こんにちは!
なんだかよく分からないけど、とにかく怖いもの。あなたの人生に、そんな存在はありますか?子どもの頃に見た、押し入れの暗闇。風でガタガタ鳴る窓の音。大人になった今でも、理由はないけどなんとなく苦手なものって、一つや二つありますよね。
「怖いものからは、とにかく逃げる!見なかったことにする!」それが一番の対処法かもしれません。でも、もしその「怖いもの」も、あなたのことを怖がっていたとしたら…?
今日は、そんな風に「恐怖」の正体を、あっと驚く方法で解き明かしてくれるドクター・スースの絵本『What Was I Scared Of?』をご紹介します。簡単な絵本に慣れてきたお子さんが、少し長めのお話にステップアップするのにも、ぴったりの一冊ですよ。
ここではこの絵本の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
主人公の”ぼく”は、夜の森を歩いていました。怖いものなんて、へっちゃらさ!そう思っていた矢先、彼の目に飛び込んできたのは…誰も履いていないはずなのに、そこに立っている「一着の薄緑色のズボン(a pair of pale green pants)」でした。
思わず、できるだけ速く(as fast as I could go)その場を逃げ出す”ぼく”。「怖くなんてなかったさ」と自分に言い聞かせますが、その後も、お使いの途中で、釣りに出かけた川で、なぜか何度もその不気味なズボンに遭遇してしまいます。
行く先々に現れるズボンに、”ぼく”の恐怖はどんどん膨らんでいきます。そしてある夜、ついに暗い野原で、”ぼく”と空っぽのズボンは、お互いから逃げられない状況で、バッタリと顔を合わせてしまうのです…!
英語学習のポイント
この絵本は、これまでの作品と同様にドクター・スース特有の心地よいリズムはそのままに、少しだけ物語が長くなっています。簡単な絵本に慣れてきた子が、少しずつ長い文章に親しんでいくのに、まさにうってつけです。
物語の「続きが気になる!」という気持ちが、子どもの集中力を自然と引き出してくれます。一冊読み終えた時の達成感は、「もっと読んでみたい!」という意欲にも繋がりますよ。
そんな、ちょっぴりドキドキするお話の中から、日常でも使える便利なフレーズを2つご紹介します。
be scared of ~
「〜が怖い」「〜におびえる」という意味で、タイトルの『What Was I Scared Of?』にも使われている、この物語の最重要フレーズです。
(例文)
“My little sister is scared of thunder.”(私の妹は、雷を怖がります。)
as fast as I could
「できるだけ速く」「全力で」という意味で、”ぼく”がズボンから逃げるシーンで何度も出てきます。必死な様子が伝わってくる表現ですね。”I”の部分を他の人に変えても使えます。
(例文)
“He ran as fast as he could to catch the bus.”(彼はバスに間に合うように、全力で走りました。)
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
Well.. I was walking in the night and I saw nothing scary.
まあ、私は夜歩いていて、何も恐ろしいものは見ませんでした。
For I have never been afraid of anything. not very.
私は何も恐れていなかった。 まあまあ。
Then I was deep within the woods
それから、私は森の中深くだった
When suddenly, I spied them.
突然、私はそれを見つけた。
I saw a pair of pale green pants
私は、薄い緑のパンツを見ました
with nobody inside them!
誰もその中にはいないのに!
I wasn’t scared. but yet, I stopped.
私は怖がっていなかった。 しかし、私は止まった。
What could those pants be there for?
そのズボンは何のためにそこにありますか?
What could a pair of pants at night be
standing in the air for?
なぜ、夜の空間のなかにパンツが立っているの?
And then they moved!
そして、彼らは動きました!
Those empty pants!
その空のパンツ!
They kind of started jumping.
彼は、すこしとび始めました。
And then my heart, I must admit,
そして私の心、私は認めなければなりません
It kind of started thumping.
それは一種の衝撃を与え始めた。
So I got out. I got out fast as fast as I could go. sir.
それで、私は逃げ出した。出来るだけ急いでその場を離れた。旦那様
I wasn’t scared. But pants like that I did not care for.No sir.
私は、こわくありませんでした、しかし、私が世話をしなかったパンツのようでした。旦那様
After that, a week went by.
その後、1週間が過ぎた。
Then one dark night in Grin-itch (I had to do an errand
there and fetch some Grin-itch spinach)
そして、グリンイチでのある真っ暗な夜(私はグリンイチほうれん草を取って参るおつかいを果たさなければならなかった、)
Well, I had fetched the spinach.
まあ、私はホウレンソウをとってまいりました。
I was starting back through town
私は町を出発していた
When those pants raced round a corner
それらのパンツが大急ぎで角を曲がったとき、
And they almost knocked me down!
そして彼らはほぼ私をノックダウンしました!
I lost my Grin-itch spinach
私はGrin-itchのほうれん草を失った
But I didn’t even care.
しかし、私は気にしなかった。
I ran for home! believe me, I had really had a scare!
私は家に走った! 私を信じて、私は本当に恐怖を感じました!
