英語絵本「So Few of Me」

分身が増えても仕事は増える?皮肉が効いた英語絵本『So Few of Me』

こんにちは!

やることが多すぎて、「ああ、もう一人自分がいたらなぁ…」なんて、本気で願ってしまったこと、ありませんか?

僕もまさに今、息子の部屋がそんな感じです。断捨離を始めたのはいいのですが、片付けているのか、それとも新たな山を築いているのか…(笑)。見ていると、本当に体がいくつあっても足りないだろうな、と思ってしまいます。

今回は、そんな「手が足りない!」という私たちの心の叫びに、優しく、そして少しユーモラスに寄り添ってくれる英語絵本『So Few of Me』をご紹介したいと思います。

ここでは『So Few of Me』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。

お話のあらすじ

主人公のレオは、いつも大忙しな若者です。

彼が作った「やることリスト」は、どんどん長くなるばかり。

「やることはこんなに沢山あるのに、僕はたったの一人だけ。ああ、もし僕が二人いたら、全部片付くのに!」

そうつぶやいた、まさにその時。コンコン、とドアをノックする音が。

そこに立っていたのは、なんと、もう一人の自分!大喜びしたレオは、二人で早速タスクに取り掛かります。

ところが、一人増え、二人増え…仲間が増えるほど、なぜか「やること」もどんどん増えていくのです。

気がつけば、レオは10人に!果たして、山積みのタスクは無事に片付くのでしょうか?そして、疲れ果てた最初のレオがとった、ある行動とは…?

この絵本がそっと教えてくれること

毎日を乗り切るために、私たちは「効率化」や「タスク管理」といった言葉をよく耳にしますよね。

ToDoリストを作って、一つひとつ着実にこなしていく。それが、やるべきことを終わらせるための王道だと考えられがちです。

でも、そのリストが、いつの間にか自分を縛る鎖のようになってしまうこと、ありませんか?

やってもやっても終わらないタスクを前に、「もっと頑張らきゃ」と自分を追い詰めてしまったり。

 

この絵本は、そんな「たくさんこなすこと=善」という考え方に、「本当にそうかな?」と、そっと優しく問いかけてくれる一冊なんです。

頑張れば頑張るほど、新たな「やるべきこと」が見つかってしまうのは、まるで次から次へと顔を出す、もぐら叩きゲームみたいですよね。

「休みたいな」という本音と、「でも、これを終わらせなきゃ」という焦りの間で、心が綱引きをしているような感覚。

この絵本のレオも、助っ人が増えたら楽になるかと思いきや、仲間同士で会議が始まったり、新たな問題点が発見されたり…。

なんだか、どこかの会社の会議風景を見ているようで、思わず「あるある!」と笑ってしまいました。

この絵本を読んでいると、こんな風に思えてくるんです。

もしかしたら、私たちに必要なのは「もう一人の自分」や「もっとすごいタスク管理術」なんかじゃなくて、「やらないこと」を決める、ささやかな勇気なのかもしれない、と。

「全部完璧にやらなきゃ」という考えを、一旦わきに置いてみる。

そして、「今日はここまでできたら、花マル!」と、自分に優しく合格点をあげてみる。

絵本の最後でレオが気づいたように、ぼーっとしたり、夢を見たりする時間って、一見すると無駄なようで、実は心をふっくらさせてくれる最高の栄養ドリンクなのかもしれませんね。

So Few of Me

英語学習のポイント

この絵本は、シンプルな言葉で深いメッセージを伝えてくれます。

今回は、日常でも使える便利な表現を2つご紹介します。

So few of me

タイトルにもなっているこのフレーズ。直訳すると「とても少ない私」ですが、これは「私一人ではとても手が足りない!」というニュアンスで使われます。so much to do(やることがたくさんある)とセットで、心の叫びとして表現されることが多いです。

例文:

  • With three kids and a full-time job, I always feel like there are so few of me. (子供が3人いてフルタイムの仕事もあると、いつも手が足りないと感じます。)
  • “So much to clean, so few of me,” she sighed, looking at the messy room. (「片付けることは山ほどあるのに、人手が足りなすぎるわ」と彼女は散らかった部屋を見てため息をつきました。)

No matter how …

「彼がどれほど頑張ったとしても」という場面で No matter how hard he worked という表現が出てきます。No matter how … は「たとえどれほど〜しても」という意味で、色々な状況で使える便利な言い回しです。

例文:

