こんにちは!
子どもたちの世界って、時々、大人顔負けの真剣なルールで成り立っていますよね。「これは〇〇ちゃんの場所」「このおもちゃは△△くんの番」みたいに。その「いつも通り」が、ある日突然、誰かの「やってみたい!」という気持ちで崩れてしまったら…さあ、大変です。
友達との間には、楽しいことばかりじゃなく、時には意見がぶつかることだってあります。そんな時、親としてどう見守ればいいのか、少しだけハラハラしてしまう瞬間、ありませんか。今日は、そんな友情のデコボコ道を温かく描いた、素敵な英語絵本『Pumpkin Soup』をご紹介したいと思います。
この記事では、英語絵本『Pumpkin Soup』の魅力や、お子さんとの英語学習に役立つポイントをまとめました。ここでは『Pumpkin Soup』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
お話のあらすじ
森の奥にある、古くて白い小屋。ここにはネコとリスとアヒルの3人が、とっても仲良く暮らしていました。彼らの日課は、毎日同じ方法で、最高においしいかぼちゃスープを作ること。ネコがかぼちゃを切り、リスがお水を注いでかき混ぜ、アヒルがちょうどいい塩加減に仕上げます。毎日が平和で、幸せでした。そう、見えるだけだったのかもしれません…。
ある朝、アヒルはふと思いました。「今日は僕がスープをかき混ぜる番だ!」。でも、それはリスの大事な仕事。小さなアヒルの「やってみたい」という気持ちが、3人の完璧なハーモニーを乱し、とんでもない大ゲンカに発展してしまいます。怒ったアヒルは家を飛び出してしまい…。残されたネコとリスは、だんだんと心配になってきます。アヒルはどこへ行ってしまったのでしょう?そして、3人はまた、あのおいしいスープを一緒に飲むことができるのでしょうか。
英語学習のポイント
この絵本には、子どもたちの日常のワンシーンで使えるような、シンプルで生き生きとした表現がたくさん出てきます。今回はその中から2つ、ピックアップしてご紹介しますね。
with all his might
これは「力いっぱい」「全力で」という意味のフレーズです。物語の中では、リスがスプーンをアヒルから取り返そうと、力いっぱい引っ張るシーンで使われています。子どもが何かを一生懸命やっている時にぴったりの表現ですね。
例えば、公園で遊んでいるお子さんに「Push the swing with all your might!(ブランコを力いっぱい押してごらん!)」と言ってみたり、おもちゃの箱が開かない時に「Let’s pull it with all our might.(一緒に力いっぱい引っ張ってみよう)」と声をかけたり、いろんな場面で使えそうです。
pack up
「荷物をまとめる」「荷造りする」という意味で、とてもよく使われる熟語です。家出を決心したアヒルが、手押し車に荷物を詰め込むシーンで登場します。これも日常で大活躍する表現です。
お出かけの前に「It’s time to pack up your toys.(おもちゃを片付ける時間だよ)」と伝えたり、旅行の準備をしながら「Let’s pack up for our trip!(旅行の荷造りをしよう!)」なんて会話も楽しそうですね。「片付ける」という意味合いで広く使える便利な言葉です。
読み聞かせ動画のご紹介
日本語訳
Deep in the woods there’s an old white cabin with pumpkins in the garden.
森の奥深くに、庭にかぼちゃが植えられた古い白い小屋があります。
There’s a good smell of soup.
スープのいい匂いがします。
And at night, with luck,
you might see a bagpiping Cat through the window,
and a Squirrel with a banjo,
And a small singing Duck.
そして夜、運が良ければ、
窓からバグパイプを吹くネコが、
バンジョーを持ったリスが、
そして歌う小さなアヒルが見えるかもしれません。
Pumpkin soup.
かぼちゃのスープ。
The best you ever tasted.
今まで味わった中で最高の。
Made by the Cat who slices up the pumpkin.
Made by the Squirrel who stirs in the water.
Made by the Duck who scoops up a pipkin of salt and tips in just enough.
ネコがカボチャをスライスして作りました。
リスが水を入れてかき混ぜて作りました。
アヒルが塩をひとさじすくって、ちょうどいいだけ入れて作りました。
They slurp their soup, and play their song,
then pop off to bed,
in a quilt stitched together by the Cat,
embroidered by the Squirrel,
and filled with the fine feathers from the Duck.
And it’s peaceful in the old white cabin.
