こんにちは!
世界中で愛されている絵本、『はらぺこあおむし』。
お子さんに「これ、英語ではなんて言うの?」と聞かれたり、ご自身で「英語の原文で読んでみたいな」と思ったりしたことはありませんか?
いざ原文を探してみても、全部が載っているサイトは意外と見つからなかったりしますよね。
それに、He ate through one apple. のように、「ん?この ate through ってどういう意味だろう?」と、ちょっとした表現でつまずいてしまうことも。
今日はそんなあなたと一緒に、『はらぺこあおむし』の英語の原文(全文)と日本語訳を見比べながら、気になるポイントもスッキリ解決していきたいと思います!
【ワンポイント解説】”ate through”ってどういう意味?
さて、本文をご紹介する前に、多くの方が「これってどういうこと?」と感じるであろう、このフレーズについて少しだけお話しさせてください。
物語の序盤に出てくる、He ate through one apple. という一文です。
これをものすごくざっくりいうと、「りんごに穴を開けて、通り抜けるように食べた」という意味になります。
そう、あおむしが、りんごの端からむしゃむしゃと食べ進んで、反対側から「こんにちは!」と顔を出す、あの絵のイメージそのものなんです。
ただの ate (食べた) ではなく、ate through (貫通して食べた) と表現することで、あおむしがトンネルを掘るように食べた、あのダイナミックな様子が目に浮かぶようですよね。
このニュアンスが分かると、読み聞かせにもっと感情がこもって、きっと楽しくなりますよ。
【全文&和訳】さっそく読んでみよう!『はらぺこあおむし』英語の原文
それでは、お待たせしました!
“ate through” の意味が分かったところで、物語を最初から読んでいきましょう。
英語と日本語訳を交互に載せていくので、ぜひ声に出して読んでみてくださいね。
In the light of the moon a little egg lay on a leaf.
月明かりの中、葉っぱの上にちいさな卵がありました。
One Sunday morning the warm sun came up…
お日さまが昇って暖かいある日曜日の朝…
and POP, out of the egg came a tiny and very hungry caterpillar.
ぽん! 卵から、小さくて、とってもおなかをすかせたあおむしが生まれました。
He started to look for some food.
あおむしは、なにか食べ物を探し始めました。
On Monday he ate through one apple. But he was still hungry.
月曜日、りんごを1つ、むしゃむしゃ食べました。でも、まだおなかはぺっこぺこ。
On Tuesday he ate through two pears, but he was still hungry.
火曜日、なしを2つ、むしゃむしゃ食べました。でも、まだおなかはぺっこぺこ。
On Wednesday he ate through three plums, but he was still hungry.
水曜日、すももを3つ、むしゃむしゃ食べました。でも、まだおなかはぺっこぺこ。
On Thursday he ate through four strawberries, but he was still hungry.
木曜日、いちごを4つ、むしゃむしゃ食べました。でも、まだおなかはぺっこぺこ。
On Friday he ate through five oranges, but he was still hungry.
金曜日、オレンジを5つ、むしゃむしゃ食べました。でも、まだおなかはぺっこぺこ。
On Saturday he ate through one piece of chocolate cake, one ice-cream cone, one pickle, one slice of Swiss cheese, one slice of salami, one lollipop, one piece of cherry pie, one sausage, one cupcake, and one slice of watermelon.
土曜日には、チョコレートケーキと、アイスクリームと、ピクルスと、チーズと、サラミと、ペロペロキャンディーと、さくらんぼパイと、ソーセージと、カップケーキと、すいかを、ひとつずつ食べました。
That night he had a stomach ache!
その晩、あおむしはおなかが痛くて泣きました。
The next day was Sunday again.
次の日は、また日曜日でした。
The caterpillar ate through one nice green leaf, and after that he felt much better.
あおむしは、きれいなみどりの葉っぱを一枚食べました。おなかの具合も、すっかり良くなりました。
Now he wasn’t hungry any more – and he wasn’t a little caterpillar any more.
もう、あおむしはおなかがぺっこぺこではありません。ちっぽけな、あおむしでもなくなりました。
He was a big, fat caterpillar.
こんなに大きくて、ふとっちょな、あおむしになったのです。
He built a small house, called a cocoon, around himself.
あおむしは、さなぎという小さなおうちを作ると、その中で過ごしました。
He stayed inside for more than two weeks.
二週間以上も、おうちの中にいたのです。
Then he nibbled a hole in the cocoon, pushed his way out and…
それから、さなぎの皮をけやぶって、外へと押し出すように出てきました…
He was a beautiful butterfly!
見てください!あおむしは、きれいなちょうちょになりました。
【もっと楽しむヒント】こんな表現にも注目!
いかがでしたか?
実は “ate through” の他にも、この絵本には生き生きとした英語表現が隠れているんです。
ここでは、特に注目したいフレーズを2つほど、追加でピックアップしてみますね。
pushed his way out
ちょうちょになるクライマックスの場面で出てくる、pushed his way out and… という一文。
これをざっくり言うと、「道を押し開くようにして、前に進み出た」という感じです。
ただ pushed out (押し出した) と言うよりも、his way (彼の道) という言葉が入ることで、さなぎの中から外の世界へ、自分の力でぐいぐいと道を切り拓いて出てきた、という力強さや生命力が伝わってきませんか?
あおむしの、最後のひと頑張りが目に浮かぶような、とても素敵な表現ですよね。
not … any more
あおむしが葉っぱを食べて元気になった後、he wasn’t hungry any more という文が出てきます。
これは、「もう〜ではない」という変化を表す、とってもよく使う決まり文句なんです。
例えば、「I’m not a child any more.(私はもう子供じゃないよ)」なんていう風にも使えます。
この物語では、he wasn’t a little caterpillar any more. (彼はもう、ちいさなあおむしではありませんでした) と、立て続けにもう一度使われています。
この繰り返しによって、「おなかがぺっこぺこだった過去の自分」と「ちっぽけだった過去の自分」の両方にさよならを告げて、次のステージへ進んだんだな、という大きな変化が、読んでいる僕たちにもグッと伝わってきます。
作者本人の読み聞かせ動画も参考に!
文章だけだと、どんな風に読めばいいかイメージが湧きにくいかもしれませんね。
そんな時は、作者のエリック・カールさん本人が朗読している、こちらの動画がとっても参考になりますよ。
おじいちゃんが孫に優しく語りかけるような、温かい声とリズムが本当に素敵なんです。
流れるような英語の発音は、聞いているだけでも勉強になりますね。
最後に:英語の絵本をもっと楽しむために
というわけで、今回は『はらぺこあおむし』の英語の原文と、気になるフレーズの解説をお届けしました。
たった一つのフレーズの意味を知るだけで、物語がもっと生き生きと感じられるようになるから不思議ですよね。
絵本は、子供だけのものではありません。
僕たち大人が英語を学び直すのにも、最高の教材になってくれます。
ぜひ、お子さんへの読み聞かせや、ご自身の英語学習に、この記事を役立ててみてくださいね