「子どもにクリスマスらしい英語を教えたいけれど、どの絵本を選べばいいかわからない…」「英語の読み聞かせで、日常で使えるフレーズを自然に覚えてほしい」そんなふうに思っている方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、クリスマスの英語絵本は種類が多く、どれが本当に実用的な英語表現を学べるのか見極めるのは難しいですよね。
そこでおすすめしたいのが『Grumpy Monkey Oh, No! Christmas』です。この絵本は、クリスマス気分になれない不機嫌なサルのジムが主人公。「I don’t feel like celebrating(お祝いする気分じゃない)」「Everything stinks!(何もかもサイテー!)」など、気持ちを表す表現から、友達との会話で使われる自然なやりとりまで、日常英会話で役立つフレーズがたっぷり詰まっています。
ここではGrumpy Monkey Oh, No! Christmasの簡単なあらすじの他、文中に出てくる日常の英語表現、おすすめの読み聞かせ動画のご紹介や日本語訳などを掲載しています。
絵本『Grumpy Monkey Oh, No! Christmas』の基本情報
| タイトル | Grumpy Monkey Oh, No! Christmas |
|---|---|
| 著者 | Suzanne Lang |
| イラスト | Max Lang |
| 出版社 | Random House Books for Young Readers |
| 対象年齢(目安) | 3〜7歳 |
あらすじ
どんよりと雨が降り続く12月のある日、チンパンジーのジムはお祝いをする気分になれずにいました。バナナはまだ青いし、体は濡れて泥だらけ。「何もかもがサイテーなのに、何を祝えばいいんだ?」と周りの動物たちに当たり散らします。
けれど、友達のノーマンに温かいお茶をもらったことをきっかけに、ジムは少しずつ周りの「良いこと」に気づき始めます。葉っぱにきらめく雨粒の美しさ、傘代わりになるホリデーツリー、そして自分を囲む大切な仲間たち…。
不満でいっぱいの時は気づけなかったけれど、良いことに目を向ければ、悩みは小さく見えてくる。そんな温かなメッセージが心に響く、クリスマスにぴったりの一冊です。
英語学習のポイント
気持ちを表現するフレーズが豊富
この絵本の魅力は、感情表現がとにかく豊かなこと。ジムの不機嫌な気持ちから、周りの動物たちのワクワクした気持ちまで、さまざまな感情を英語で表現しています。
- “I don’t feel like celebrating.”(お祝いする気分じゃない)
- “Everything stinks!”(何もかもサイテー!)
- “I’m so excited for Christmas.”(クリスマスが本当に楽しみ)
子どもが自分の気持ちを英語で伝える練習にぴったりです。「今日の気分は?」と聞いて、”I don’t feel like…”を使ってみる遊びもおすすめです。
日常会話で使える実用フレーズ
絵本の中には、そのまま日常会話で使えるフレーズがたくさん登場します。友達同士の自然なやりとりから学べるのがポイントです。
- “Are you going to eat this?”(これ、食べるの?)
- “Have you ever tried it?”(一度でも試したことある?)
- “Maybe give it a try.”(試しにやってみなよ)
- “Can I get that for you?”(それ、取ってあげようか?)
- “Sounds like you could use some tea.”(お茶でも飲んだ方がよさそうだね)
特に “Sounds like you could use…” は、相手を気遣う優しい表現として大人も使えるフレーズです。
クリスマス特有の表現を学べる
クリスマスシーズンならではの表現も楽しく学べます。海外のクリスマス文化にも触れられる貴重な機会です。
- “It’s such a magical time of year.”(一年のうちでこんなに魔法のような時期)
- “Christmas cheer”(クリスマスの陽気な気分)
- “You should wrap presents!”(プレゼントを包むべきだよ!)
- “You should take a long winter’s nap!”(冬の長いお昼寝をすべきだよ!)
- “You should light seven candles!”(7本のキャンドルを灯すべきだよ!)
最後の「7本のキャンドル」や「9本」というセリフは、ハヌカ(ユダヤ教のお祭り)の伝統を指しています。多様な文化について子どもと話すきっかけにもなりますね。
読み聞かせ動画
日本語訳(全文)
It was a grizly drizzly December day just as it had been all week.
今週はずっとそうだったように、どんよりとして雨の降り続く12月の一日だった。
Jimpanzee wasn’t in the mood to celebrate.
チンパンジーのジムはお祝いをする気分ではなかった。
“Can’t it be nice for one stinking day?”
「たった一日くらい、晴れ晴れとした日にならないのか?」
Jim sighed, and set out into the wet in search of breakfast.
ジムはため息をつき、朝食を探しに濡れた森の中へ出かけて行った。
But when he finally found a banana it was green.
しかし、ようやく見つけたバナナは、まだ青かった。
“Figures,” said Jim as he tossed the banana aside.
「やっぱりな」ジムはそう言って、バナナを脇へ放り投げた。
“Are you going to eat this?” asked his neighbor Norman.