  • No matter how tired I am, I always read a book to my child before bed. (どんなに疲れていても、寝る前に必ず子どもに本を読んであげます。)
  • He couldn’t solve the puzzle, no matter how long he thought about it. (どれだけ長く考えても、彼はそのパズルを解けませんでした。)

読み聞かせ動画のご紹介

日本語訳

Leo was a busy lad.
レオは忙しい若者だった。

No matter how hard he worked,
彼がどれほど頑張ったとしても、

there was always more to do.
いつももっとやるべきことがありました。

Maybe making a list would help.
おそらくリストを作ることが助けになるでしょう。

 

 

Leo’s list of things to do grew and grew.
レオがするべきことのリストはどんどん増えていきました。

“So few of me and so much to do.
「私は一人なのにすることはたくさん。

If only there were two of me.”
もし私が二人いたら」

Just then, there was a knock at the door.
ちょうどそのとき、ドアにノックがありました。

 

 

Leo opened the door..
レオはドアを開けた..

and blinked and rubbed his eyes.
そして、目をぱちぱちさせてこすりました。

It was another him!
それは別の彼だった!

The new Leo grabbed the list and said.
新しいレオはリストをつかんで言った。

“Two of us will get it done.”
「私たち2人はそれを終わらせます。」

 

 

He was helpful but found even more to do.
彼は助けになったが、もっとやるべきことが見つかった。

A third Leo joined the two.
3人目のレオが2人に加わりました。

How about four?
4人はどうですか?

Four makes a fantastic team.
4人は素晴らしいチームです。

But maybe a fifth would be even better.
しかし、おそらく5人がさらに良いでしょう。

 

 

Still not enough
まだ十分でない。

A sixth came in to help organize the lot.
多くを整理するのに役立つ6番目が入りました。

After meeting for hours,
数時間の会議の後、

they decided they needed a seventh.
彼らは7番目が必要だと決めました。

 

With seven Leos, there was seven times as much work!
7人のレオは、7倍の作業がありました!

Leo sighed and said,
レオは嘆いて言った、

“We need eight just to catch our breath.”
「私たちの息を整えるのに8番目が必要です。」

 

 

The eight Leo’s worked furiously.
8人のレオは激しく働いた。

Maybe nine Leos would get it done?
もしかしたら9人のレオがそれを完了させるだろうか?

 

No add one more to make ten.
10人にするためにもう一人を加えないでください。

Each one busier than the next.
それぞれがさらに忙しくなる

 

 

Leo Leo Leo Leo Leo, Leo Leo Leo Leo and
レオレオレオレオレオ、レオレオレオレオ、

Leo paused to review their list.
レオは一時的にリストを見直しました。

“Back to work!” nine Leos shouted.
“仕事に戻る!” 9人のレオが叫んだ。

“No time to stop, no time to rest!”
“停止する時間はありません、休む時間はありません!”

But Leo himself was exhausted.
しかし、レオは疲れてしまった。

He slipped away to take a nap.
彼は昼寝するために離れた。

 

 

Leo awoke to nine other Leo’s staring at him.
レオは9人の他のレオが彼を見つめて目を覚ました。

“What were you doing?” they demanded.
「何をしていましたか?」彼らは催促した。

“I was dreaming.” Leo said softly.
「私は夢を見ていた。」 レオはやさしく言った。

“Dreaming was not on the list!” they roared.
「夢見ることはリストになかった!」 彼らは唸った。

 

 

Leo smiled, still savoring his dream.
レオは微笑んだが、まだ彼の夢を味わっている。

The Leos disappeared one by one.
レオはひとつずつ消えていった。

 

 

Leo wondered, “What if I did less – but did my best?
レオは疑問に思った。「もし私が少ないなら、しかし頑張っただろうか?

“Then one leo is all I need.
「では一人のレオが私のすべてです。

Just me, just one.. with time to dream.”
ただわたし、ひとり。。夢見る時間。」

最後に:「やらないことリスト」のススメ

というわけで、今回は絵本『So Few of Me』をご紹介しました。

忙しい毎日に追われていると、私たちはつい「もっと、もっと」と自分のお尻を叩いてしまいがちです。でも、本当に大切なのは、リストの項目を全て消すことよりも、自分の心に少しの「余白」を持たせてあげることなのかもしれません。

たまにはToDoリストをそっと閉じて、のんびり空でも眺めてみませんか。きっと、たった一人のあなたでも、十分に機嫌よく、素敵な一日が過ごせるはずですよ。