「子供には綺麗な英語を聞かせてあげたい」
「楽しく英語のリズム感を養える絵本はないかな?」
おうちで英語教育に取り組んでいると、そんな風に思うことはありませんか?
英語特有の「リズム」や「韻(ライム)」を自然に吸収するには、質の高い絵本の読み聞かせが一番です。
そこで今回は、世界中で愛される名作の中から、特に言葉の響きが美しいクリスマス絵本『Madeline’s Christmas(マドレーヌのクリスマス)』をご紹介します。
パリの寄宿舎を舞台にしたおしゃれな世界観と、心地よい英語のリズムに、きっと親子で夢中になれるはずですよ。
ここでは『Madeline’s Christmas』の簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
絵本『Madeline’s Christmas』の基本情報
| タイトル | Madeline’s Christmas |
|---|---|
| 著者・イラスト | Ludwig Bemelmans (著) |
| 出版社 | Viking Books for Young Readers |
| 対象年齢(目安) | 3歳〜8歳 |
あらすじ
パリにあるツタの絡まる古いお屋敷。
そこには12人の女の子たちが、ミス・クラベルと一緒に暮らしていました。
いつも元気な一番ちびすけのマドレーヌですが、今年の冬は大変!
クリスマスの前の晩だというのに、マドレーヌ以外の全員が風邪で寝込んでしまったのです。
たった一人でみんなの看病をするマドレーヌ。
そこへ突然、じゅうたん売りの商人がやってきて……?
不思議な魔法と、マドレーヌの優しさが起こすクリスマスの奇跡のお話です。
英語学習のポイント
心地よいライミング(韻を踏む文章)
この絵本の一番の魅力は、流れるような美しいライミングです。
文末の単語が韻を踏んでいるため、読むだけで自然と英語のリズムが生まれます。
- In an old house in Paris that was covered with vines
lived twelve little girls in two straight lines
vines(ツタ)とlines(列)のように、同じ音で終わる言葉の心地よさを、ぜひ声に出して味わってください。
状況説明の英語表現
物語の導入部や場面転換で使われる、簡潔でわかりやすい状況説明の表現も勉強になります。
- It was the night before Christmas(それはクリスマスの前の晩のことでした)
- Suddenly came a knock(突然ノックの音がして)
物語の「いつ」「何が起きた」を伝える基本的なフレーズは、他の英語学習にも応用できます。
魔法の呪文と丁寧な依頼表現
マドレーヌが魔法使いにお願いをするシーンでは、丁寧な依頼の表現が登場します。
- Will you please help me with these dishes?(お皿を洗うのを手伝っていただけませんか?)
また、魔法使いが唱えるユニークな「呪文」も、英語の音遊びとして子供たちに大人気間違いなしです!
読み聞かせ動画
日本語訳(全文)
In an old house in Paris
That was covered with vines
Lived twelve little girls
In two straight lines.
パリの古いお屋敷に
そこはツタにおおわれていて
12人の女の子が暮らしていました
いつも2列にならんで
The smallest one was Madeline.
They left the house at half past nine
In two straight lines in rain or shine.
一番ちびすけがマドレーヌ
9時半にお家を出るときも
雨でも晴れでも2列にならんで
She was not afraid of mice
She loved winter snow and ice.
And to the tiger in the zoo
Madeline just said…
“Pooh.Pooh!”
ネズミなんてこわくない
冬の雪や氷がだいすき
動物園のトラだって
マドレーヌはこういうの……
「フン、フン!」
It was the night before Christmas
And all through the house
Not a creature was stirring
Not even the mouse.
それはクリスマスの前の晩
お屋敷じゅう、どこを見ても
生き物の動く気配はなく
ネズミ一匹動きません
Four like everyone else in that house which was old
The poor mouse was in bed with a miserable cold.
この古いお屋敷の誰もがそうであるように
かわいそうなネズミもひどい風邪で寝込んでいました
And only our brave little Madeline
was up and about
And filling just fine.