彼らはスープをすすり、歌を演奏し、
それからベッドに飛び込みます。
ネコが縫い合わせ、
リスが刺繍し、
アヒルの上等な羽毛が詰められたキルトの中へ。
そして、古い白い小屋は平和です。
Everyone has his own job to do.
Everyone is happy.
誰もが自分のやるべき仕事を持っています。
誰もが幸せです。
Or so it seems…
あるいは、そう思えるだけ…
But one morning the Duck woke up early.
He tiptoed into the kitchen and smiled at the Squirrel’s special spoon.
“Wouldn’t it be fine,” he murmured, “if I could be the Head Cook.”
He drew up a stool, hopped on top, and reached…
until his beak just touched the tip of the spoon…
しかしある朝、アヒルは早起きしました。
彼はキッチンに忍び足で入り、リスの特別なスプーンを見て微笑みました。
「もし僕が料理長になれたら、素敵だろうな」と彼はつぶやきました。
彼はスツールを引き寄せ、その上に飛び乗り、手を伸ばしました…
くちばしがスプーンの先端にちょうど触れるまで…
Kerplunk! Down it clattered.
ガチャン! それは音を立てて落ちました。
Then the Duck trotted back to the bedroom, held up the spoon and said,
“Today it’s my turn to stir the soup.”
それからアヒルは寝室にトコトコ戻り、スプーンを掲げて言いました。
「今日は僕がスープをかき混ぜる番だ。」
“That’s mine!” squeak the Squirrel.
「それは僕のだ!」とリスがキーキー言いました。
“Stirring is my job. Give that back!”
“You’re much too small,” snapped the Cat.
“We’ll cook the way we always have.”
「かき混ぜるのは僕の仕事だ。それを返せ!」
「君は小さすぎる」とネコがピシャリと言いました。
「いつも通りに料理するんだ。」
But the Duck held on tight…
until the Squirrel tugged with all his might…
and whoops!
the spoon spun through the air,
and bopped the Cat on the head.
しかしアヒルはしっかり掴んで離しませんでした…
リスが力いっぱい引っ張るまで…
すると、おっと!
スプーンは宙を舞い、
ネコの頭にポコンと当たりました。
Then there was trouble, a horrible squabble,
a row, a racket, a rumpus and the old white cabin.
それから大変なことになりました、ひどい口論、
大騒ぎ、がやがや、大騒動が古い白い小屋で起こりました。
“I’m not staying here,” wailed the Duck.
“You never let me help with anything.”
And he packed up a wheelbarrow, put on his hat and waddled away.
「僕はもうここにはいない」とアヒルは泣き叫びました。
「君たちは決して僕に何も手伝わせてくれない。」
そして彼は手押し車に荷物を詰め、帽子をかぶり、よちよちと立ち去りました。
“You’ll be back,” stormed the Cat,
“after we’ve cleaned up.”
And the Squirrel shook his spoon in the air.
「君は戻ってくるさ」とネコは荒々しく言いました。
「俺たちが片付けを終えた後でな。」
そしてリスはスプーンを空中で振りました。
But the Duck didn’t come back.
しかしアヒルは戻ってきませんでした。
Not for breakfast.
Not even for lunch.
朝食になっても。
昼食にさえも。
“I’ll find him,” scoff the Cat.
“He’ll be hiding outside.”
「私が見つけてやる」とネコは鼻で笑いました。
「外に隠れているに違いない。」
“I bet he’s in the pumpkin patch.”
「きっとカボチャ畑にいるぞ。」
But the Duck was not in the pumpkin patch.
They could not find him anywhere.
しかしアヒルはカボチャ畑にはいませんでした。
彼らはどこにも彼を見つけることができませんでした。
So they waited…
そこで彼らは待ちました…
All that long afternoon…
その長い午後の間ずっと…
The Cat watched the door.
The Squirrel paced the floor.
“That Duck will be sorry when he comes home,” they muttered.
ネコはドアを見つめました。
リスは床を行ったり来たりしました。
「あのアヒルは家に帰ってきたら後悔するだろう」と彼らはつぶやきました。
But the Duck didn’t come home.
Not even at soup time.
しかしアヒルは帰りませんでした。
スープの時間になっても。
The soup wasn’t tasty.
They’d made it too salty.
They didn’t feel hungry anyway.
They both sobbed over supper, and their tears dripped into the soup and made it even saltier.
スープは美味しくありませんでした。
塩辛く作りすぎてしまったのです。
どちらにしても彼らはお腹が空いていませんでした。
二人は夕食の間中しくしく泣き、彼らの涙がスープに滴り落ちて、さらに塩辛くしました。
“We should have let him stir the soup,” sniffled the Squirrel.
