「走って、走って! ぼくをつかまえられるかな?」
焼きたてのジンジャーブレッドマンが、オーブンから飛び出して猛ダッシュ。パン屋さんも、動物たちも、みんなであとを追いかけます。
『The Gingerbread Man(ジンジャーブレッドマン)』は、そんな愉快な追いかけっこが続く昔話です。
今回紹介するのは、Ladybirdの「First Favourite Tales」シリーズの一冊。
同じ歌が何度も登場し、英語の音やリズムを楽しめるのが、この絵本のいいところ。まだ英語を読めない子でも、繰り返し聞いているうちに、思わず一緒に声を出したくなりそうです。
絵本の基本情報
| タイトル | The Gingerbread Man (ジンジャーブレッドマン) |
|---|---|
| 再話 | Alan MacDonald |
| 出版社 | Ladybird |
| シリーズ | First Favourite Tales |
| ページ数 | 32ページ |
| 対象年齢の目安 | 2〜4歳(出版社案内) |
| ISBN | 9781409306306 |
「First Favourite Tales」は、昔から親しまれてきた物語を、小さな子どもにも楽しめるように語り直したシリーズです。
このLadybird版は、明るくカラフルなイラストと、音の響きを楽しめる英文が特徴。32ページのハードカバーで、親子の読み聞かせにも向いています。
英文にはリズムや韻が取り入れられていて、声に出すとまた違った面白さがあります。
一文ずつ訳して読むよりも、まずは物語の勢いに乗って楽しみたい絵本ですね。
ジンジャーブレッドマンのあらすじと見どころ
ある朝、パン屋さんがジンジャーブレッドマンを焼くことにしました。
ジンジャーブレッドは、ショウガなどのスパイスを使ったお菓子。その生地を人の形にしたのが、ジンジャーブレッドマンです。
ところが、オーブンから取り出そうとすると、焼き上がったお菓子が突然動き出します。
床に飛び降り、そのままお店の外へ!
パン屋さん夫婦が追いかけますが、ジンジャーブレッドマンは歌いながらどんどん逃げていきます。
途中で男の子、牛、馬も加わり、追いかける仲間は増えるばかり。
それでも、ジンジャーブレッドマンはつかまりません。
追いかける相手が増えるたびに、あの得意げな歌が繰り返されます。
「また逃げちゃった!」
そんなふうに、同じ展開を楽しみにできるんですよね。次は誰が追いかけてくるのか、絵を見ながら予想するのも楽しそうです。
ところが、森に入ったジンジャーブレッドマンは、ずる賢いキツネと出会います。
キツネからも逃げようとしますが、目の前には大きな川。
ジンジャーブレッドマンは泳げません。
そこでキツネが、川の向こうまで運んであげると声をかけます。
最初はしっぽに乗り、次は背中へ。そして最後は鼻の上へ。
ここまで来ると、もう嫌な予感がしますね。
キツネはジンジャーブレッドマンを空中に放り上げ、そのままぱくり!
あんなに速く走っていたジンジャーブレッドマンも、とうとうつかまってしまいました。
小さな子には少し驚く結末かもしれません。
でも、それまで誰にもつかまらなかったジンジャーブレッドマンが、キツネの知恵にはかなわなかったという展開も、この昔話ならではの面白さです。
繰り返しの英語とリズムを楽しもう
この絵本でぜひ耳を傾けたいのが、ジンジャーブレッドマンが逃げながら歌う言葉です。
何度も登場する追いかけっこの歌
You can’t catch me, I’m a gingerbread man.
「走って、走って、できるだけ速く!
ぼくをつかまえることなんてできないよ。ぼくはジンジャーブレッドマン!」
なんとも自信たっぷり。
追いかけられているのに、まるで相手をからかっているようですね。
as fast as you can は「できるだけ速く」という意味です。
as ~ as you can は「できるだけ~」という言い方。この場面では、追いかけてくる相手に向かって、もっと速く走ってごらんと挑発しています。
また、You can’t catch me. は「ぼくをつかまえられないよ」という意味。catchは「つかまえる」です。
ジンジャーブレッドマンの得意げな気持ちが、そのまま歌になっているんですね。
このフレーズの楽しいところは、同じ言葉が何度も出てくること。
読み聞かせの最初は大人が歌って、次は子どもと一緒に。
慣れてきたら「Run, run!」の部分だけ声を合わせてみるのも楽しそうです。
キツネの誘いにも注目
物語の後半では、こんな言葉が登場します。
「ぼくのしっぽに飛び乗りなよ。向こう岸まで連れていってあげるよ」
キツネは、川を渡れずに困っているジンジャーブレッドマンに、親切そうに声をかけます。
jump onto は「~の上に飛び乗る」という意味。
I’ll take you across は、この場面では「向こう岸へ連れていってあげる」という意味です。
キツネは助けてくれるように見えますが、本当はジンジャーブレッドマンを食べるつもり。言葉のやさしさと、本当の狙いが違うところが面白いですね。
それまで元気いっぱいに逃げていた主人公が、今度はキツネの言葉を信じてしまいます。
最初の歌と、このキツネの静かな誘い。声の調子を少し変えて読むと、物語の雰囲気もぐっと変わりそうです。
読み聞かせ動画で英語の音を楽しもう
『The Gingerbread Man』の読み聞かせ動画はこちらです。
YouTubeで『The Gingerbread Man』の読み聞かせを見る
この絵本は、英語の意味をひとつずつ確認するよりも、まず音の流れを楽しむのに向いています。
特に、ジンジャーブレッドマンが何度も歌う場面。
最初は聞いているだけでも、繰り返されるうちに「Run, run!」が耳に残ってくるかもしれません。
追いかける人や動物が増えるたびに、同じ歌がまた始まる。そのおなじみの流れが、子どもには楽しいんですよね。
そして、最後にキツネが歌う言葉にも注目してみてください。
それまでのジンジャーブレッドマンの得意げな歌とは、少し違った響きになっています。
『The Gingerbread Man』は、追いかけっこの面白さと、繰り返しの英語を一緒に楽しめる絵本です。
ぜひ親子で声を合わせながら、ジンジャーブレッドマンの大逃走を楽しんでみてください。