勇敢なチビのマドレーヌだけが
ベッドから起きていて
とても元気いっぱい
Suddenly came a knock
Which made her pause-
Could it perhaps be Santa Claus?
But no…
突然ノックの音がして
彼女はふと動きを止めました——
もしかしてサンタクロースかしら?
でも、ちがいました……
A rug merchant was at the door.
He had twelve rugs he had no more.
ドアにいたのはじゅうたん売り
持っていたのは12枚のじゅうたん、それでおしまい
“Why these,” said Madeline, “would be so neat for our ice cold in the morning feet.”
「あらこれ」マドレーヌは言いました。「朝の凍えるような足にとってもよさそう」
“It seems to me,” said Miss Clavel,
“that you have chosen very well.”
「わたくしが思うに」とミス・クラベル
「とてもよいものを選びましたね」
Madeline gave him a handful of franks.
“Here they are with all our thanks.”
マドレーヌは一握りのフランを渡しました
「はいどうぞ、感謝をこめて」
Without the rugs
Which he had sold
The rug merchant got awfully cold.
じゅうたんがなくなって
売ってしまったので
じゅうたん売りはひどく寒くなりました
“To sell my rugs,” he cried, “was silly!
Without them I am very chilly.”
He wants to get them back-
But will he?
「じゅうたんを売るなんて」彼は叫びました。「ばかだった!
あれがないと、体がとても冷えてしまう」
彼はじゅうたんを取り返したい——
でも、できるでしょうか?
He made it back to Madeline’s door-
He couldn’t take one footstep more.
彼はマドレーヌの家のドアまで戻ってきましたが——
もう一歩も足が出ません
And little Madeline set about
To find a way to thaw him out.
そこでちいさなマドレーヌはとりかかりました
彼を温める方法を見つけることに
The merchant, who was tall and thin
(And also a magician)
Bravely took his medicine.
その商人は、背が高くて痩せていて
(それになんと魔法使い)
勇敢にも薬を飲みました
The magician as he took his pill said,
“Ask me, Madeline, what you will.”
魔法使いは薬を飲むと言いました
「マドレーヌ、望むものを言ってごらん」
Said she, “I’ve cooked a dinner nutritious.
Will you please help me with these dishes?”
彼女は言いました。「栄養たっぷりの夕食を作ったの。
お皿を洗うのを手伝ってくれない?」
“If you’ll clear up I’ll go and see if I can find a Christmas tree.”
「片付けをしてくれるなら、クリスマスツリーを探してくるわ」
His magic ring he gave a glance and went into a special trance-
The dirty dishes washed themselves and jumped right back upon the shelves.
彼は魔法の指輪を一瞥し、特別なトランス状態に入りました——
汚れたお皿は勝手に洗われ、棚へと飛び戻っていきました
And then he mumbled words profound-
“Abracadabra brookhadrab rakadab akata kad ah.”
そして彼は深遠な言葉をつぶやきました——
「アブラカダブラ ブルカドラブ ラカダブ アカタ カダ」
That made the carpets leave the ground-
And twelve little girls were on their way-
To surprise their parents on Christmas Day.
するとじゅうたんが床を離れ——
12人の女の子たちは出発しました——
クリスマスの日に両親を驚かせるために
Miss Clavel again quite well
Thought it time to ring her bell
Which quickly broke the magic spell.
ミス・クラベルはまたすっかり元気になり
鐘を鳴らす時間だと思いました
するとすぐに魔法が解けました
And now we’re back all twelve right here
To wish our friends a happy New Year.
さあ、12人全員ここに戻りました
お友達のみなさん、よいお年を
まとめ
いかがでしたか?
『Madeline’s Christmas』は、美しいライミングと、マドレーヌちゃんの勇敢で優しい心が詰まった、クリスマスにぴったりの一冊です。
声に出して読むことで、英語の心地よいリズムが体に入ってきますので、ぜひお子さんと一緒に何度も読んでみてください。
今年の冬は、パリの雰囲気を感じながら、親子でおしゃれな「おうち英語」の時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。