「これ、食べるのかい?」隣人のノーマンが尋ねた。
“No,” said Jim, “It’s not ripe!”
「いや」ジムは言った。「熟してないんだ!」
“It’ll ripen in your stomach,” said Norman.
「お腹の中で熟すよ」とノーマン。
“You didn’t even peel it!” Jim said.
「皮も剥いてないじゃないか!」ジムは言った。
“The peel’s where all the vitamins are,” said Norman.
「皮にこそビタミンが詰まってるんだよ」とノーマン。
“I don’t think that’s true,” said the Water Buffalo from beneath the tree.
「それは違うと思うな」木の下からスイギュウが言った。
“Who cares if it’s true?” said Oxpecker.
「本当かどうかなんて誰が気にするの?」とウシツツキ。
“It’s almost Christmas and everyone knows green bananas are much more Christmasy than yellow ones because green is a Christmas color! I’m so excited for Christmas.”
「もうすぐクリスマスよ。黄色いバナナより緑のバナナの方がずっとクリスマスらしいって、みんな知ってるわ。緑はクリスマスの色なんだから!クリスマスが本当に楽しみ。」
“The weather stinks, the bananas stink, what’s there to celebrate when everything stinks?” snapped Jim.
「天気はサイテー、バナナもサイテー。何もかもがサイテーなのに、何を祝うっていうんだ?」ジムは吐き捨てるように言った。
“Nothing to celebrate?”
「祝うことが何もない?」
Oxpecker couldn’t believe it.
ウシツツキには信じられなかった。
“But it’s such a magical time of here there are presents and visiting relatives and decorations!”
「でも、ここは魔法のような時間なのよ。プレゼントもあるし、親戚も訪ねてくるし、飾り付けだってあるんだから!」
“Oh no, not decorations,” said Water Buffalo.
「ああ、飾り付けはやめてくれ」スイギュウが言った。
“Of course decorations!” chirped Oxpecker as she wrapped some berries around Water Buffalo’s horn.
「もちろん飾り付けよ!」ウシツツキはさえずりながら、スイギュウの角にベリーを巻き付けた。
“Decorations help spread Christmas cheer! See, Jim, don’t you feel like celebrating now?”
「飾り付けはクリスマスの気分を広めてくれるの!ほら、ジム、今ならお祝いしたい気分にならない?」
“No,” said Jim and he stomped away.
「ならないね」ジムはそう言って、足音を荒らげて立ち去った。
Jim was so busy stomping, he did not his Marabou.
ジムは足を踏み鳴らすのに夢中で、アフリカハゲコウに気づかなかった。
“Why are you stomping around, Jim?” asked Marabou.
「ジム、どうしてそんなに足を踏み鳴らしているんだい?」アフリカハゲコウが尋ねた。
“You should celebrate.It’s such a magical time of year.”
「お祝いしなよ。一年のうちでこんなに魔法のような時期なんだから。」
“Celebrate Me? I don’t feel like celebrating,” said Jim.
「俺が祝うって?そんな気分じゃないよ」とジム。
“Maybe a song will help.Fa la la la-“
「歌えば気分も晴れるかも。ファ・ラ・ラ・ラ……」
“Ugh!” Jim held his ears and stomped on…
「うわっ!」ジムは耳を塞いで、そのまま足を踏み鳴らして進んだ……
…right into a bottle of mud.
……そのまま、泥の瓶の中へ。
“Hooray! Jim, you’re just in time to enjoy some of our holiday treats!” croaked the frogs.
「万歳!ジム、ちょうどいいところに来たね。僕たちのホリデーのおやつを一緒に楽しもう!」カエルたちがゲロゲロと鳴いた。
“Nothing makes you want to celebrate like a little fly put pie, am I right?” said Bullfrog.
「ちょっとしたハエのパイほど、お祝いしたくなるものはないよね。そうだろう?」ウシガエルが言った。
“Celebrate me? I don’t feel like celebrating!” said Jim.
「俺が祝うって?そんな気分じゃないんだ!」ジムは言った。
Everyone want a gy to enjoy this magical time of year.
誰もが、あなたにこの魔法のような時期を楽しんでほしいと思っている。
“You should wrap presents!”
「プレゼントを包むべきだよ!」
“And put them under a tree!”
「それを木の下に置くんだ!」
“You should make a card for your mom!”
「お母さんにカードを書くべきだよ!」
“Don’t forget your dad!”
「お父さんのことも忘れないで!」
“You should take a long winter’s nap!”
「冬の長いお昼寝をすべきだよ!」
“You should light seven candles!”
「7本のキャンドルを灯すべきだよ!」
“Or nine!”
「あるいは9本!」
“You should quietly you reflect.”
「静かに自分を見つめ直すべきだよ。」
“You should do something nice for someone else!
「誰かのために何か良いことをすべきだよ!」
“You should eat sugar plums!”
「シュガープラムを食べるべきだよ!」
But Jim didn’t feel like doing any of that.
けれど、ジムはそのどれもやる気が起きなかった。
“Why aren’t you celebrating,” asked the others.