“He was only trying to help,” wept the Cat.
“Let’s go out and look for him.”
「僕たち、彼にスープをかき混ぜさせてあげるべきだった」とリスは鼻をすすりました。
「彼はただ手伝おうとしていただけなのに」とネコは泣きました。
「外へ彼を探しに行こう。」
The Cat and the Squirrel were scared as they wandered down the path in the dark dark woods.
ネコとリスは、暗い暗い森の中の小道をさまよいながら怖がっていました。
They feared for the Duck all alone with the trees, and the foxes, and the wolves, and the witches, and the bears.
But they couldn’t find him.
彼らは、木々や、キツネや、オオカミや、魔女や、クマたちと一緒にたった一人でいるアヒルのことを心配しました。
しかし、彼らはアヒルを見つけることができませんでした。
On and on they trudged until he reached the edge of a steep steep cliff.
“Maybe he fell down that,” wailed the Cat.
彼らは、険しい険しい崖の端に着くまで、とぼとぼと歩き続けました。
「もしかしたら彼はあそこから落ちたのかもしれない」とネコは泣き叫びました。
“I’ll save him,” squeaked the Squirrel,
and he scrambled down on a long shaky rope.
He searched all around on the ground.
But he couldn’t find the Duck.
「僕が彼を助ける」とリスはキーキー言いました。
そして彼は長くてぐらぐらするロープで這い降りました。
彼は地面の周りをくまなく探しました。
しかし、彼はアヒルを見つけることができませんでした。
Then the Cat whispered in a sad little voice, “Doc might have found some better friends.”
そのときネコが悲しそうな小さな声でささやきました。「アヒルは、もっと良い友達を見つけたのかもしれない。」
“He might,” side the Squirrel.
“Friends who let him help.”
「そうかもしれない」とリスはため息をつきました。
「彼に手伝いをさせてくれる友達を。」
And the more they thought about it as they plotted back,
the more they were sure they were right.
そして彼らがとぼとぼと引き返しながらそのことを考えれば考えるほど、
彼らは自分たちが正しいと確信するようになりました。
But when they were almost home, they saw light shining from the old white cabin.
“It stuck!” they shrieked as they burst through the door.
しかし、彼らがもう少しで家に着くというとき、古い白い小屋から光が差しているのが見えました。
「アヒルだ!」彼らはドアを突き破って入りながら金切り声をあげました。
And the Duck was so happy to see them.
He was also very hungry, and though it was late, they thought they would all make…
そしてアヒルは彼らに会えてとても幸せでした。
彼もまたとてもお腹が空いていて、遅い時間でしたが、彼らは皆で作ろうと思いました…
Some pumpkin soup.
かぼちゃのスープを。
When the Duck stirred the Cat and the Squirrel didn’t say a word.
Not even when the Duck stirred the soup so fast that it slopped right out of the pot.
Not even when the pot got burnt.
Then the Duck showed the Squirrel how to measure out the salt.
アヒルがかき混ぜたとき、ネコとリスは一言も言いませんでした。
アヒルがあまりに早くスープをかき混ぜたので鍋からこぼれてしまった時でさえも。
鍋が焦げてしまった時でさえも。
それからアヒルはリスに塩の量り方を教えてあげました。
And the soup was still the best you ever tasted.
それでもスープは、今まで味わった中で最高でした。
So once again it was peaceful in the old white cabin.
Until the Duck said…
それで再び、古い白い小屋は平和になりました。
アヒルが言うまでは…
“I think I’ll play the bagpipes now.”
「今度は僕がバグパイプを演奏しようと思う。」
最後に
というわけで、今回は絵本『Pumpkin Soup』をご紹介しました。
この物語が教えてくれるのは、自分たちの「いつも通り」が一番とは限らない、ということかもしれません。そして、友達とケンカをしてしまっても、お互いを大切に思う気持ちがあれば、ちゃんと仲直りできるんだよ、という温かいメッセージを感じます。家を飛び出してしまったアヒルを心配するネコとリスの姿は、見ているこちらの胸もきゅっとなります。
自分の役割だけでなく、相手の「やってみたい」という気持ちを尊重すること。もしぶつかってしまっても、正直に「ごめんね」と伝え、また一緒に温かいスープを囲むこと。友情の難しさと素晴らしさが詰まったこの一冊、ぜひお子さんと一緒に読んでみてくださいね。