食事のあとのテーブルにお皿が置きっぱなし。脱いだ靴下はリビングに転がったまま。「何回言ったらわかるの!」——つい声を荒らげてから、「もう少し穏やかに言えばよかったな」と後悔する夜。子どもに思いやりを持ってほしいのに、伝え方がいつも説教口調になってしまう。
そんな小さなモヤモヤ、私たちだけではないはずです。『Bunny with a Big Heart』は、まさに「自分のことで頭がいっぱい」な子ウサギが、ちょっとしたケガで動けなくなったことをきっかけに、家族や友達の温かさに自分で気づいていく物語。
誰かに叱られたからではなく、「してもらった」経験を通じて変わっていくP.J.の姿は、説教なしで「思いやりって何だろう」を子どもの心に届けてくれそうです。
ここでは、『Bunny with a Big Heart』のあらすじのほか、英語学習のポイント、読み聞かせ動画などを掲載しています。
『Bunny with a Big Heart』の基本情報
| タイトル | Bunny with a Big Heart |
|---|---|
| 著者 | Marilyn Sadler(文) |
| イラスト | Tim Bowers(絵) |
| シリーズ | Beginner Books |
| 出版社 | Random House Books for Young Readers |
| 対象年齢(目安) | 3歳〜7歳 |
あらすじ
P.J.ファニーバニーは、とにかく忙しい子ウサギ。朝になればドアを開けっぱなしで飛び出し、食べ終わった食器はテーブルの上、おもちゃは部屋中に散らかしっぱなし。友達のリッチーから借りた野球のグローブも「明日返すよ」が口グセになっていて、いつまでたっても返しません。妹のハニーバニーが「一緒に映画を観よう」と誘っても、「あんなの赤ちゃんが観るものだよ」と素っ気なく断ってしまいます。
そんなある日、野球で二塁に滑り込んだP.J.は足首をひねってしまい、しばらくベッドで過ごすことに。すると友達はパイン・コニーアイランドへ行くのをやめてビデオゲームを持って来てくれ、お母さんは大好物のマカロニ・アンド・チーズをベッドまで運んでくれます。ハニーバニーはキャロットケーキとふかふかの枕を用意してくれ、お父さんは本を読んでくれました。
みんなの優しさに包まれたP.J.は、「自分は周りの人にこんなに大事にされていたんだ」と気づきます。足首が治った翌日、P.J.はベッドを整え、ポップコーンの散らかった床を掃き、みんなの食器を流しまで運び——友達に借りたものを全部返して、妹とホッピーバニーの映画を最後の一本まで観続けるのでした。
英語学習のポイント
leave + もの + 場所(~を…に置きっぱなしにする)
「leave」は「去る」「出発する」だけでなく、「そのままの状態で残す」という意味でも日常会話で頻繁に使われます。絵本ではP.J.が食器やおもちゃを散らかす場面で何度も登場し、子どもにとって身近な「片付け」の場面と直結しているのが覚えやすいポイントです。
- leave + もの + 場所
- ~を…に置きっぱなしにする、~を…に残したままにする
- He left his dirty dishes on the table.(彼は汚れたお皿をテーブルに置きっぱなしにした。)
- Don’t leave your toys on the floor!(おもちゃを床に置きっぱなしにしないで!)
- I left my umbrella on the train.(電車に傘を忘れてきちゃった。)
Sorry I’m late.(遅れてごめん。)
遅刻したときの定番フレーズです。絵本ではP.J.が公園に遅れてきて毎回この一言で済ませる場面が印象的。短いけれど、日常生活でそのまま使える実用度の高い表現です。「sorry」のあとに理由を付け足すパターンも覚えておくと便利です。
- Sorry I’m late.
- 遅れてごめん。
- Sorry I’m late — the bus was delayed.(遅れてごめん——バスが遅れたんだ。)
- Sorry we are late!(遅れてごめん!)※絵本の後半でリッチーたちが使う場面も。
It felt good to ~(~するのは気持ちが良かった)
自分の行動に対する感想を表す構文です。物語のクライマックスで、思いやりのある行動を始めたP.J.が「It felt good to think of others!」と感じる場面で使われています。「楽しかった」「うれしかった」以外の感情を英語で言い表す練習にもなります。
- It felt good to ~
- ~するのは気持ちが良かった
- It felt good to think of others!(他の人のことを考えるのは気持ちが良かった!)