「どうしてお祝いしないの?」とみんなが尋ねた。
“It’s such a magical time of here.”
「ここはこんなに魔法のような時間なのに。」
“The bananas are aren’t ripe, I’m soaked and covered in mud, this fly is driving me crazy and you’re all giving me a headache. How can I celebrate when… everything stinks!”
「バナナは熟してないし、俺はずぶ濡れで泥だらけだし、このハエにはイライラさせられるし、おまけにお前たちは俺の頭を痛くさせる。どうやってお祝いしろっていうんだ……何もかもがサイテーな時に!」
And he stormed off.
そして彼は怒って立ち去った。
Jim tried to ignore all the holiday celebrations.
ジムはホリデーのお祝いをすべて無視しようとした。
But he couldn’t ignore the rumbling in his tummy.
けれど、お腹の鳴る音は無視できなかった。
“Maybe Norman’s right. Maybe the banana will ripen in my stomach.”
「たぶんノーマンが正しいんだ。バナナはお腹の中で熟すんだろう。」
He peeled a green banana and ate it.
彼は青いバナナの皮を剥いて食べた。
“Oh, ow ow! Norman wasn’t right.”
「おっと、いててて!ノーマンは正しくなかった。」
“Norman wasn’t right about what?” asked Norman.
「ノーマンは何について正しくなかったんだい?」ノーマンが尋ねた。
“About the bananas,” said Jim.
「バナナのことだよ」とジム。
“Now my stomach hurts and I still have a headache. And I’m muddy. And wet. And come to think of it, I’m cold too. Not to mention this fly won’t leave me alone! How can anyone celebrate when everything stinks?!”
「お腹は痛いし、まだ頭痛もする。それに泥だらけで、びしょ濡れだ。考えてみれば、寒いしな。言うまでもなく、このハエは俺を放っておいてくれない!何もかもがサイテーな時に、どうしてお祝いなんてできるんだ?!」
“Sounds like you could use some tea,” said Norman.
「お茶でも飲んだ方がよさそうだね」とノーマン。
“Tea?” said Jim. “I don’t like tea!”
「お茶?」ジムは言った。「お茶なんて好きじゃない!」
“Have you ever ever tried it?” asked Norman.
「一度でも飲んだことがあるのかい?」ノーマンが尋ねた。
“No,” said Jim.
「ないよ」とジム。
“Maybe give it a try,” suggested Norman.
「試しに飲んでみなよ」ノーマンが提案した。
Jim took a sip of the tea.
ジムはお茶を一口すすった。
It warmed him all the way to his tummy.
それはお腹の底まで彼を温めてくれた。
In fact, it started to make his tummy feel better.
実際、お腹の具合も良くなり始めた。
“It’s made with mint leaves that grow right here. Pretty nice, huh?” said Norman.
「ここで育ったミントの葉で作られているんだ。なかなかいいだろう?」ノーマンが言った。
“I never noticed the mint leaves,” said Jim.
「ミントの葉なんて気づかなかったな」とジム。
“They do a good job of blending in,” said Norman.
「周りにうまく溶け込んでいるからね」とノーマン。
“Can I get that for you?” said Chameleon.
「それ、取ってあげようか?」カメレオンが言った。
“Thanks,” said Jim.
「ありがとう」とジム。
“I guess there are a lot of things I haven’t noticed.”
「俺が気づいていなかったことが、たくさんあるみたいだ。」
“It can be hard to notice things when you’ve got a lot of complaints,” said Norman.
「不満がたくさんある時は、物事に気づくのは難しいからね」とノーマン。
Jim looked around.
ジムはあたりを見回した。
He noticed how pretty the raindrops look on the leaves.
彼は葉っぱについた雨粒が、なんてきれいなんだろうと気づいた。
And that the holiday tree made a pretty good umbrella.
そして、ホリデーの木がなかなかいい傘になることも。
And that he was surrounded by loved ones.
それから、自分が大切な仲間に囲まれていることも。
“Taking time to notice the good things can make your problems seem smaller,” said Norman Jim agreed.
「良いことに気づくための時間を持つことで、悩みは小さく見えるようになるんだ」ノーマンがそう言うと、ジムも同意した。
まとめ
『Grumpy Monkey Oh, No! Christmas』は、クリスマスの日常英会話フレーズを楽しく学べる絵本です。気持ちを表す表現から、友達への声かけ、クリスマスならではの言い回しまで、実用的な英語表現がたくさん詰まっています。
なによりこの絵本が教えてくれるのは、「不満でいっぱいの時こそ、周りの良いことに目を向けてみよう」という温かなメッセージ。クリスマスシーズンの忙しさで余裕がなくなりがちな大人にとっても、ハッとさせられる言葉ではないでしょうか。
親子で英語絵本を楽しみながら、「今日、良かったことは何だった?」と振り返る時間を作ってみてください。そんな小さな習慣が、クリスマスの思い出をもっと特別なものにしてくれるはずです。