Now, bicycles were never made
今、自転車は決してでっち上げではありません。
For pale green pants to ride ‘em,
淡いグリーンのズボンが乗っていたのは
Especially spooky pale green pants with nobody inside ‘em!
特に奇妙な中に誰もいない淡いグリーンのパンツ!
And the next night, I was fishing
そして次の夜、私は釣りをしていました
For Doubt-trout on Roover River
ローワー川のダウト・マスで
When those pants came rowing toward me!
そのズボンが私に向かって漕いで来たとき!
Well, I started in to shiver.
まぁ、私は震え始めました。
And by now I was so frightened
そして今私はとても怖かったです
That, I’ll tell you, but I hate to
それで、私はあなたに言いますが、私はいやでした
I screamed and rode away
私は叫び、漕いで逃げた
and lost My hook and line and bait, too!
私の釣り針とラインと餌も失った!
I ran and found a Brickel bush.
私は走ってブリッコルの茂みを見つけた。
I hid myself away.
私は自分を隠した。
I got brickel’s in my britches
私は体半分ブリッコルの中に入った
But I stayed there anyway.
しかし、とにかくそこにとどまった。
I stayed all night.
私は一晩中そこにとどまった。
The next night, too.
その翌日の夜も。
I’d be there still, no doubt,
私はまだそこにいるだろう、間違いなく、
But I had to do an errand
しかし私はお使いに行かなければならなかった。
So, the next night,
っして、翌日の夜、
I went out.
私は外に出た。
I had to do an errand,
私は用事をする必要があった、
Had to pick a peck of Snide
スナイドの穂先を採らなければならない。
In a dark and gloomy Snide-field
暗くて陰気なスナイドの畑で
That was almost nine miles wide.
それはほぼ9マイル幅でした。
I said, “I do not fear those pants
私は言った、 「私はそれらのズボンを恐れることはありません
With nobody inside them.”
彼らの中に誰もいない。 」
I said, and said. and said those words.
私は言って、言った。 そしてそれらの言葉を言った。
I said them. But I lied them.
私は彼らに言った。 しかし私は彼らに嘘をついた。
Then I reached inside a Snide Bush
それから、私はスナイド(悪意に満ちた)の茂みに達しました
And the next thing that I knew,
そして、私が知っていた次のもの、
I felt my hand touched someone
私は、手が誰かに触れるのを感じました
And I’ll bet that know who.
そして、それが誰か知っているのはまちがいありません。
And there I was!
そして私はそこにいた!
Caught in the snide!
スナイドの中でつかんだ!
And in that dreadful place
そしてその恐ろしい場所で
Those spooky, empty pants and I were standing face to
face!
それらの気味の悪い、空のズボンと私は直面していた
I yelled for help.
私は助けを呼びました
I screamed. I shrieked.
私は叫びました、私は悲鳴を上げました。
I owled. I yowled. I cried,
私は吠えました。叫んで鳴きました。
“Oh, save me from these pale green pants With nobody inside!”
「あぁ、わたしをこの薄緑色の中に誰もいないパンツから助けて!」
But then a strange thing happened.
だが、奇妙なことが起こりました。
Why, those pants began to cry!
なぜだか、それらのパンツは泣き始めました!
Those pants began to tremble,
それらのパンツは、震え始めました、
They were just as scared as I!
彼らは、私とちょうど同じくらいこわがりました
I never heard such whimpering
私は、それがしくしく泣いているのを聞いたことがありません
And I began to see
そして、私はわかり始めました
That I was just as strange to them
私が彼らを奇妙だったように
As they were strange to me!
彼らも私が奇妙でした。
I put my arm around their waist
私はそれのウエストのまわりに腕を置きました
And sat right down beside them.
そしてそれの傍に座りました。
I calmed them down.
私は彼らを落ち着かせました。
Poor empty pants
粗末な空のパンツ
With nobody inside them.
だれも内側にいない。
And now, we meet quite often.
さて、我々はしばしば会います。
Those empty pants and I,
それらの空のパンツと私、
And we never shake or tremble,
そして、我々は決して動揺しないし、身震いもしません、
We both smile
私たちはお互い笑顔
And we say “Hi!”
そして「やあ!」と言います。
最後に:「怖い」の向こう側にあるもの
というわけで、今回はちょっぴりホラーなドクター・スースの絵本『What Was I Scared Of?』をご紹介しました。
得体の知れないものへの恐怖って、突き詰めると「相手が何を考えているかわからない」という不安から来ているのかもしれません。この物語の面白いところは、その「わからない」の壁を、意外な形で乗り越えるところです。
主人公が勇気を出して相手を見てみたら、なんと、ズボンの方もブルブル震えて泣いていた。自分と同じように、怖がっていたんですね。そのことに気づいた瞬間、「恐怖」は「共感」に変わり、最後には友情まで芽生えてしまいます。
わけもなく怖い、なんとなく苦手。そう感じてしまう相手も、もしかしたら鏡のように、あなたのことを同じように感じているだけなのかも。そう思うと、ほんの少しだけ、世界が優しく見えてきませんか?