- It felt good to help my friend.(友達を手伝えて気持ちが良かった。)
- It felt good to finish my homework early.(宿題を早く終わらせたら気持ちが良かった。)
読み聞かせ動画のご紹介
『Bunny with a Big Heart』の読み聞かせ動画をご紹介します。ネイティブの発音やリズムを親子で一緒に聴いてみてください。
日本語訳(全文)
P.J. Funnybunny was a very busy bunny.
P.J.ファニーバニーはとても忙しいウサギでした。
He was always doing something.
彼はいつも何かをしていました。
“I’m going to the park!” he shouted one morning.
「公園に行ってくるよ!」ある朝、彼は叫びました。
Then he raced out of the house leaving the door wide open!
それから、ドアを大きく開けっぱなしにしたまま、家を飛び出していきました!
P.J. also left his dirty dishes on the table…
P.J.は汚れたお皿もテーブルに置きっぱなしにして……
…his toys all over his bedroom floor…
……自分のお部屋の床中に、おもちゃを散らかしっぱなし……
…and Richie Raccoon’s baseball mitt under his bed!
……それに、リッチー・ラクーンの野球のグローブをベッドの下に置きっぱなしにしていました!
“Sorry I’m late,” said P.J. when he got to the park.
「遅れてごめん」公園に着くと、P.J.は言いました。
But P.J. was always late.
けれど、P.J.はいつも遅刻していました。
“Where’s my baseball mitt?” asked Richie.
「僕の野球のグローブはどこ?」リッチーが尋ねました。
“I will bring it tomorrow,” said P.J.
「明日持ってくるよ」とP.J.は言いました。
But that was what P.J. said yesterday.
けれど、それはP.J.が昨日言ったことと同じでした。
That night Honey Bunny asked P.J. to watch a movie with her.
その夜、ハニーバニーはP.J.に一緒に映画を観ようと誘いました。
“It’s the new Hoppy Bunny movie!” she cried.
「ホッピーバニーの新作映画よ!」と彼女は叫びました。
But P.J. did not want to watch it.
けれど、P.J.はそれを観たくありませんでした。
“Those movies are for babies,” he said.
「あんな映画は赤ちゃんが観るものだよ」と彼は言いました。
P.J. thought only of himself.
P.J.は自分のことばかり考えていました。
He was too busy to think of his family and friends!
家族や友達のことを考えるには、彼は忙しすぎたのです!
Then one day, P.J. twisted his ankle sliding into second base!
そんなある日、P.J.は二塁へ滑り込んだ時に足首をひねってしまいました!
“Ouch, ouch, ouch!” cried P.J. as Richie and Potts carried him home.
「痛い、痛い、痛い!」リッチーとポッツに家まで運んでもらいながら、P.J.は叫びました。
“My poor little bunny!” said his mom.
「かわいそうな私の子!」とお母さんは言いました。
“Keep your ankle up and rest!” said his dad.
「足首を高くして休んでいなさい!」とお父さんは言いました。
But P.J. did not want to rest.
けれど、P.J.は休みたくありませんでした。
He wanted to go to Pine Coney Island with his friends.
友達と一緒にパイン・コニーアイランドへ行きたかったのです。
That afternoon P.J.’s friends came over with video games.
その日の午後、P.J.の友達がビデオゲームを持ってやってきました。
“Aren’t you going to Pine Coney Island?” P.J. asked.
「パイン・コニーアイランドには行かないの?」P.J.は尋ねました。
But P.J.’s friends wanted to stay and play with him.
けれど、P.J.の友達は残って彼と一緒に遊びたいと思っていました。
“Pine Coney Island wouldn’t be fun without you,” they said.
「君がいないパイン・コニーアイランドなんて楽しくないよ」と彼らは言いました。
That night P.J.’s mom brought him dinner in bed.
