。
Soon Bear began to yawn.
まもなくクマさんはあくびをし始めました。
Mouse yawned too.
ネズミくんもあくびをしました。
“Good night, Bear,” said Mouse.
「おやすみ、クマさん」ネズミくんは言いました。
“Good night, Mouse,” Bear mumbled.
「おやすみ、ネズミくん」クマさんはもごもご言いました。
Then Bear began to snore… Loudly.
それからクマさんはいびきをかき始めました… 大きな音で。
But Mouse just smiled.
でもネズミくんはただ微笑みました。
And soon, Mouse and Bear were fast asleep.
そしてすぐに、ネズミくんとクマさんはぐっすり眠ってしまいました。
Shhhhh…
シーッ…
Good night.
おやすみなさい。