「みんなはできるのに、自分だけできない」
そんな場面に出会ったとき、子どもはどんな気持ちになるのでしょう。
今回紹介する英語絵本『Ricky, the Rock That Couldn’t Roll』の主人公リッキーは、片側が平らな岩。仲間たちはみんな丘をコロコロ転がって遊べるのに、リッキーだけは転がることができません。
けれど、仲間たちは「できないなら仕方ない」と置いていくことはありませんでした。
どうしたら一緒に遊べるのか。何度失敗しても方法を考え続けます。
この記事では、『Ricky, the Rock That Couldn’t Roll』のあらすじとともに、友情や助け合いが伝わる英語表現、読み聞かせ動画を紹介します。
『Ricky, the Rock That Couldn’t Roll』ってどんな絵本?
舞台は、岩たちが集まって遊ぶ緑の丘。
キップ、ピップ、チェスター、大きなマーヴィン、小さなペブルスたち。みんな丸い形をしているので、丘を登ったり、コロコロ転がり降りたりして遊んでいます。
でも、リッキーだけは違いました。
Rick couldn’t roll because one side was flat.
リッキーは片側が平らなので、転がることができません。
仲間から「一緒に転がろうよ!」と誘われても、リッキーはこう答えます。
I’m sorry, I can’t.
「ごめん、僕にはできないんだ。」
みんなが楽しそうに遊んでいるそばで、自分だけ参加できないリッキー。
この場面だけでも、リッキーの寂しさが伝わってきます。
リッキーは、遊びたくないわけではありません。
ただ、みんなと同じ形ではないため、同じ方法で遊ぶことができないのです。
「できない」をそのままにしない仲間たち
リッキーが転がれないと知った仲間たちは、「じゃあ仕方ないね」とは言いません。
どうにかしてリッキーも一緒に遊べないか、さっそく作戦を考え始めます。
まずは、大きな岩のマーヴィンがリッキーを丘の上まで運び、下へ押してみます。
ところが、リッキーは転がらず、そのまま滑ってしまいました。
次は体中にゴムボールをくっつけてみます。
これなら転がるはず。
そう思ったものの、今度はコロコロ転がるどころか、跳ねるだけ。
なかなかうまくいきません。
何度失敗しても、仲間たちはあきらめない
押したり、引いたり、いろいろな方法を試しても、リッキーは転がることができません。
ついにリッキーは、こんなふうに言います。
It’s no use.
「もう無理だよ。」
自分は横で座って、みんなが遊ぶのを見ているしかない。
そんな気持ちになってしまいます。
でも、仲間たちの答えは違いました。
We’re here for you, brother.
「僕たちは君のためにここにいるよ。」
We’re here for you. は、直訳すると「私たちはあなたのためにここにいる」。
困っている相手に「そばにいるよ」「力になるよ」と伝える、とても温かい表現です。
リッキーがあきらめそうになっても、仲間たちは考えることをやめません。
仲間たちは、リッキーに「頑張って転がって」と言うのではなく、リッキーが参加できる方法そのものを一緒に考えます。
このところが、この絵本の大きな魅力です。
リッキーに合った方法を見つける
雨が降り始めたとき、賢い石のステューにアイデアが浮かびます。
仲間たちは湖へ行き、泥を集めました。
そして、リッキーの平らな部分に泥を盛り、形を整えて丸くしていきます。
太陽の下でしっかり乾かし、つる植物を巻いて固定。
今までのように「丸い岩と同じことをさせる」のではなく、リッキーが転がれる方法を作ったのです。
そして、ついにその瞬間がやってきます。
Ricky the rock rolled!
「岩のリッキーが転がった!」
初めはゆっくり。
でも、リッキーはとうとう仲間たちと一緒に丘を転がることができました。
「意志があれば道はある」物語の最後に残る言葉
リッキーが転がる姿を見ながら、てんとう虫のブリアはこんなことを思います。
There’s always a way if there’s also a will.
「意志があれば、きっと方法はある。」
有名な英語のことわざ、
Where there’s a will, there’s a way.
「意志あるところに道あり」を思わせる言葉です。
will には「意志」、way には「方法・道」という意味があります。
難しいことがあっても、あきらめずに方法を探してみよう、という気持ちを表す言葉です。
そして、物語の最後にはもう一つ、とても印象的な言葉が登場します。
When you’re surrounded by love, you always have hope!
「愛に囲まれていれば、いつでも希望がある。」
be surrounded by ~ は「〜に囲まれている」。
I’m surrounded by good friends. なら、「私は良い友だちに囲まれています」という意味になります。
この絵本が伝えてくれること
『Ricky, the Rock That Couldn’t Roll』は、「みんなで力を合わせれば何でもできる」というだけの物語ではありません。
リッキーは、ほかの岩たちと同じ形ではありませんでした。
だから、同じ方法ではうまくいかない。
大切だったのは、リッキーを無理にみんなと同じにしようとすることではなく、リッキーが参加できる方法をみんなで探したことでした。
できないことがある人に、「もっと頑張ればできるよ」と言うだけではなく、「どうしたら一緒にできるかな?」と考えてみる。
そんな見方を、子どもにも自然に伝えてくれる絵本です。
親子で話してみたいこと
どうしてリッキーはみんなと一緒に転がれなかったのかな?
最初の作戦は、どうしてうまくいかなかったと思う?
もし自分が仲間だったら、どんな方法を考える?
「できないこと」がある友だちと一緒に遊ぶには、どうしたらいいかな?
物語の答えを覚えるというより、子ども自身ならどう考えるかを聞いてみると、いろいろな答えが出てきそうです。
読み聞かせ動画のご紹介
英語の読み聞かせ動画を見ながら楽しむのもおすすめです。
岩たちの動きや表情が分かりやすいので、英語をすべて聞き取れなくても、絵を見ながら物語を追うことができます。
絵本の基本情報
| タイトル | Ricky, the Rock That Couldn’t Roll |
|---|---|
| シリーズ | You Rock Group |
| 言語 | 英語 |
まとめ|「できない」なら、一緒に方法を探してみよう
リッキーは、ほかの岩たちのように転がることができませんでした。
でも、仲間たちはリッキーを置いていかず、何度失敗しても新しい方法を考え続けます。
そして最後には、リッキーもみんなと一緒に丘を転がれるようになりました。
できないことがあったとき、「無理」で終わらせるのではなく、違う方法を探してみる。
そして、自分一人では難しいときには、誰かと一緒に考えてみる。
We’re here for you.
そんな言葉がよく似合う、友情と工夫の物語です。