いつも周りの人を立てて、自分は一歩後ろにいる。
『The Humble Pie』の主人公は、そんな控えめなパイです。友達が褒められれば一緒に喜び、誰かが困っていればさりげなく手を貸す。自分が目立つことには、あまり興味がありません。
でも、親友との学校の課題で、いつものように我慢しているだけではうまくいかない出来事が起こります。
『The Humble Pie』は、優しさを大切にしながら、自分の気持ちも伝えていいんだと気づかせてくれる英語絵本。
今回は、あらすじや読みどころとともに、物語に登場する英語表現を見ていきましょう。
『The Humble Pie』ってどんな絵本?
『The Humble Pie』は、Jory John(ジョリー・ジョン)作、Pete Oswald(ピート・オズワルド)絵による「Food Group」シリーズの第8作です。
『The Bad Seed』『The Good Egg』などと同じシリーズで、食べ物のキャラクターを通して、子どもたちにも身近な気持ちや人間関係をユーモラスに描いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | The Humble Pie |
| 作者 | Jory John |
| イラスト | Pete Oswald |
| 出版社 | HarperCollins |
| 発売日 | 2025年11月4日 |
| ページ数 | 40ページ |
| 対象年齢の目安 | 4〜8歳 |
| シリーズ | The Food Group |
humble(ハンブル)は、「謙虚な」「控えめな」という意味。
つまり、タイトルは「謙虚なパイ」。いつも人に手柄を譲ってしまう主人公にぴったりの名前です。
ちなみに英語には、eat humble pie という表現もあります。こちらは「自分の間違いを認める」という意味の慣用句。絵本の主人公を表す humble とは少し使い方が違いますが、食べ物を使った英語表現の面白さが感じられますね。
『The Humble Pie』のあらすじと見どころ
なんでもできる親友と、陰で支えるパイ
パイの親友は、ジェイク・ザ・ケーキ。
勉強もスポーツも得意で、誰とでもすぐに仲良くなれる人気者です。周りの人を楽しませるのも上手で、いつも注目を集めています。
そんなジェイクのそばで、パイは目立たない仕事を引き受けていました。
散らかった場所を片づけたり、みんなが気持ちよく過ごせるように動いたり。誰にも気づかれないことはあるけれど、親友が輝いてくれるなら、それで十分だと思っています。
ところが、学校の理科の授業でジェイクとペアを組んだことから、少しずつ状況が変わっていきます。
ふたりの課題なのに、作業はひとりきり
先生から出されたのは、1週間で準備する共同発表。
大好きなジェイクと組めることになり、パイは大喜びです。最初は一緒にアイデアを出していたふたりですが、ジェイクはほかの活動でどんどん忙しくなってしまいます。
約束の時間に来られなくなり、気づけば課題を進めているのはパイばかり。
締め切りが迫るなか、仕事はまだ山積みです。
いつもなら「大丈夫」と言ってしまいそうなパイ。でも今回は、もう自分ひとりでは抱えきれません。
親友に本当の気持ちを伝えたら、ふたりの関係はどうなるのでしょうか。
パイが勇気を出すのは、相手を言い負かすためではありません。
友達を大切に思っているからこそ、困っていることをちゃんと伝えたい。そんな気持ちが物語の中心にあります。
「優しい人は、いつも我慢しなければいけないのかな?」
子どもと一緒に考えてみたくなる場面ですね。
『The Humble Pie』で注目したい英語
take credit|自分の働きを認めてもらう
「僕は自分の手柄だとは言わない」という意味です。
credit は、ここでは「功績」「評価」という意味。take credit で、自分が成し遂げたことを自分の成果として認めてもらうことを表します。
パイはいつも周りの人に手柄を譲っていました。そんな性格がよく伝わる一文です。
take credit for ~ とすると、「~について自分の手柄とする」という形になります。
人の成果を横取りするような場面でも使われますが、自分の努力を正当に認めてもらう場合にも使える表現です。
練習例文(絵本の原文ではありません)
- You should take credit for your hard work.
頑張ったことは、自分の成果として認めてもらっていいんだよ。 - He took credit for my idea.
彼は私のアイデアを自分の手柄にしました。
have a lot on your plate|やることがたくさんある
「君がいろいろなことで忙しいのはわかっているよ」という意味です。
plate は「お皿」。have a lot on your plate は、やらなければならないことをたくさん抱えている状態を表します。
お皿に食べ物が山盛りになっている様子を想像すると、覚えやすいですね。
しかも、この絵本の主人公はパイ、親友はケーキ。
食べ物の物語の中で plate が登場するのも、ちょっと面白いところです。
本当に食べ物がお皿に載っているわけではなく、仕事や予定などで手いっぱいになっているときに使う慣用表現です。
パイはジェイクの忙しさを理解したうえで、それでも自分が困っていることを伝えようとします。
練習例文(絵本の原文ではありません)
- I have a lot on my plate today.
今日はやることがたくさんあります。 - You have a lot on your plate this week.
今週はずいぶん忙しそうだね。
I need your help.|手伝ってほしい
「君の助けが必要なんだ」「手伝ってほしい」という、短くてまっすぐな言葉です。
特別に難しい単語はありません。でも、普段から自分の気持ちを抑えてきたパイにとっては、口にするのに勇気がいる一言でした。
I need ~ は「私には~が必要」という形。
I need your help. は、何かをお願いするときに、自分が助けを必要としていることをはっきり伝えられる表現です。
練習例文(絵本の原文ではありません)
- I need your help with my homework.
宿題を手伝ってほしいんだ。 - I need a little help.
ちょっと手伝ってほしいな。
親子でも使いやすいので、何かを一緒に片づけるときなどに声に出してみてもよさそうです。
読み聞かせ動画と親子で楽しみたいところ
『The Humble Pie』には、食べ物にちなんだ言葉遊びがいくつも登場します。
たとえば、ケーキのジェイクにぴったりな piece of cake。本来は「ケーキのひと切れ」ですが、会話では「朝飯前」「とても簡単」という意味にもなります。
ほかにも、sugarcoat(都合よく取り繕って話す)や takes the cake(際立っている、あきれるほどだ)など、食べ物の名前やイメージを使った表現が出てきます。
意味を全部覚えようとしなくても大丈夫。絵を見ながら「あ、また食べ物の英語だ!」と見つけていくだけでも楽しそうですね。
英語の読み聞かせ動画はこちら
https://youtu.be/qbVYT0jucxA?si=c-6rDtfUl481xzmd
読み聞かせでは、パイが小さな声で自分の気持ちを伝えようとする場面に注目したいところ。
たとえば、読み終わったあとに、
「パイは、どうしてなかなか言えなかったのかな?」
「ジェイクに手伝ってほしいとき、どんな言い方ができそう?」
そんな話をしてみるのもいいですね。
相手を大切に思うことと、自分の気持ちを大切にすること。
『The Humble Pie』は、その両方が大事だと気づかせてくれる一冊です。パイの表情を追いながら読むと、最後には少し違って見えてくるかもしれません。