その夜、P.J.のお母さんはベッドまで夕食を運んできてくれました。
It was macaroni and cheese, P.J.’s favorite!
それは、P.J.の大好物のマカロニ・アンド・チーズでした!
And when P.J. was ready for dessert, Honey Bunny brought him carrot cake.
そして、P.J.がデザートを食べられるようになると、ハニーバニーがキャロットケーキを持ってきてくれました。
After dinner P.J.’s mom put a warm blanket over him and Honey Bunny fluffed up his pillow.
夕食の後、お母さんは彼に温かい毛布をかけ、ハニーバニーは枕をふかふかに整えてくれました。
Then his dad read him a James Bunny book.
それから、お父さんはジェームス・バニーの本を読んでくれました。
Everyone fussed over P.J. the next day too.
次の日も、みんながP.J.をいたわってくれました。
“Get well, P.J.!”
「早く良くなってね、P.J.!」
That night P.J. thought about all the kind things everyone had done for him.
その夜、P.J.はみんなが自分のためにしてくれた、すべての優しいことについて考えました。
He was a lucky bunny.
彼は幸せなウサギでした。
But it was time for him to be a more thoughtful bunny too.
けれど、これからはもっと他人を思いやれるウサギになるべき時でもありました。
The next day P.J.’s ankle was better!
次の日、P.J.の足首は良くなりました!
So P.J. made his bed.
そこで、P.J.はベッドを整えました。
Then he swept up all the popcorn on the floor.
それから、床に散らばったポップコーンをすべて掃き清めました。
“We missed you, P.J.!” said his family when he sat down for breakfast.
「君がいなくて寂しかったよ、P.J.!」彼が朝食の席に着くと、家族が言いました。
After breakfast P.J. carried everyone’s dishes to the sink.
朝食の後、P.J.はみんなの食器を流しまで運びました。
Then P.J. went to the park to play with his friends.
それから、P.J.は友達と遊ぶために公園へ行きました。
“Sorry we are late!” said Richie and Potts.
「遅れてごめん!」リッチーとポッツが言いました。
But Richie and Potts were not late.
けれど、リッチーとポッツは遅れていませんでした。
“I was early,” said P.J. as he gave Richie his baseball mitt.
「僕が早かったんだよ」リッチーに野球のグローブを渡しながら、P.J.は言いました。
That afternoon P.J. returned all of Richie’s toys.
その日の午後、P.J.はリッチーのすべてのおもちゃを返しました。
“I forgot you had my science kit!” said Richie.
「僕の科学セットを君が持っていたなんて忘れてたよ!」とリッチーは言いました。
Then P.J. returned all of Potts’s toys.
それから、P.J.はポッツのすべてのおもちゃを返しました。
“I wondered where my pogo stick was,” said Potts.
「僕のホッピングがどこにあるのかと思っていたんだ」とポッツは言いました。
P.J. was happy.
P.J.は幸せでした。
It felt good to think of others!
他人のことを考えるのは、気持ちの良いことでした!
That night P.J. and Honey Bunny watched one Hoppy Bunny movie after another after another after another…
その夜、P.J.とハニーバニーはホッピーバニーの映画を一本、また次の一本、さらに次の一本、さらにもう一本……と観続けました。
…until there were no Hoppy Bunny movies left to watch!
……観るべきホッピーバニーの映画が、一本もなくなるまで!
おわりに
「片付けなさい」「早くしなさい」「ちゃんと返しなさい」
私たちが毎日のように口にしている言葉を、P.J.はそっくりそのまま体現しているウサギです。
だからこそ、P.J.が自分で気づいて変わっていく後半のくだりには、親のほうがちょっとホッとさせられるかもしれません。叱られたから直すのではなく、「してもらって気持ちよかったから、自分もそうしたい」
そんな内側からの変化は、言葉で教えるよりもずっと根っこに届くものだと、この絵本は静かに見せてくれます。読み終わったあと、お子さんが食器をキッチンまで持っていってくれたら、たとえ途中でちょっとこぼしたとしても「ありがとう」の一言で迎えてあげたいですね。